第4回:クライアント型SOAによる官公庁電子申請システム (4/4)

クライアント型SOA
新しいSOAの実装方法「クライアント型SOA」のすすめ

第4回:クライアント型SOAによる官公庁電子申請システム
著者:サイオ  吉政 忠志   2005/12/19
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クライアント型SOAのシステム採用メリット

   ここからは、本ソリューション採用メリットを機能別に紹介します。
データ保存機能による反復入力の軽減(利便性の向上)

   Webブラウザより格段にデータの保存性が向上し、次回以降の入力作業が大幅に軽減できるため、サービスレベル/サービス利用頻度の向上が期待できます。


入力補助機能の向上による記載ミス/書類不備の軽減(窓口業務の軽減)

   クライアントシステム側の入力補助機能により、記載内容の不備、記載箇所や使用語句の間違いなどの入力ミスを未然に防ぐことができます。

   よくある例ですが、「ソフトウエア」「ソフトウェア」「ソフトウェアー」「ソフトウエアー」などの意味合いとして同じ語句でも複数の表記法が一般的にはあります。例えば会社設立時に提出する約款などは規定の語句を用いる必要があり、この語句の違いにより再提出を行った経験が筆者にはあります。


法改正や申請方法の変更などによる柔軟なシステム改変(メンテナンス性の向上)

   サイオのIdbAはソフトウェアをコンポーネント化(部品化)しているため、システムの機能拡充はもちろん、法改正なども含めたクライアントシステムの変更もメンテナンスも部分的なコンポーネントの交換(配信)で対応できます。

   そのため、大量に稼動しているクライアントシステムに対して容易にメンテナンスを行うことができ、メンテナンスコストを軽減することができます。


次回について

   今回はクライアント型SOAによる官公庁電子申請ソリューションを解説しましたが、クライアント型SOAの新しい適用分野を理解いただけたでしょうか。

   同分野でのクライアント型SOAソリューションの適用範囲としては、Webサーバに対する入力が頻度/量的に多く、利用者の生活サイクルに密接になっている適用領域であれば、従来のブラウザ型のシステムと比較して大きなメリットがでてくると考えています。

   次回は2つ目の適用例として、BtoCビジネス市場にフォーカスを当てたいと考えています。BtoCビジネス市場でのクライアント型SOAの採用ケースは、従来のシステムのように「業務効率/生産性の向上」を実現するだけでなく、「複数のサービスの組み換え/融合」を行うことによるシナジー効果が期待できます。

   業態によっては、このシナジー効果はサービスプロバイダーにとって大きな需要を生みだすことになるため、非常に訴求力が高いソリューションになります。

   最近はクライアント型SOAやそれに類似するキーワードがメディアに露出しはじめています。このことから、先進的なベンダーやシステムインテグレータ、そして読者の皆様はすでにこの分野に注目しはじているといえるでしょう。

   特に来年はクライアント型SOAの最初の隆盛になると確信しています。読者の方々には是非来春からの各社の発表やイベントに注目して欲しいです。おそらく大手ベンダーの参入をきっかけに、クライアント型SOAは市場の注目を集めるのではないでしょうか。来年はマーケティング先行で市場展開されると思いますが、その中でも確実に実績ができてくると思います。

   なぜならば、クライアント型SOAはクライアントシステム側でサービスの組み換えを行えるために小さな投資で短期間のシステム構築ができ、その後のシステム拡充を柔軟に実現できるからです。これこそまさに市場が求めるシステム像ではないでしょうか。さらに、クライアント型SOAはクライアントシステムをサービスのプラットフォームとして位置づけているため、複数のサービスを乗り入れやすいです。

   複数のサービスを乗り入れた場合、その利便性は相乗的に増加するとともに複雑にアライアンスが交錯しているため、リプレイスが困難になり、非常に息が長いソリューションとして市場に存在し続けるでしょう。

   その結果、サービスプロバイダ/ソリューションプロバイダは事業が安定するのではないでしょうか。このように、利用者の利便性向上、システムメンテナンスの軽減、プロバイダーの事業安定などの要素が評価され、確実に浸透していくと考えております。クライアント型SOAの動向とともに次回に是非期待してください。

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株式会社サイオ 吉政 忠志
著者プロフィール
株式会社サイオ  吉政 忠志
2005年5月よりサイオ副社長に就任。1992年に株式会社インテックに営業として就業の後、ノベル株式会社、ターボリナックス・ジャパン株式会社、インフォテリア株式会社等でソフトウェア販売プログラム及びマーケティングプログラムや教育プログラムなど、日本発のビジネスモデルを数多く立ち上げる。現在、Linuxコンソーシアム副会長及びクレオCBMS事業部マーケティング顧問を兼任。


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