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BIツール選択に失敗しないために
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第3回:分析ツールの選択〜パワーユーザに必要な機能をチェック(後編)
著者:アイエイエフコンサルティング  平井 明夫   2005/6/21
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Excelとの親和性

   パワーユーザの多くはデータ分析のツールとして、すでにExcelに慣れ親しんでいます。このようなユーザにとっては、最終的な分析結果を自分のイメージどおりの形式に落としたい、あるいは、非定型な形式でのレポート作成依頼に対応する必要がある、といった理由で、Excelで読み込めるファイルの出力機能が必須となります。

   分析ツールがExcelで読み込み可能なファイルとして出力できる形式には次の3つの種類があります。

  • テキスト形式(カンマまたはタブ区切り)
  • XMLスプレッドシート形式
  • Excelファイル形式(ファイルタイプがxls)

表6:Excelが読み込める形式

   テキスト形式はもっとも単純な形式であって、これをサポートしていないツールはないと思います。ただしこの形式では、計算式も含めて全てのデータがただ単に数字テキストとして出力されます。また、行・カラムの幅・セルの色などの表示形式もまったく出力されません。従って、Excel側で追加の分析をしたり、非定型レポートを作成する場合には、まず表示形式を整える必要があります。

   XMLスプレッドシート形式は、OpenOLAPでサポートされている形式です。この形式では行・カラム・セルの表示形式までを含めて出力することができます。図9では、セルの背景色や円マーク、金額区切りなどが出力されています。

OpenOLAPでのXMLスプレッドシート形式での出力
図9:OpenOLAPでのXMLスプレッドシート形式での出力

   Excelファイル形式では計算式なども含めて最も多くの属性を出力することができます。ただし、出力ファイル形式がExcelだからといって実際にどこまでの属性が出力されるのかは確認する必要があります。またExcelファイル形式は、Excel(Microsoft Office)のバージョンによっては互換性がありませんから、こちらも注意が必要です。

   パワーユーザの中でも財務・経理担当者のように、特にExcelを深く使いこなしているユーザは、たとえ他の機能でデメリットがあってもExcelそのものが分析ツールのユーザ・インターフェースとして使用できるタイプのものを好む傾向にあります。

   このタイプの分析ツールでは、Excelのアドイン・ソフトウェアとして分析用のユーザ・インターフェースが用意されています。アドイン・ソフトウェアをクライアントに導入すると、Excelの機能の一部として分析ツールが組み込まれます。図10はMicorsoftのExcel Add-in for Analysis Servicesをアドイン・ソフトウェアとして導入した場合の分析ツールのメニューです。

アドイン・ソフトウェアの導入
図10:アドイン・ソフトウェアの導入
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   この製品の場合はマウスによるドリルダウンとスライシングがExcel内で実行できます。また、サーバにある分析用データベースのデータを参照して、通常のExcelの計算式などが使用できますので、仮想メンバー、仮想メジャーの作成が、Excelの機能を使用して行えることになります。

Excel上での前年同期比の計算
図11:Excel上での前年同期比の計算
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   今回は、分析ツール選択の6つポイントの内、残りの4つを詳しく解説しました。次回はレポーティング・ツールの選択のポイントについて解説します。

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アイエイエフコンサルティング
著者プロフィール
株式会社アイエイエフコンサルティング  平井 明夫
日本DEC(現HP)、コグノス、日本オラクルを経て現職。一貫してソフトウェア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングを歴任。 特に、データウェアハウス、BI、OLAPを得意分野とする。現在、企業業績管理、管理会計などデータ分析ソリューションの短期導入を可能にするテンプレートやパッケージの開発を行っている。


INDEX
第3回:分析ツールの選択〜パワーユーザに必要な機能をチェック(後編)
  メンバーの自由選択と不均一階層への対応
  積み上げ計算
  グラフ機能
Excelとの親和性