TOPサーバ構築・運用> コンバージョン率を上げることができるか?
アクセスログ解析
アクセスログ解析でWebマーケティング効果を向上

第1回:アクセスログの基礎の基礎

著者:いなかどっとコム  石井 研二   2007/5/14
前のページ  1  2  3  次のページ
コンバージョン率を上げることができるか?

   サイトを評価する指標として「コンバージョン率」というものがあります。ちっとも売れないというのは、コンバージョン率が低いことを意味しています。

   コンバージョンとは「態度を変えること」を表します。Webページにある人が訪れた段階では、その人は単なる「読者」「訪問者」といえます。ただページを見ている人。サイト側ではそれが誰かわかりませんし、こちらからメールを送ったりできるわけではありません。いわば、その人は「安全圏」にいる状態です。

   この人が、そのサイトを見ているうちに資料がほしいとか商品を買いたいと感じて、名前や住所、メールアドレスを書き込んで「送信ボタン」をクリックしたとします。すると、サイト側はその人が誰だかわかりますし、案内や資料などのメールも送れる状態になります。つまり単なる「訪問者」だった人が「見込客」に変わったわけです。

   安全圏を出て「訪問者」が「見込客」という立場に変わること。これを「コンバージョン」と呼ぶのです。

   あとは資料を送ったり、メールで連絡することで、営業活動できるわけですから、通常の企業として実力が発揮できます。資料請求してくれた見込客が10,000人あれば、10%の人に買わせることができるかもしれません。

   コンバージョン率は次の計算で求められます。
  • コンバージョン数(資料請求数など)÷総訪問者数×100=コンバージョン率(%)

   50万人が来て500人が資料請求したサイトなら、コンバージョン率は0.1%です。「コンバージョン率はどれぐらい必要か」という質問も多く頂きますが、一般には0.5%から3%ぐらいの間でしょう。

   もちろんその率は高いほどよいことになります。0.5%の会社は0.7%、1%と増やしていくことを目指します。もっともWebサイトの性質や顧客の種類、コンバージョン行動の種類によって状況は異なりますから、どのWebサイトでも努力次第でコンバージョン率5%まで増やせるとは限りません。

   月に500人の資料請求があれば十分ということなら、コンバージョン率は0.1%でも目標達成です。あとはこの率が悪くならないようにしながら、できるだけコストを落としていけばよいといえます。

   もちろんコストをかければよいものではありません。テレビCMを数多く出せば母数の訪問者数を増やすことはできるかもしれませんが、コンバージョンが増えるとは限りません。つまり「母数が増えるとコンバージョン効果は薄くなる」のです。CMを1000万人が目にしたとして、1万人が会員登録したらコンバージョン率は0.1%。CMに1億円かかっていたとしたら、1人獲得コストは1万円もかかったことになります。

   上に書いたコンバージョン率の公式には、「どうしたら増えるか」というヒントは何も含まれていません。あくまで結果論です。コンバージョンが重要なWebにとっては、それを増やすことが運営目標ですから、こんな結果論だけをにらんでいても何もできないのです。

   では何を見ればよいのでしょうか。この連載では少しずつ、着目すべき数字を発見し、サイトをよくしていく方法を伝授していきます。今回は「ログ」とはどんなものなのかを元に考えていきましょう。

前のページ  1  2  3  次のページ


有限会社いなかどっとコム 石井 研二
著者プロフィール
有限会社いなかどっとコム  石井 研二
有限会社いなかどっとコム 代表取締役
1961年、神戸市生まれ。大阪府立大学総合科学部(実験心理学)卒業。「DODA」編集デスク、「Salida」副編集長を経て、通販カタログ企画、社史編集、アウトドア雑誌企画等、多数。1995年からWebプロデューサ。当初からアクセス解析の手法を使って、さまざまな企業サイトの構築・運営を成功に導く。
1999年5月、有限会社いなかどっとコムを設立。ホームページ制作/コンサルティングとアクセス解析を行なう。2002年、アクセス解析サービス「サイトグラム」を開発・発売。年間10億ページビュー以上の解析を行い、多くの企業サイトにアドバイスを行なう「日本一のログ読み男」。2005年からは、新しい解析サービス「スコアメイク」を展開している。関西ソーホー・デジタルコンテンツ事業協同組合 理事


INDEX
第1回:アクセスログの基礎の基礎
  アクセスログは商売に役立つデータ
コンバージョン率を上げることができるか?
  アクセスログとは何か?