KubeCon+CloudNativeCon North America 2025レポート 6

写真で見るKubeCon North America 2025

KubeCon North America 2025に出展したコミュニティと企業のブースを紹介。

iioka

5:59

KubeCon+CloudNativeCon North America 2025のショーケース及びプロジェクトのブースを紹介する。以下の写真にあるように、今回のイベントには200社以上の企業がスポンサーとして参加している。トップのダイアモンドスポンサーの枠は数が限られており、スポンサーになるためにはくじ引きで当たりを引かなければならないという競争率の高さである。

それに加えて210以上にも上るプロジェクトが存在するため、ショーケースにはGoogleやMicrosoft、AWSなどの著名なベンダーのブース以外に、数時間しか割り当てられないプロジェクトのためのデスクとモニターが設置されているブースや、ポスターセッションと題して液晶モニターだけが用意されるブースまでバリエーションはさまざまだ。この稿では筆者がインタビューを行った企業のブースなどを中心に紹介する。全体を総括することは不可能なので、あくまでも筆者の主観で選択したブースの感想であることに留意して欲しい。

ダイアモンドからゴールドまでのスポンサーのロゴ

ダイアモンドからゴールドまでのスポンサーのロゴ

シルバースポンサーの一覧

シルバースポンサーの一覧

もはやブロンズスポンサーというランクは存在せず、その代わりに起業から数年以内というベンダー向けの「スタートアップ」というスポンサー枠が設定されている。またエンドユーザーという枠もあるが、今回はBloombergだけがその対象となったようだ。かつてはAppleなどもエンドユーザーとしては参加していたが、今回は見送ったようである。

スタートアップとエンドユーザーという枠があるのもKubeConならでは

スタートアップとエンドユーザーという枠があるのもKubeConならでは

CNCFのプロジェクトによっては個別に説明や質疑応答を行うためのエリアが用意されており、この時はOpenTelemetryのための時間となっていた。TikTokがIPv6に移行したことを解説するセッションでも、困った時はオンラインでの会話だけではなく直接会って対話することが重要であることが強調されていたが、コミュニティのメンバーに直接疑問をぶつけることで問題が解決することは往々にして起こり得る。このエリアはそのための施策であろう。KubeConに数回参加している日本人エンジニアに話を聞いた時も、ベンダーのブースよりもプロジェクトのブースでしっかり対話するのが一番おもしろいという感想が多かった。

Lima

NTTの須田瑛大氏が開発するLimaのプロジェクトブース

NTTの須田瑛大氏が開発するLimaのプロジェクトブース

この写真はLimaを紹介するプロジェクトブースだ。LimaはNTTソフトウェアイノベーションセンタの須田瑛大氏が開発するツールで、主にMac上でLinuxを仮想マシンとして実行するためのコマンドラインツールである。須田氏は2023年にシカゴで開催されたKubeCon North Americaにおいてトップコミッターアワードを受賞したエンジニアであり、CNCFのランタイムコミュニティでは著名なエンジニアである。そのコミットやレビューの多さと素早さから「本当は複数人でコントリビューションを行っている秘密のプロジェクトチームじゃないのか?」と疑われたというエピソードも残っており、受賞のためにステージに上がった後に「本当に一人のエンジニアがやっていたんだ」という驚きのコメントがCNCFのアンバサダーからも上がるほどの出来事であった。

●参考:Cloud Native Computing FoundationのTop Committerを受賞

上記はNTTのリリースであるが、ContainerdそしてLimaと2つのオープンソースプロジェクトをリードしている須田氏は日本のトップエンジニアであることは間違いない。

KueueなどKubernetesのエコシステムを構成するツール

MicrosoftがリードするKubernetesのためのダッシュボードツール、Headlampのブース

MicrosoftがリードするKubernetesのためのダッシュボードツール、Headlampのブース

オブザーバビリティツールであるFluentdとFluent Bitのブース

オブザーバビリティツールであるFluentdとFluent Bitのブース

Kubernetesクラスターのジョブスケジューリングを行うKueueのブース

Kubernetesクラスターのジョブスケジューリングを行うKueueのブース

KueueはBloombergのセッションでも言及されたKubernetesクラスター内のジョブスケジューラーである。クラスター間のスケジューラーであるKarmada、バッチジョブスケジューラーであるVolcanoと並んで、Kubernetes上でAIワークロードを実行する際に必要となる機能を提供するオープンソースプロジェクトだ。

