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OSSなら問題を解決できるのか?
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そうこうするうちに、1998年に当時のテンアートニ社の社長である角田好志氏と出会うことになる。大塚商会のネオダマ(注1)で「JavaとLinuxによる企業情報システム構築」のセミナーを受けたところ、その講師が角田氏だったのだ。
※注1:
ネットワーク
オープンシステム
ダウンサイジング
マルチメディア
上記4文字の頭文字をとったもの
彼の提案する方法なら、効果的なシステムが廉価で構築できそうだった。それに、そこではじめて聞いたOSSの考え方が業務システムの開発の時にも使えそうに思えたのである。
システムをOSSとすることで開発受託企業の誠実さの確認、開発者のモラルアップにつながるはずであり、システム開発の委託側としてはこの2つはいつも意識しなければならない重要課題なのである。結局、受発注システムはテンアートニ社に開発を依頼することになった。
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Cervezaの開発とOSSとしての発展
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ここは、まさにCervezaを研究してくださった諸氏の方が詳しい部分だと思われるので改めて触れる必要もないと思われるが、次の年表を示しておく。
1998年 8月 |
Cervezaのプロトタイプを開発 |
1999年 7月 |
Cervezaがニユートーキヨーで本格的に稼動 三井食品の物流センター(OSBC)への発注で利用 |
1999年 11月 |
Cervezaをオープンソースとして発表 |
2000年 5月 |
アウトバックステーキハウスで稼働(三井物産ASP) |
2000年 9月 |
WDI系列のカプリチョーザで稼働(三井物産ASP) |
2000年 10月 |
大戸屋で稼働(三井物産ASP) |
2001年 4月 |
ダイナックで稼働 |
2002年 12月 |
名古屋の浜木綿で稼働 |
2003年 12月 |
R&D外食ネットで稼働 |
2003年 3月 |
ダイナックがCervezaのデータベースをPostgreSQLに変更 |
表2:Cervezaの年表
現在は三井物産がCervezaのASPサービスを終了しており、アウトバックステーキハウス、WDI、大戸屋ではすでにCervezaを利用していない。最近ではR&D外食ネットが当時の三井物産と同じようなASPサービスを行っている。
また最近では、食の安全やトレーサビリティの観点からも、受発注システムは外食企業にとって重要になってきていることを書き添えておきたい。今後の受発注システムの発展に注目してはいかがだろうか。
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Cervezaをテーマに研究をしてくださった方々へ
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Cerveza開発は手探りでのスタートであり、オープンソースにするとどのようになるかもわからなかった。そればかりか、どうすればOSSにしたことになるのかも見えていなかったのである。
それでも多くの方々のお陰でCervezaはなんとか7年目を迎えようとしている。今後、Cervezaがどうなっていくのかはわからないが、システムユーザによる業務システムのオープンソース化について、好意的な研究が多数発表されているのはありがたい。
システムユーザによる業務システムのオープンソース化について、日本ではいまだニユートーキヨーが試みただけであり、大手企業や公共団体などでは独自開発システムのオープンソース化に取り組むところは見えてこない。しかし、そのような状況であっても、次の言葉を述べたい。
「今回紹介した研究成果に触発された人々が、業務システムのオープンソース化への挑戦をはじめてくれるに違いない」
この希望的な予想をCervezaについて研究テーマにしてくださった方々へのお礼の言葉に代えさせていただく。
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著者プロフィール
株式会社ニユートーキヨー 湯澤 一比古
財務部情報システム室 室長。53年東京生まれ。
75年にニユートーキヨーに入社。8年弱のウエイター経験を経て、システム担当に就任。ニユートーキヨーが「セルベッサ」をオープンソースとして発表した時に、システム担当者として初めてOSSに触れる。現在、同社のシステム室長。OSCARアライアンス、OSSAJなど、複数のオープンソース推進団体に参加。セルベッサ以外にも「ガラガラドア」や「オルット」などのオープンソースシステムを手がけている。
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