【AI時代の教育を創る】「世界一、子どもたちの成功体験を作り続けたい」 株式会社EdFusion 代表取締役兼CEO 近藤にこる氏(中学生起業家)インタビュー

中学生起業家、株式会社EdFusion代表近藤にこる氏に、起業のきっかけ・AI時代の教育についてインタビューしました。

望月 香里

6:30

2025年12月、STATIONAiにて開催された生成AIギルド大感謝祭で、数分間のプレゼンを聞いた時、その熱力に筆者はぞくっとした。

1年以上前から存じ上げていたこともあり、2月11日、大阪のなんばパークス内にあるHeroEggにて、株式会社EdFusion代表取締役兼CEO 近藤にこる氏(以下、にこる氏)にインタビューした。

次世代のヒーローを生み出す会社、Meta Heroesが運営する「Hero Egg」は、最新のAI・XR・DXに関する知識を、子どもから大人まで共に学び未来を創造する空間。にこる氏は、HeroEggのプロデュースもされている。

いつもにこやかに挨拶してくださるにこる氏に、「起業のきっかけ」「AI時代の教育・人間の在り方」「主体性を引き出す環境」「今後のビジョン」について聞いた。

<株式会社EdFusion 代表取締役兼CEO 近藤にこる氏>

起業をしようと思ったきっかけを教えてください。

中学校一年の「総合」授業で、全6回の起業体験プログラムがあり、学校内で最優秀賞を頂きました。内容は主に「起業について話を聞く」「自分のやりたいことを話す」「仲間を集める」「プレゼンしてビジネスモデルを考える」でした。私もまさかこんな授業に出会えるとは思っていませんでしたが、授業をきっかけに起業って面白いと思いました。

今、世の中にある課題を、まだ誰も見つけていない自分なりの形で解決していく。本当に正解がないからこそ自分らしく挑戦できるところが、私にはすごいぴったりだったので興味を持ちました。挑戦してみたいが、起業を学べるところがなく、諦めるのはすごい悔しいと、部活として「起業部」を立ち上げました。

そして、STATION Ai(当時はプレSTATION Ai)のSTATION Ai株式会社が運営している、STAPS(学生起業家育成プログラム)に参加しました。この出会いが、とても大きかったです。

ちょっとやってみたい位でしたが、8〜10時間ほど、1日中起業について学ぶ中で、自分で創ることが好きだったこともあり、起業してみようと思いました。

STAPSは大学生向けのプログラムで、当時、中学生だった私は、最年少で参加しました。最終発表の際、当初なかった特別賞を受賞し、その後様々な方との繋がりができました。起業する前は、生活の中でiPad等を使うことはあったが、AIについて自分から学ぶこともなく、生成AI初心者でした。

まずは学校内にAIのことを伝えたいと、学校の先生をSTATION Aiに連れていったり学校でAIの授業をするなど、学校内に広げていきました。さらに興味を持ってくれた仲間と学校の範囲を飛び出し、最初は小さなカフェから「にこるのAIアフタースクール」を始めました。

他の学校や自治体へ、イベント登壇・コンテスト出場など、全国各地から色々な講演やワ ークショップの依頼も来るようになりました。今では自分で主催イベントを開催するなど、活動や場所は多岐に渡っています。

これからの教育について「AIと一緒に何を生み出せるかが大事」と言っていましたが、AIの役割・人間の役割についてどう思いますか。

AIは個人学習のスペシャリスト。何でも知識を持っているので、自分が疑問に思うところもすぐに聞けて、個人学習には相性がいい。画像や動画など、自分がより理解できるようAIに考えてもらい、アウトプットしてもらうことも可能です。

一方、人間の先生は、現場のクラスの状況がわかっているので、誰かが発言しやすい空気を作ったり、友達に聞いてみようなど、現場の「環境づくり」ができるのは先生しかいません。

