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BIツール選択に失敗しないために
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第3回:分析ツールの選択〜パワーユーザに必要な機能をチェック(後編)
著者:アイエイエフコンサルティング  平井 明夫   2005/6/21
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メンバーの自由選択と不均一階層への対応

   分析ツールは一般的にディメンション内の全てのメンバーとメジャーを表示対象としています。しかしメンバーやメジャーの数が多いときは、ユーザが興味のある項目に絞って表示したい場合もあります。このような場合にはメンバーの自由選択機能が必要です。

   メンバーの自由選択はポップアップ画面で必要なメンバーを指定するタイプのものと、分析画面上で不要なメンバーを削除するタイプのものがあります。OpenOLAPではセレクタと呼ばれるポップアップ画面で必要なメンバーを指定します。

   図1はOpenOLAPのセレクタ画面の例です。

OpenOLAPのセレクタ画面
図1:OpenOLAPのセレクタ画面
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   図1の画面を使用したメンバーの自由選択の手順は次のとおりです。

  1. ディメンションの種類(もしくはメジャーグループ)を指定すると、「選択可能なメンバー」のボックスに指定ディメンションのメンバーが表示されます
  2. メンバーが多いときは、メンバー名や階層を指定してメンバーを絞り込みます。OpenOLAPではメンバー名指定の際に、ワイルドカード文字列として、「*(アスタリスク:複数文字に対応)」、「_(アンダーバー:1文字に対応)」の2種類が使用できます
  3. 「選択可能なメンバー」のボックスに表示されているメンバーから、必要なメンバーをマウスクリックで選択します
  4. 選択したメンバーを「選択済みのメンバー」のボックスに移動させます。すでに選択済みのメンバーと置き換えるときは「置換」を、追加するときは「追加」ボタンを使用します
  5. 必要なメンバーが全て「選択済みのメンバー」ボックスに揃ったら、選択を確定させます

表1:メンバーの自由選択の手順

   以上の手順でメンバーの自由選択を行います。例えば製品ディメンションから、製品名に「スタンダード」という文字列を含む製品を選択すると、分析画面は図2のように変化します。

メンバーの自由選択による画面の変化
図2:メンバーの自由選択による画面の変化
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   OpenOLAPでは、自由選択後の画面を作成済みのレポートとして保存することができます。毎回同じような分析をしたり、複数のユーザが同じような分析を行ったりする場合は、このように自由選択を行った結果をレポートとして保存し、再利用することで効率を上げることができます。

   このメンバーの自由選択機能で評価する際のポイントは以下の3つです。

  1. メンバーの自由選択が可能か
  2. 多数のメンバーから目的のメンバーを検索する機能があるか
  3. 自由選択した後の画面を保存できるか

表2:自由選択機能の評価ポイント

   メンバーの自由選択機能を応用すれば、不均一階層にも対応できます。不均一階層とは組織ディメンションのように、1つのディメンションの中で階層の数にばらつきがある場合を指します。図3では、営業部・営業企画部・営業管理課の3つの間で階層が不均一となっています。このような階層をデータベースのテーブルで表現しようとすると、図3に示す赤い部分(実在しない階層)がどうしても必要になります。

不均一階層のデータベース表現
図3:不均一階層のデータベース表現

   このような実在しない階層はデータの集計値には影響しませんが、ドリルダウン操作をはじめとするOLAP分析操作の際に、煩わしさや紛らわしさを起こすことになります。また、階層をデータベース上でなくしてしまうことはできませんが、メンバーの自由選択機能により画面上からは見えなくしてしまうことができます。

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アイエイエフコンサルティング
著者プロフィール
株式会社アイエイエフコンサルティング  平井 明夫
日本DEC(現HP)、コグノス、日本オラクルを経て現職。一貫してソフトウェア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングを歴任。 特に、データウェアハウス、BI、OLAPを得意分野とする。現在、企業業績管理、管理会計などデータ分析ソリューションの短期導入を可能にするテンプレートやパッケージの開発を行っている。


INDEX
第3回:分析ツールの選択〜パワーユーザに必要な機能をチェック(後編)
メンバーの自由選択と不均一階層への対応
  積み上げ計算
  グラフ機能
  Excelとの親和性