サーバーレスのためのツール、Knativeも注目されていた

サーバーレスのためのツール、Knativeも注目されていた

ここからはベンダーブースを紹介する。

Cosmonic

WasmのエコシステムをリードするCosmonicのブース

WasmのエコシステムをリードするCosmonicのブース

CNCFのプロジェクトでもあるwasmCloudの開発をリードするCosmonicのブース。左側の女性はCosmonicのCTOであるBailey Hayes氏だ。

Hayes氏はCosmonicのCEOであるLiam Randall氏と打ち合わせをしている途中にも写真を撮らせてもらった。

ノートPCを囲んで議論中をお邪魔して撮影。右がCEOのLiam Randall氏

ノートPCを囲んで議論中をお邪魔して撮影。右がCEOのLiam Randall氏

Edera

コンテナの実行をよりセキュアにするハイパーバイザーのEderaを開発するプロジェクト名と同じEderaのブース。

EderaのブースのMarina Moore氏。CNCFのTAG SecurityのCo-Chairだ

EderaのブースのMarina Moore氏。CNCFのTAG SecurityのCo-Chairだ

Ederaはコンテナの実行をアイソレーションして守るハイパーバイザーだが、TAG Securityの共同チェアパーソンという役目を負っている人物がサイエンティストとして企業に参加している点がポイントだろう。Moore氏はTUFやin-totoなどのサプライチェインセキュリティをNew York Universityの教授の立場ながら推進しているJustin Cappos氏の教え子になる。Justin Cappos氏は2025年のKubeCon Japanでもセッションを持っており、ここでも教え子の研究員と一緒にプレゼンテーションを行っていた。

●参考:KubeCon Japan 2025、SBOMの課題を解説するSBOMitのセッションを紹介

Buoyant

Linkerdの開発元、BuoyantのCEO、William Morgan氏。後ろはBuoyantのブースだ

Linkerdの開発元、BuoyantのCEO、William Morgan氏。後ろはBuoyantのブースだ

BuoyantはLinkerdのプロジェクトブースにも説明スタッフを出していたが、本来のブースは参加者を呼び込むのではなく動画を撮影するための設備として使うという大胆な使い方をしていた。

Buoyantのブースは動画撮影のためのセットとなっていた

Buoyantのブースは動画撮影のためのセットとなっていた

ブースを企業やプロダクトの宣伝のために使うのではなく、Linkerdのユースケースやユーザーからのコメントを残すための動画撮影にのみ使うというやり方は、The New StackなどのWebメディアに見られるスタイルだが、それをソフトウェアベンダーが採用するのは稀だろう。GitHub UniverseなどではMicrosoftがブースの中に対談スペースを作ってそこでPodcastや動画配信をしていたが、Buoyantのように自社ブースをまるごと使って行っていたのは非常に珍しい。Morgan氏にそのことを訊くと「マーケティングの担当が発案したやり方で特に口出しはしないことにした」とコメントしていた。

Zesty

Kubernetesのコストを最適化するZestyのブース

Kubernetesのコストを最適化するZestyのブース

これはKubernetesのコストを最適化するソリューションを展開するZestyのブースで、ポーズをとっているのがR&Dリーダー、Mark Serdze氏だ。Serdze氏へのインタビューは別稿で紹介する予定だ。

ClickHouse

ClickHouseのブース。左側の男性が買収されたHyperDXの創業者、Mike Shi氏だ

ClickHouseのブース。左側の男性が買収されたHyperDXの創業者、Mike Shi氏だ

ClickHouseのブースはショーケース会場の端に位置しており、やや不利な立地ではあったが、参加者の集まりは上々であった。Mike Shi氏はオブザーバビリティのHyperDXの創業者である。カラム指向データベースで高速なリアルタイム分析を可能にするClickHouseがHyperDXの買収により、オブザーバビリティを手に入れてより訴求力を増したと言ったところだろうか。

