第4回:システム構築力の獲得 (2/3)

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第4回:システム構築力の獲得
監修者:野村総合研究所  淀川 高喜   2005/12/1
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調査プロセス


(1)モデルによる業務・システムの可視化
現状の業務・既存システム資産を、共通のモデル(設計図)によって可視化し、経営・ユーザ部門・IT部門・ベンダー間で共通理解する。可視化された業務・システムは、業務改革やシステム統合の際の基礎資料となり、システム化する際の見積りなどに活用できる。

企画プロセス

(2)要求定義の工学化
ユーザからの要求を定義するプロセスにエンジニアリングを導入し、それに基づいたシステム構築を実施することによって、要求定義の不備を解消できる。

(3)フロントローディング(設計作業の前倒し)の実践
フロントローディングとは、システム構築の初期段階から各種システム要件の擦り合わせを徹底し、システム開発の手戻りをなくすことで、最終的にトータルでみた開発期間の短縮と品質向上を実現することである。そのためには、業務設計段階から、基盤方式設計や運用方式設計、移行・切替え方式設計を並行的に進めることが必須である。

(4)ベンダーの活用方針、調達方針、管理方針の明確化
システムのQ(品質)・C(コスト)・D(スピード・納期)を確保するとともに、システム構築の妥当性に関して経営層や事業部門へ説明できるように、ベンダーの活用・調達・管理の方針を明確にする。

開発プロセス

(5)ソフトウェアのサービス部品化
ソフトウェアを、「サービス」と呼ばれるビジネスプロセス上で意味を持つ自立した機能の単位で部品化し、組み合わせて活用することによって、高い生産性と柔軟性を実現できる。また、サービス同士をゆるやかに結合することで、ビジネスプロセスの変更に迅速・柔軟に対応することが可能となる。

(6)製造の自動化
設計図(モデル)をもとに、開発支援ツールを用いてプログラムを自動生成する開発技術が注目されている。製造業や建築業のように、設計図(モデル)と製造物(プログラム)の乖離がなくなれば、コーディング量の減少と設計図(モデル)の再利用が進み、結果としてシステムの品質と生産性の向上が期待できる。

(7)アジャイル開発プロセスの適用
要件の変更や追加を積極的に受け入れ、本当に必要な部分からとりあえず動くソフトウェアを短期間でかつ柔軟に構築する手法である「アジャイル開発プロセス」が注目されている。

(8)レガシーマイグレーションによる既存システム資産の再利用
メインフレームなどのレガシー(旧式)システム上のプログラムやデータなどを極力活用しながら、迅速にかつ低コストで新しいシステムへの移行を実現できる。

保守プロセス

(9)システム保守業務のQCDの向上
「保守業務プロセスの標準化」、「品質指標・生産性指標の設定による保守業務の生産性および品質の可視化」、「ポータルサイト活用による情報共有の促進」などにより、システム保守業務の品質(Q)・コスト効率(C)・スピード(D)を向上させる

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株式会社野村総合研究所 淀川 高喜
監修者プロフィール
株式会社野村総合研究所  淀川 高喜
プロセス・ITマネジメント研究室長 兼 金融ITマネジメントコンサルティング部長。国家試験 情報処理技術者試験 試験委員会 委員。1979年野村総合研究所入社。生損保、銀行、公共、運輸、流通、製造業などあらゆる分野における幅広いシステムコンサルティングに携わる。専門は情報技術による企業革新コンサルテーション、情報システム部門運営革新コンサルテーションなど。


INDEX
第4回:システム構築力の獲得
  これからのシステム構築プロセス
調査プロセス
  システム運用革新の国際標準ITILの概要

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