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BIツール選択に失敗しないために
BIツール選択に失敗しないために

第7回:モニタリング・ツールの選択〜経営者の必要とする表現力をチェック(後半)
著者:アイエイエフコンサルティング  平井 明夫   2005/8/22
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KPIの相関関係表現

   KPIを評価する場合、個々のKPIを別々に評価するだけでなく、ある特定の相関関係の中で複数のKPIをまとめて評価する方が、より有効な場合があります。財務分析の安全性のようなKPIグループもその1つです。KPIグループの場合は、その相関関係を重み付けという形で定義しますが、それ以外に、もともとのKPIの計算式から自然に相関関係が発生する場合もあります。

   単純な例としては、ある1つのKPIについての特定のディメンションを複数の階層で、評価を行う場合が考えられます。図4は、売上高というKPIに対して、全製品の合計から個別製品の金額までを4つの階層をまとめてシグナル表示した例です。この画面は、OpenOLAPの関連図というレポート・テンプレートを使用して作成したものです。この画面から、全製品の売上高は目標を達成していることがわかります。ですが、ソフトウェアとその他の製品については全体的に不調で、ハードウェア製品についてもいくつか目標を達成していないものがある、といった状況が一目で読み取ることができます。
OpenOLAPの関連図レポート
図4:OpenOLAPの関連図レポート

   より複雑な例としては、財務分析における指標分解があります。指標分解とは、特定のKPIの計算式を分解して複数のKPIに展開する方法です。

   例えば、企業の収益性を判断する財務指標の1つにROA(総資本純利益率)があります。ROAは、企業の収益性を総合的に判断する財務指標で、高ければ高いほど収益性の良い会社として評価されます。しかしROAを見るだけでは、収益性の内容までは把握することが難しいため、図5のように売上高純利益率と総資本回転率に指標を分解し、より詳細な収益性の分析を行います。

ROA(総資本純利益率)の指標分解
図5:ROA(総資本純利益率)の指標分解

   このような指標分解を行った場合、複数のKPI間の関連を画面上に表現できれば、より見やすい画面が作成できます。図6は、指標分解を行った財務指標の関連をCognosのMetrics Managerを使用して表現した画面の例です。

指標分解による相関関係を表現した画面例
図6:指標分解による相関関係を表現した画面例

   この画面では、ROAを指標分解して得らた売上高純利益率と総資本回転率が、相関関係とともに表示されており、仮に総資本純利益率の値が悪くなった場合、その下位(分解後)のKPIのどれが原因になっているかを一目で把握できるようになっています。

   このように関連するKPIの値を相関関係の中で見ることによって、経営状況を更に詳しく分析することができるため、KPIの相関関係表現の機能もモニタリング・ツール選択の重要なポイントの1つといえます。

   ここまでで、モニタリング・ツール選択の5つのポイントとなる機能の解説は終了しましたが、追加として、最近注目されているバランス・スコアカードにおいてモニタリング・ツールの利用を検討する際のポイントを解説します。

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アイエイエフコンサルティング
著者プロフィール
株式会社アイエイエフコンサルティング  平井 明夫
日本DEC(現HP)、コグノス、日本オラクルを経て現職。一貫してソフトウェア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングを歴任。 特に、データウェアハウス、BI、OLAPを得意分野とする。現在、企業業績管理、管理会計などデータ分析ソリューションの短期導入を可能にするテンプレートやパッケージの開発を行っている。


INDEX
第7回:モニタリング・ツールの選択〜経営者の必要とする表現力をチェック(後半)
  グルーピングと重み付け
KPIの相関関係表現
  バランス・スコアカード
  BIツールの動向