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| EC化率はいまだ数% | ||||||||||||
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EC市場の拡大が止まらない。筆者らの推計によると、2006年のEC(Electronic Commerce)市場は約3兆8,000億円であった。この市場は今後も拡大を続け、2010年には6兆円に達すると予測している(図1)。 薄型TV市場規模が約1兆円、自動車の市場規模(消費者向け販売)が約6兆円、携帯電話市場(通信事業収入)が約7兆円である。このように見ると、EC市場は規模的には他の主要産業と肩を並べるほどの大きさである。では、2010年以降のEC市場は拡大を止め、成熟市場となるのであろうか。 結論からいうと、EC市場はさらなるポテンシャル持っており、2010年以降も拡大する。ECとはつまり、Webサイトを活用した「消費」である。極論をいうならば、消費すべてがWeb化することも考えられる。日本の消費経済は約180兆円といわれている。つまり2006年時点で消費のEC化率はわずかに2%で、6兆円にまで拡大する2010年時点でもEC化率はまだ3%を超えたに過ぎない。 しかし、筆者は消費経済のすべてがEC化されるとは思わない。また、そう思う人はこの世にはいないだろう。では、消費経済の中でどこまでEC化されるのだろうか。今回はEC化の限界について考察していく。 |
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| 消費の全体像:4つの決済手段 | ||||||||||||
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消費の全体像を図2に示すように、三角形を用いて表現した。これは、縦軸を1回あたりの決済金額、面積を決済回数としてあらわした図である。前述したように、この三角形全体が消費経済180兆円と捉えることができる。現在、消費における決済手段は大きく4つ存在する。現金による決済、クレジットカードによる決済、電子マネーによる決済、そしてECつまり、Webサイトを通したオンライン決済である。 ![]() 図2:消費の全体像(2006年時点推計) 出典:野村総合研究所 一般的に、5,000円を超える決済では、クレジットカードの利用率が高くなり、それ以下の場合、現金による決済が主流となる。長らくこの2つの決済手段で消費は成り立ってきたが、この市場に割って入ってきたのが、ECと電子マネーである。 ECの台頭は前述した通りであるが、電子マネー決済の拡大もここ1〜2年著しい。野村総合研究所の予測では、2006年における決済額は1,800億円で、今後も拡大を続け2010年には2兆4,000億円になる見込みである。この決済市場は1,000円以下の小額決済で用いられることが多く、日用品などを購入する際の手軽な決済手段として注目を集めている。典型的な例は、コンビニエンスストアでの決済、電車の乗降者、タクシー料金の支払いなどがあげられる。 それに対してECによる決済は、書籍など数百円レベルのものから場合によっては旅行など数十万円レベルのものまで、決済金額、取り引きの内容は様々である。現在の各種目別のEC利用率は図3に示すとおりで、もっともECが活用されているのは書籍と音楽である。その利用率は実に4割を超える。 ![]() 図3:過去1年間のEC利用状況(複数回答) 出典:野村総合研究所「情報通信サービス利用動向調査(2006年9月)」 EC化される商品の特徴は、商品価値が不変か移動可能であることがあげられる。書籍や音楽CDは、実物を品定めする必要なく、どの商品を選択したとしてもその商品価値は変わらない。利用率が第2位の旅行にしても、旅行体験によって得られる感想は各人で異なるが、旅行プランやホテルの選択という点では、紙媒体によるパンフレットに印刷された写真画像か、パソコンのディスプレイに表示された画像ファイルかの違いしかない。そのためこうした商品区分はEC化されやすい。 EC化の限界を論ずる場合、このような各商品区分別の限界点を探ることが近道となる。ここでは2つの手法について考察してみたいと思う。1つはEC先進国である米国のEC市場との比較、もう1つは商品ライフサイクルを考慮した場合のEC化限界点である。 |
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