CloudSmith

アーティファクト管理のCloudSmithのブース

アーティファクト管理のCloudSmithのブース

アイルランドのベルファストで起業したアーティファクト管理のためのツール、Cloudsmithのブース。立っているのはマーケティングのVP、Juliana Kelly氏(左)とCEOのGlenn Weinstein氏(右)だ。この2名にもインタビューを行っているので別稿にて紹介する。

GitLab

DevOpsのためのCI/CDプラットフォーム、GitLabのブース

DevOpsのためのCI/CDプラットフォーム、GitLabのブース

CI/CDのためのプラットフォーム、GitLabのブース。デベロッパーリレーションのVP、Emilio Salvador氏とPR担当のChristina Weaver氏だ。Salvador氏はMicrosoft、Google、AWSでキャリアを重ねた業界のベテランで、The Linux Foundationのボードメンバーでもある人物だ。Weaver氏は元RackspaceでOpenStack Summitでも何度か出会っている知人でもある。この2名にもインタビューを行った。

インタビュー中のWeaver氏(左)とSalvador氏(右)

インタビュー中のWeaver氏(左)とSalvador氏(右)

Harness

Harnessのブース。中央の人物がインタビューを行ったフィールドCTOのMartin Reynolds氏

Harnessのブース。中央の人物がインタビューを行ったフィールドCTOのMartin Reynolds氏

HarnessはAppDynamicsの創業者兼CEOであるJyoti Bansal氏が、CiscoにAppDynamicsを売却した後に創業したCI/CDのためのツールを開発している企業だ。ブースにいつたCTOのRaynolds氏にもインタビューを行っている。

ここまで多くの企業のブースを紹介してきたが、これらはKubeConに参加しているスポンサーのほんの一握りというのが実態である。

発表された5つの新プロジェクト

初日のキーノートの後に行われたプレスカンファレンスでは5つの新しいプロジェクトがサンドボックスとして採用されたことが発表された。

5つの新しいサンドボックスプロジェクトが追加された

5つの新しいサンドボックスプロジェクトが追加された

AWSが開発をリードするCedar、パッケージのフォーマットを定義するDalec、クラウドネイティブなシステムにおけるヘルプデスクの仕事を生成AIのチャットボットで実装するHolmesGPT、認証のOAuth2 Proxy、そしてメタデータストアであるOxiaの5つだ。ちなみにOxiaはオープンソースのプロジェクト紹介でよく使われるイラストを使ってその用途を解説していた。

●参考:What is Oxia?

メタデータが共有されないことがリスクとなる部分をOxiaが強固にするというイラスト

メタデータが共有されないことがリスクとなる部分をOxiaが強固にするというイラスト

最後にグッズを紹介しておこう。KubeConでは開催地にちなんだ商品が毎回用意されるが、今回はジョージア州アトランタでの開催にちなんだボトルが売られていた。

ジョージアにちなんだボトル。元ネタは「Georgia on my mind♪」

ジョージアにちなんだボトル。元ネタは「Georgia on my mind♪」

さらに今年は、大いに話題になったテイラー・スウィフトの楽曲が由来のフレンドシップブレスレットも販売されていた。

テイラー・スウィフトの「You're On Your Own, Kid」に出てくるフレンドシップブレスレットのKubeCon版

テイラー・スウィフトの「You're On Your Own, Kid」に出てくるフレンドシップブレスレットのKubeCon版

この辺りも流行りを敏感に取り入れるCNCFのセンスの良さが出ていたと言えるだろう。

2026年のKubeCon North Americaは当初予定されていたロサンゼルスではなく、ユタ州ソルトレークシティーで2026年11月9日から12日に開催される予定だ。ユタ州ならではのグッズも期待したいところではある。

●参考:https://events.linuxfoundation.org/kubecon-cloudnativecon-north-america-2026/

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