自社サイトを見つめ直す
そもそもCMSとは何か?
CMSとはそもそも何であると考えていますか?簡単にWebサイトを更新することができるツールでしょうか。それともHTMLの知識がなくてもHTMLが書ける便利な運用ツールでしょうか。
CMSが単なる更新ツールとして考えられるもの無理はありません。5年ほど前から頻繁に更新を行う部分、企業サイトで言えば新着情報やニュースリリースのページなどの更新ツールとして導入したいという声が多く届いていました。
その際の要望としては、次のようなものがほとんどでした。
・HTMLが書けない担当者でもニュースリリースを更新できるようにしたい
・Web担当者が外部の制作会社に依頼しなくても、これらのコンテンツが更新できるようにしたい
しかし、ここには大きな誤解が存在しています。外部の制作会社に頼まなければ更新できないことが問題なのではなく、すばやく更新しなければならないコンテンツが現行の運用フローでは実現できないということが問題なのです。
導入に当たり、そもそもCMSとは何か、という点をしっかりと理解することが重要です。
上記のようなWebサイトに使われるCMSは、CMSの中でもWCM(Web Content Management)という分類に入り、Webサイトのコンテンツを管理するための仕組みです。
本質的なCMSというのは、企業が保持しているさまざまなコンテンツ、例えば製品の詳細な仕様情報や在庫状況、保管場所などを格納し、適切な形に変換し利用することのできる流れ全体のことを意味します。つまり、CMSとは、単なるツール機能だけを指すのではなく、情報の活用、管理方法や運用ルール、体制までの全体像を含めた概念なのです。
これを踏まえて上記の例で言うと、CMSとは「WebサイトにHTMLとしてニュースリリースコンテンツを提供するための包括的な仕組み」というのが正しい理解となります。コンテンツを容易に更新できるというのは、これが正しく行われていることの副産物なのです。
単なる更新ツールでは役不足
コンテンツの更新ができるからCMSは更新ツールである、という意見はいまだに多く存在します。では、コンテンツの更新ができるだけで企業にとって大きなメリットになるのでしょうか。その目的であれば、DreamweaverなどのHTML編集ツールでも問題ないのではないでしょうか。
更新ツールを用いれば、HTMLが分からない人でもGUIの画面を利用して文言を修正したり新しいコンテンツを作成したりすることが可能です。でも、実際に求めているものはそういった機能ではないと思います。
とすると、単なる更新ツールでは役不足であるというのが分かります。では役不足の原因はどこにあるのでしょうか。
それは企業が保有している情報が、1つの情報として管理されていない点にあります。CMSツール(あえてツールと書きますが)と更新ツールとの大きな違いは、1つの情報をどのように保持しているかにあります。Dreamweaverはすでに使っているが、それとは別にCMSツールを導入したいという要望はそこから生まれてきます。
Dreamweaverでは、ニュースリリースを作成しても、そこにリンクする一覧ページに文言とリンクを作成し、さらにトップページの新着ニュースリリースなどの欄に再度文言とリンクを作成する必要があります。つまり、Dreamweaverはページ単位で情報を管理する仕様になっています。ページのソースが複数存在するわけです。
一方CMSは、1つの情報ソースを利用したい個所すべてにおいて利用するという「ワンソースマルチユース」の考え方に基づいて作成されるものです。
ニュースリリースという1つのリリース記事に関する情報は、すべて1つの情報として持っており、一覧ページのリンク文言もリンク先のURLもそれに関する画像情報も、「すべて1つの情報として保持している」という部分が大きな違いなのです。
つまり、CMSの更新ツール的な側面は、コンテンツ管理というものを実現した際の副産物にすぎないのです。