Androidと組み込み開発
Web 2.0と組み込み機器をつなぐAndroid~Web 2.0時代のモバイルデバイス
AndroidはWebKitやXMLパーザといった、Webアプリケーションを実行するために必要な機能がそろっています。Gearsにも対応していますので、オフラインでWebアプリケーションを実行することも可能です。
Androidのアプリケーションを配布しているAndroid Market (http://market.android.com/)をのぞいてみると、マッシュアップアプリケーションが多くアップロードされています。
例えば、Big in Japanの開発したShopSavvy(http://www.biggu.com/applications)は、商品のバーコードをカメラで写して、近隣のお店やネットショップでの価格をインターネットから検索して一覧表示するアプリケーションです。また、最近話題の頓智.comのセカイカメラもAndroid版が開発されているようです。
組み込み機器への応用
また、オープンソースなので、携帯電話に限らず、幅広く組み込み機器に移植が可能です。わたしもLinux Zaurus C3000や、OMAP3の評価機であるOMAP3EVMにAndroidを移植しています。
ただし、一部のライブラリやアプリケーションはソースコードが公開されていません。例えば、Google Mapのライブラリや、You Tube再生アプリケーションなどはオープンソースに含まれていません。位置情報を利用したアプリケーションを組み込み機器で利用する場合は、Google MapのWeb APIを利用するライブラリを独自に用意する必要があります。
このような制約はありますが、インターネットやサーバーを含んだシステムの一部として、専用の組み込み機器を使うようなアプリケーションの場合には、Androidを利用することでシステム構築が柔軟に行えます。AndroidではJavaアプリケーション、Javaアプリケーションの一部にWebを埋め込む、Webアプリケーションをブラウザーから使うなど、アプリケーションからネットワークにアクセスする手段をいろいろと選べます。Androidは、Web 2.0と組み込み機器をつなぐフレームワークといえます。
次回は、Androidアプリケーションの開発環境についてお話させていただきます。
【参考文献】
『日経Linux 2009年2月号』日経BP社(発行年:2009年)