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OSS業務システム
オープンソースで構築する業務システム特集

第8回:オープンソースERP「Compiere」の導入事例
著者:アルマス  ジリムト   2006/7/20
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オープンソースソフトウェアと商用製品との違い

   前回はオープンソースERPのCompiereの機能および特長について解説してきました。今回はそれらの情報を基として、その機能および特長について最近普及している商用ERP製品と比べます。

   筆者は日本において大手ベンダーの製品導入/運用サポートを数年間行った経験があり、ERP製品の特長について知る機会がありました。大手ベンダーのERPには多くの大企業で導入事例があり、大量のデータを扱うというスケーラビリティの面において非常に優れています。用途による分類は数十種類(会計/人事/販売/購買/製造など)も存在し、モジュールも百数十種類のものがあります。

   各モジュールは業界の様々な要求に合うプログラムや機能などを提供しており、その数は非常に豊富です。しかし、多数のモジュールを同時に使用している企業は少ないと思います。おそらく、「限定した2、3モジュールを中心にして1インスタンスとして動かしている」あるいは「別々に動かしてお互いデータ受け渡しながら連動している」といったケースが多いことでしょう。

   具体的には、「一般会計と買掛金モジュールを一緒に動かす」「購買管理と会計モジュールとのデータ受け渡す」「人事システムを給与システムと連動させる」ということが考えられます。

   大規模なERPでも多数のモジュールを同時に使用しないことが一般的なのですが、これは一連の流れを1つのシステムでまとめて処理する時に、部門間の業務連携に対応する導入費用が高くなったり、導入時間が予定よりも長くなったりすることが原因だと思います。

   またもう1つの理由として、導入時に設定した構成でシステムが稼働してしまうと、次のモジュールを導入する時にシステムが変更しにくいといったことがあげられます。

   それに対してCompiereは大規模なERPに比べても非常にコンパクトなシステムであり、スペックの高いサーバでなくとも利用することができます。「導入時の適用性」「導入後の変更可能性」「企業要求からの随時カスタマイズ開発」ができます。それは中堅・中小企業に対して素早く対応できる点として、非常に大きな評価を得ていると思います。


商用ERPに対してのメリット・デメリット

   商用ソフトウェアに対してのCompiereのメリットとして、次の点があげられます。

  • オープンソースシステムはソフトウェアライセンス費用がかからないというメリットがある。Compiereはソースコードを自由に加工して、再利用できるMozillaパブリックライセンスになっている

  • ソースコードがあるために、要求に応じていつでもコード修正できる。商用システムではユーザからの問題点などは全部ベンダーに渡ってしまい、統一して開発側で集中修正などを行うようになっている。既知の問題であれば早く解決できるが、新しい発見した問題であればそれなりの時間を待たなければならない場合もある

  • ベンダーの方で問題を発見したデータがないため、問題報告を詳しく正確に報告しないと解決案がだせずにペンディング状態になることもあるが、オープンソースだと自分でソースを持っているため、ソースを修正してシステムを稼働させることができるチームがあれば素早く対応できる(パートナーやCompiere本社のサポートを利用すれば、特別なサポートを受けられるようになる)

  • ソースコードがシステムのドキュメントの補充資料になる

  • オープンソースコミュニティを活用することにより、類似した問題の解決案を見つけることができる

  • ユーザ同士の間で経験を交換することにより、様々な潜在機能を活用することができる

表1:商用ソフトウェアに対してのCompiereのメリット

   しかし、オープンソースシステムには多くのメリットがあるものの、いくつかのデメリットもあります。

  • システムのドキュメント資料の不足
  • 教育機関の未整備
  • 問題解決のサイクルの遅延
  • どのような問題があっても、その問題に対しての責任を直接受け入れる団体が存在しない。オープンソースの提供者だとしてもその問題に対応しなければならないということではなく、できれば対応するというスタンスが多い
  • 新規開発のスピードの遅さ。場合によって長く時間待たせることもある

表2:商用ソフトウェアに対してのCompiereのデメリット

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コンペアージャパン
http://www.compiere-japan.com/
大手企業ERP導入サポートした経験を活かして、日本の中小企業のために、オープンソースERPシステムCompiereの日本語版パッケージの提供から導入コンサルティング、カスタマイズ開発および運営サポートを提供している。
運営会社
株式会社アルマス
http://www.almas.co.jp/
株式会社フォーワンファースト
http://www.411.co.jp

株式会社アルマス ジリムト(吉日木図)
著者プロフィール
株式会社アルマス  ジリムト(吉日木図)
株式会社アルマス代表取締役社長
内モンゴル大学電子学部修士卒業。18年のシステム開発経験を持ち、日本では大手外資系会社のERPシステム導入運営サポートを3年間経験したほか、主にはOSSベースのシステム開発を担当し、Struts,Torque,DisplayTag,Quartz,JasperReport,iText,jChart, HttpClientなどOSSを使った自社開発プラットフォームjWare(Java Web Application Rich Engine)をベースに多数のプロジェクト完成。中小企業向けオープンソースERP&CRMであるCompiereの日本語化プロジェクトをリードしている。


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INDEX
第8回:オープンソースERP「Compiere」の導入事例
オープンソースソフトウェアと商用製品との違い
  導入実績
  「カーテン販売業受発注システム」開発プロジェクト
オープンソースで構築する業務システム特集
第1回 オープンソースCRM『SugarCRM』
第2回 オープンソースECシステム「osCommerce」
第3回 「GARAGARADOA」をオープンソースとした影響
第4回 オフコンからWebシステムへの流れ
第5回 Cervezaが残す軌跡
第6回 CRMと統合した中小企業向けオープンソースERP「Compiere」
第7回 ユーザビリティとカスタマイズ機能に秀でた「Compiere」の特長
第8回 オープンソースERP「Compiere」の導入事例
第9回 国産オープンソースCRM「SalesLabor」、FAQシステム「QuestionLabor」
第10回 低コストでのPOS導入を可能にした「フランシーヌ」