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アジャイル開発
今こそ再考するアジャイル開発

第1回:アジャイル開発を問い直す

著者:日本コンピューター・システム   新保 康夫
アッズーリ   濱 勝巳  2006/8/3
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アジャイル開発手法の種類

   アジャイル開発は特定の開発手法をさす言葉ではないと既述しましたが、実際にどのような開発手法があり、アジャイル開発におけるそれらの特長とはどのようなものでしょうか。ここでは、手法別にその特長を見てみることにしましょう。
アジャイル開発手法の種類のまとめ

   アジャイル開発において、よく知られているのがXPです。それ以外にも多くの開発手法があります。ここでは、主なアジャイル開発の手法を表1に説明します。

方法論名称 概要
エクストリームプログラミング:
XP(Extreme Programming)
提唱者:Kent Beck。
コーディング、テストファースト、リファクタリングなどの技術プロセスが中心。
スクラム:
Scrum
提唱者:Ken Schwaber, Jeff Sutherland。
マネジメントにフォーカスした方法論。
クリスタル(ファミリー):
Crystal (family)
提唱者:Alistair Cockburn。
ワイドスペクトラムな方法(小規模〜大規模)。であり、継続的なプロセス改善を可能とする。
フィーチャ駆動型開発:
FDD (Feature Driven Development)
提唱者:Jeff De Luca, Peter Coad。
モデル中心の古典的な繰り返し型開発プロセスであり、かつ、軽量。
適応的ソフトウェア開発:
ASD (Adaptive Software Development)
提唱者:Jim Highsmith。
RADを発展させ、カオス適用理論(CAS)を用いたフレームワーク。
動的システム開発方法論:
DSDM(Dynamic Systems Development Method)
RAD、JADをベースとして、プロトタイプを多用する。
リーン ソフトウェア開発:
LSD(Lean Software Development)
提唱者:Mary Poppendiek。
トヨタのカンバン方式(最小在庫=ドキュメント)の原理応用。
エクストリーム モデリング:
xtUML(Executable and Translatable UML)
提唱者:OMG-MDAなど。
検証実行可能なモデリング(ツール)を利用しており、マネジメント的側面はない。

表1:主なアジャイル開発の開発手法
出典:アジャイルプロセス協議会セミナー資料


ヒューマンレベルの側面から考察するアジャイル開発の特長

   アジャイル開発における特長について技術的な側面ではなく、まずはヒューマンレベルの側面から考えてみましょう。アジャイル開発における要素を図3にあらわします。

アジャイル開発の要素
図3:アジャイル開発の要素
出典:アジャイルプロセス協議会セミナー資料

   アジャイル開発の要素においては人間を中心に考えることが大切です。規則・制限・制約によって成功に導くのではなく、システム開発に関わるすべての人のメンタリティやモチベーションを向上させる。そして個々の相互作用を活性化させることによって、システム開発を成功に導くことが重要な特長なのです。

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日本コンピューター・システム株式会社  新保 康夫
著者プロフィール
日本コンピューター・システム株式会社
新保 康夫(しんぼ やすを)

本部企画室 コンサルタント、ITコーディネータ/ITCインストラクタ、システム監査技術者。
1975年 日本コンピューター・システムに入社。システム開発に従事し、プロジェクトマネージャを経て現在、コンサルタント業務に従事する。コンポーネントベース開発やアジャイル開発にも関与する。
「ソフトウェアプロセスレベルを向上させるCMMI活用術〜ソフトウェア開発の品格」をThinkITにて掲載。

有限会社アッズーリ  取締役社長  濱  勝巳
有限会社アッズーリ
濱  勝巳(はま  かつみ)

(有)アッズーリ 取締役社長。メーカ系ソフトウェア会社でファームウェアのプログラマを経て、フリーのエンジニアとして独立し、1999年に有限会社アッズーリを設立。オブジェクト指向、アジャイルプロセスを利用したエンタープライズアプリケーションを開発に従事し、現在は経営やプロジェクトマネジメントの視点でアジャイルプロセスを見つめ、情報システムベンダのあるべき姿を追求している。2003年よりアジャイルプロセス協議会副会長。


INDEX
第1回:アジャイル開発を問い直す
  アジャイル開発の意義
アジャイル開発手法の種類
  アジャイル開発に適したチーム編成