第5回:経営の可視化の実現策 (3/3)

経営の可視化
企業活動と経営の可視化

第5回:経営の可視化の実現策

著者:オープンストリーム  赤穂 満   2007/4/17
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計数管理情報の集約

   リアルタイムな経営管理とは、迅速かつ適確な意思決定の支援をするために、随時にPDCAサイクルを回すことができることを指す。そのためには、まず、標準化/簡素化を徹底し、様々な管理を行うための実績情報をタイムリーかつ正確に収集できる「計数管理情報」を体系化・構築し、各事業の実態を随時把握できる環境を整備する必要がある。

   迅速/的確な意思決定を支援する経営情報の管理を行うためには、各管理指標に関して管理目的に応じた管理対象、管理主体などを明確にすることが重要なポイントとなる。
管理情報の分類と体系化
図4:管理情報の分類と体系化
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   様々な事業情報をそれぞれ適切に支援するために、マネジメントが持つ事業管理指標およびオペレーションレベルで持つ業務管理指標に対して、それぞれの事業特性を反映させる必要がある。

   図5のように、事業特性として各事業領域を整理し、事業特性を把握し、管理レベルとして各事業特性に応じた事業管理要件およびリアルタイム性の定義を実施する必要がある。

管理レベルでの情報の集約化
図5:管理レベルでの情報の集約化
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


BIの基本的なシステム構成

   Business Intelligence(BI)とは、正確な情報を適切な人にタイムリーに提供することで、企業がより適切な判断を迅速に行うことを可能にするための考え方と、それを実現するためのシステムと定義される。BIはその有用性から、様々な業界で利用されている(表4)。

流通業
  • 購買パターン
  • 顧客分析
  • 主軸顧客セグメント
  • キャンペーンマネジメント
製造業
  • 製品ライフサイクル
  • 投資分析
  • 入・出荷予想
  • サプライチェーン計画
通信業
  • 通信傾向分析
  • 不正発見
  • 解約防止
  • サービス使用傾向分析
全業種
  • 利益率
  • 売上分析
  • 顧客セグメンテーション
  • 与信管理

表4:BIの適用業種

   このBIを実現するシステム構成は図6のようになる。

基本的なシステム構成
図6:基本的なシステム構成
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   図6のシステムにおいて、社内のデータ資産を統合して管理するためのデータ管理機構である多次元データベースの構築は必須となる。その多次元データベースからそれぞれの部門が利用するデータマート構築することで、作業進行がスムーズになる。

   これらの「見える仕組み」により、経営層に必要な情報を集約でき、迅速な意思決定につなげることができるのである。


最後に

   「企業活動や経営の可視化」については、各ベンダーが様々な取り組みを検討してきたが、IT基盤の未成熟さもあって実現に至っておらず、多くの企業で頓挫したケースが見受けられる。

   その理由の1つとして、可視化を実現するためのシステム構成が急激なスピードで変化していくビジネスモデルについていけないことがあげられる。可視化するために基幹系業務の情報を事業単位に整備して「見える仕組み」を構成しても、その事業自体が再編されシステム構成の再構築を余儀なく迫られるからである。そのため、システムの構築にはスピードと柔軟性が求められるのである。


SOA適用のメリットについて

   表5のようにSOAを適用することによって、実現を急ぐ機能から順次展開でき、柔軟で迅速な意思決定が可能となる。

  • 複数の既存システムの連携やデータ連携にSOAを適用することが可能
  • これまでに述べた個々の機能をサービス化しておくことにより、特定の管理者だけでなく、今後、その機能を必要とする管理者へもSOAを適用することが可能

表5:SOAの適用

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株式会社オープンストリーム  赤穂 満
著者プロフィール
株式会社オープンストリーム  赤穂 満
サービス推進兼SAXICE推進担当 統括ディレクタ
活動状況:これまでに、製品ライフサイクル、製品構成情報管理やビジネスモデルなどに関する解説記事、論文多数。
所属学会:日本設計工学会、経営情報学会、ビジネスモデル学会、正会員。


INDEX
第5回:経営の可視化の実現策
  可視化するための企業システムの全体像
  多次元データベースの適用例
計数管理情報の集約
企業活動と経営の可視化
第1回 企業の生産活動をどのように可視化していくか
第2回 製品ライフサイクルの観点から見る製品情報の可視化
第3回 原価企画の観点から見るコスト情報の可視化
第4回 戦略的調達の視点から見る調達情報の可視化
第5回 経営の可視化の実現策

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