TOP>キーパーソンインタビュー> JBossのパートナー戦略とビジネスアプリケーション 前のページ 1 2 3 次のページ JBossのパートナー戦略とビジネスアプリケーション 梶山氏 OSからアプリケーション開発のインフラ、そしてSOAのプラットフォームと幅広いラインナップとなりますが、CRMやERPといったビジネスアプリケーションの提供は行わないのでしょうか? Connolly氏 ビジネスアプリケーションを開発する予定はありません。このアプリケーションの領域は高い専門性を持つパートナーにお任せし、それぞれのビジネスにコンフリクトを起こさないように考えています。 SOAプラットフォームについても、スタックのすべてを開発するのではなく、ユーザに選択肢を提供するJBossのプラガブルなアーキテクチャとオープンスタンダードにより、これまでと同様にパートナーからも優れた製品やソリューションが提供されることになるでしょう。我々はSOAプラットフォームのナンバーワン企業になりたいと考えていますが、それは決して独占して達成することではなく、オープンソースならではのエコシステムによって発展していきます。 梶山氏 RedHatとの合併によってLinuxというOSを得たJBossですが、これによって他のOSを提供しているベンダーとの関係に変化はありそうですか?合併前のJBoss Inc.はマイクロソフトやSuSE LinuxのNovellなどとパートナーとして共同検証などを行っていましたが。 Connolly氏 基本的にOSを提供しているベンダーとはこれまでと同様、良好な関係を持続していきたいです。それぞれOSを主力製品としていますが、OS以外にも様々な製品やソリューションを持っているので、その面では競争をしながら協力するという関係は変わりません。 特にマイクロソフトとは2005年6月に協力関係をスタートさせました。実は私がJBossに入って最初に行った提言がマイクロソフトとの連携の必要性です。オープンソースの世界でもマイクロソフトの存在は重要です。現在もJBossユーザの約半数がWindows上で利用しているように、.Netの存在がありながらJavaのマーケットは大きなものになっています。 Webサービスの互換性検証をレドモンドで共同で行ったほか、HibernateとSQL Serverについては共同で5ヶ月かけて検証やチューニングを実施しました。現在、限定的ではありますが、マイクロソフトの仮想化技術との環境構築の検証を行っています。 梶山氏 日本やアジアのオープンソース市場の分析をお聞かせください。特に、JBossの利用企業数がWebSphereとならんでトップとなるなど導入が進んでいる欧米での状況との違いがあればおっしゃってください。 Connolly氏 日本は重要な市場と認識しています。2007年にJBossはこの市場で大きく飛躍すると信じています。日本ではレッドハットがLinuxとして高いシェアを確保しており、高い知名度を活かしてJBossの普及が進むでしょう。 これまではJBoss Inc.の限られたリソースでは翻訳に力を入れることができず、プレゼンスの向上もパートナー任せとなっていました。しかしパートナーでは販売のリソースが必要となるため、翻訳を依頼することも難しい状況でした。しかし、合併によりこの点は解消されました。 技術者のレベルとして日本と欧米の国々で大きな違いがあるとは思いません。基本的に保守的であることと、製品を吟味してから採用する文化であるため、新しい製品の導入には時間がかかっていて、一度技術的なアドバンテージをご理解いただければ飛躍的に利用が進むと思います。 これは欧州、特にドイツでも同じ傾向がありますが、言語的な障壁が低かったこともあり、すでに公共機関や大手企業での導入事例が出ています。製品知名度については米国でもJBossアプリケーションサーバとHibernateぐらいしか知らないエンジニアも多数おり、今後の課題だと考えています。 翻訳については日本語の他に、利用者の多いドイツ語、フランス語やスペイン語、そして今後の普及が見込まれるポルトガル語(ブラジル)と簡体字中国語を対象としています。 前のページ 1 2 3 次のページ INDEX 第1回:JBossのキーマンが語る日本市場戦略 RedHatによる買収から約半年経過したJBossの現状 JBossのパートナー戦略とビジネスアプリケーション JBossのSOAプラットフォームを用いたシステム基盤への取り組み例 キーマンが広げるオープンソースビジネスの輪 第1回 JBossのキーマンが語る日本市場戦略 第2回 Apache Geronimoのコミッタが示す新しいアプリケーションサーバの姿