第2回:電子メールシステム強化の取り組み(前編) (3/3)

シマンテックイエローブック
電子メール環境を効果的に管理するための総合的アプローチ

第2回:電子メールシステム強化の取り組み(前編)

著者:シマンテック   2007/2/14
前のページ  1  2  3
増加する電子メールのサイズ

   電子メールのメッセージ数だけでなく、平均的な電子メールのサイズも増加しています。

   電子メールの添付ファイルには、グラフィックやマルチメディアなどが大量に含まれていることがあります。添付ファイルが1対多関係に基づいて増加していけば、1メッセージあたりの合計容量も増加することになります。

   IDC社によれば、世界中で送信される個人間のビジネスメールのサイズは、2003年から2004年にかけて59パーセント増加しています。1日に送信される個人間の電子メール数は、2006年に世界中で363億通に達するものと予想されています(出典:IDC、Worldwide Email Usage 2005-2009 Forecast、IDC #34504、2005年12月)。

   また、Radicati社の研究報告によれば、平均的な企業の電子メールユーザーは、1日に約10MBのデータを処理しています。この数字は、2008年までに1ユーザーあたり1日につき15.8MBにまで上昇すると予測されています。

   この予測が現実のものになれば、企業のメッセージサーバーに多大な負担がかかることになります。大量のデータを長期間保存する負担も加われば、メッセージサーバーが正常に機能する範囲を超えてしまいます(出典:E-Mail Archiving Market, 2004-2008 12 Copyright March 2004 The Radicati Group, Inc.)。

   電子メールの保存に関連するコストが、ストレージ容量の必要条件に比例して上昇していることは明らかです。

電子メールアーカイブを集中管理するしくみの欠如

   組織が保存する必要のある電子メールの割合は増え続けています。外部の規制や社内ポリシーを遵守していることを証明するためや、法的な開示要求に備えるためなど、さまざまな目的で保存を行っています。

   しかし、電子メールシステムは一般的なメッセージングシステムと同じ量のデータを保存するようには設計されておらず、そのような使用を行った場合のリスクや欠点が徐々に明らかになっています。

   ストレージ管理の問題は日々深刻さを増しており、それが管理者に与える影響も大きくなっています。電子メールは次々に届き、その数は毎年大幅に増加しています。その結果、保存コストやバックアップコストが上昇し、電子メールシステムの可用性やパフォーマンスが低下するなど、さまざまな問題を招いています。

   メッセージサーバーは通常、容量の限界に近づくと処理速度が低下します。IT担当者は、大量の電子メールデータをバックアップするために、さらに長いバックアップ時間を必要とするようになっています。

   こうした問題を解決するために、ほとんどのIT組織では電子メールのクォータを設定して、ユーザーが使用できるストレージ容量を一定に制限しています。10年ほど前は、1ユーザーあたり10MBから50MBの制限が一般的でした。現在のクォータでは、25MBから200MBが標準的な値になっています。法律事務所では、メールボックスのサイズを最大2GBに制限しています。

   ユーザーは、自分の電子メールストレージがクォータを超えていないか常に確認する必要があります。電子メールクォータを遵守させると、ユーザーの生産性が低下し、IT担当者のもとに多数のサポートコールがかかってくることになります。これは、電子メール管理における最大の負担の1つになっています。

   多くの企業は、指定の日数よりも古いメッセージをすべて削除することで、電子メールのクォータポリシーを維持しています。ユーザーはそれに備えてデスクトップに個人用のフォルダを作成し、古いメッセージを格納して削除されないようにしています。

   Microsoft ExchangeではこうしたメッセージはPSTファイルとして保存されます。ほとんどの組織はPSTファイルをExchangeの定期的なバックアップに含めていません。代替の方法、つまりPSTファイルをネットワークファイルサーバーに保存する方法は、同じストレージとバックアップリソースを必要とするため、電子メールサーバーと同じ可用性とパフォーマンスの問題が発生します。

   PSTファイルは破損しやすく、この形式で保存された情報は消失の恐れがあります。情報をPSTファイルに保存すると、IT担当者はその情報を管理、監視できなくなり、組織はその情報にアクセスできなくなります。

   電子メールデータをテープ、CD、または代替のオフラインメディアに保存して、ストレージ問題を改善することもできます。ただし、これらの代替手段を使用しても、問題が転嫁されただけで根本的な解決にはなっておらず、結果的にアクセシビリティが低下します。

   集中化されていない情報アーカイブでは効率的な管理が難しいことに、多くの組織が気づき始めています。企業は、電子メールクォータ(ストレージ管理)のよい面を利用し、その問題点を避けるような方策を求め始めています。一次ストレージを効率的に使用しながら、より経済的な二次ストレージも利用でき、エンドユーザーやIT担当者に負担をかけずに重要な情報を危険から保護できるソリューションが求められています。

前のページ  1  2  3


株式会社シマンテック
著者プロフィール
株式会社シマンテック
シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。
http://www.symantec.com/jp


INDEX
第2回:電子メールシステム強化の取り組み(前編)
  新しい課題
  脅威の進化
増加する電子メールのサイズ
電子メール環境を効果的に管理するための総合的アプローチ
第1回 電子メールのセキュリティと可用性
第2回 電子メールシステム強化の取り組み(前編)
第3回 電子メールシステム強化の取り組み(後編)
第4回 電子メール管理の重層的アプローチ
第5回 電子メールのセキュリティのポイント
第6回 電子メールのアーカイブ化と耐性基盤の構築
第7回 電子メールセキュリティの強化
第8回 電子メールのアーカイブ化
第9回 耐性システムを構築する
第10回 電子メールセキュリティと電子メールアーカイブソリューションのまとめ
第11回 迷惑メールの遮断
第12回 Symantec Mail Security for Exchangeの設定概要
第13回 Symantec Mail Security for Exchangeを設定する際の注意事項
第14回 ゲートウェイサーバー層におけるネットワーク境界の保護
第15回 電子メールのコンプライアンス
第16回 コンプライアンスにおけるITの役割

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る