【バグ管理の作法】バグ管理のノウハウ
第2回:紙か? Wordか? Excelか? BTSか?
著者:TIS 栗栖 義臣
公開日:2007/12/11(火)
バグの管理者に任命されたあなたが、まず最初にすべきこと
バグの管理者に任命されたあなたが、まず最初にすべきことは、バグ情報をとりまとめる仕組み(ルール)を作ることである。その仕組みに従って、バグがまず管理者の下へ集められるようになり、はじめてバグ管理のスタートラインに立つことができる。
バグをとりまとめる代表的な仕組みとして、「手書きの紙」「Word、Excel」「ツール(BTS)」の3つがある。それぞれのメリット・デメリットをみていこう。
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報告の 簡易さ |
一覧性 |
環境準備の 容易さ |
データ集計の 容易さ |
手書きの紙に運用 |
○ |
○ |
○ |
× |
Word、Excelによる運用 |
△ |
△ |
○ |
△ |
ツール(BTS)による運用 |
○ |
○ |
△ |
○ |
バグ管理の運用方法の比較
手書きの紙による運用
バグ報告用のテンプレートを紙に印刷した状態で用意する。バグを発見した人はこの用紙にバグの内容・再現方法などを手書きで記載し、管理者に報告する(大きな紙に一覧を書いてまとめる方法もある)。
手書きの紙によるメリット
バグの内容をチェックするのにアナログの紙は意外と便利である。物理的な管理であるため、ファイル編集の衝突も避けられるのもよい点だ。実際に、Excelなどの管理に比べて、自分が見つけたいバグ票を探し出しやすい。
手書きの紙によるデメリット
一番の心配は物理的に紙を紛失してしまうことだ。例えば、バグ修正者の机の書類の山に埋もれてしまい、バグ票を紛失してしまうということもあるだろう。コピーを取ったり、スキャンして電子データ化するなど、バックアップ方法の検討が必要である。
また、バグの収束曲線や原因分布などの統計データを作成したい場合に、紙の情報を表計算ソフトに打ち込む必要があり、時間がかかる。
Word、Excelによる運用
バグ報告用のテンプレートをWordやExcelのファイルで用意する。1ファイル(1シート)に1つのバグを記載する。Excelで管理している場合、マクロを利用することで、各単票から一覧へ出力することも可能できる。
Word、Excelによるメリット
手書きに比べて入力が簡単である。また電子データとして管理するのでバグの統計が取りやすい。
Word、Excelによるデメリット
単票のみの管理の場合、全体を把握するのが難しい。また単票と一覧のダブルメンテナンスが発生してしまい、管理が大変である。データを紐付けることはそれほど難しくないが、単票側を修正するのか、一覧側を修正するのかなど、運用に混乱が生じる可能性が高い。
ツール(BTS)による運用
BugzillaやTrac、redmineなどのBTS(Bug Tracking System)を用いて管理する。
ツール(BTS)によるメリット
入力が簡単であり、一覧化も簡単にできるのが特徴だ。またデータをデータベースに格納するので、それらを自由に加工できる点も大きなメリットである。Excelと違いファイルのロックを気にしながら作業することがない。さらにネットワークの環境次第では、複数の異なるロケーションで同じシステムを共有することができる。
ツール(BTS)によるデメリット
他の方法と比べ、環境構築に時間がかかる。また運用方法などを利用者に教育するのに時間(コスト)がかかる。
バグ管理者はプロジェクトの状況を総合的に判断して、どの方法を選択するかを決める必要がある。それぞれにメリット・デメリットがあり、またここで紹介した以外の方法を選択することもあるだろう。筆者の場合は、まずツールによる運用を試み、環境構築やユーザ教育などの面で折り合いがつかなかった場合、WordやExcelでの運用を選択している。
今回のまとめ
今回はバグ管理の全体的な流れをみながら、それぞれのポイントについて紹介した。次回は、バグ修正の優先順位付けについて解説していこう。 タイトルへ戻る