AI学習は、自分の好きなことに特化できるが、「リアル」で学校にいく意味・強みとして、自分にはなかった発想を見聞きしたり、みんなでやってみるなど、トライアンドエラーできる練習場でもあると思っています。

AIが使えることが当たり前になってくる時代、これからの子どもたちに必要な力・教育は何だと思われますか。

従来の国算理社のように知識を叩き込むのではなく、「判断力をつける」教育だと思います。例えばAIが言ったことに対してそれが合っているのか、疑問に思って否定的に考えたり。そのためには、「まず知識をつける必要がある」と伝えています。

AIで画像や音楽、ゲーム等も作れるが、人間が作る価値は【その背景にあるストーリー・なぜ?】の部分がすごい重要だと思っています。私自身、AIで作成したスライドのみでなく、これまでのストーリーを自分が語ることで、より説得力が増していることを実感しています。

「人間にしかできない教育」として、自分が判断するために、経験や行動の量がすごく大事だと思っています。その1つ1つの体験がまた「新しい気づき、新しい成功体験」になっていくからです。

子どもによる子どものための教育ってめちゃくちゃいいなと思っていて、今【教育の循環】を生み出すよう、イベントに参加してくれた子が、次は先生になる環境を作っています。

【出典】「第2回 Butterfly Base OSAKA」(EdFusion 2025/08/16)

学校も社会の一部。だが、起業して社会と触れ合う中で、学校と社会はかけ離れていると感じているとか。今後、学校で進めてほしい取り組みはありますか。

学校は、リーダーが1人いて全員がついていく感じ。まだまだ課題だらけだと思うが、リアルをすごく大事にしてほしい。なので、最近始まった「探究学習」を進めてほしいと思っています。

実際、体育の授業で、これまでやった単元や、まだやっていない単元を自分で選んで、どういう授業をしたらいいか、どうしたら理解してもらえるか、いいチームになるか、先生側で考え、こども達自身で授業をつくりました

また、社会の授業では、心理学「ナッジ理論」(トイレ等で見かける「いつも綺麗に使っていただいてありがとうございます」という表記等)の学習で、1ヶ月間の検証期間を設けて、先生の教科部屋のスリッパをどうしたら綺麗に並べてもらえるか、みんなで心理学をひたすら勉強して、解決・実践・発表まで行いました。

宿題について、必要だと思いますか。

個人的には今までは全然いらないと思っていましたが、最近すごく必要だと思ってきました。「学びの本質、学校の教育現場で何を学んでいるかというと、中学校や高校で、生活の中で絶対使わないでしょというものが出てくる。それを実際に使うかどうかは別として、どうしたら自分で身につけられるか、暗記できるか、その過程がすごく大事だと思います。

ひたすら音読する、聞く、とにかく書く、友達と話しながら取り組むなど、それぞれ学びのプロセスが違います。その中から自分なりの手段でどうやって達成していくかを学ぶことが本質だと思うので、宿題はその中に入ってくると思っています。

宿題もやるかやらないか選べてもいいと思いますが、今の現状と身につけるところの中間地点のような存在で、自分の探求・学習方法を身につけるために宿題はあるのかもしれないと思うようになりました。また、宿題を早く終わらせるためにどうすればいいか考えたり、苦手な教科もどうやって自分を楽しませて学ぶよう持っていくか、そのルートは大人になってから新しいことを学ぶことと内容以外は変わらないのではと思っています。

こども(人間)の主体性を引き出すために、教育現場や社会に必要なものはなんだと思いますか?

こどもを含め、人間はいろいろな可能性を秘めていると思う。どうやって、どれだけ自分を引き出せるかが、人生において人間の最終ゴールだと思います。それを引き出すためには、とにかく当たってみる!ことが大切だと思います。

私自身、習い事もたくさん経験した上で、一番しっくりきたのがスポーツクライミングです。今、愛知県代表として活動しています。起業も、才能があっても出会っていなかったらやっていません。他にも自分の可能性があるかもしれない。

実際、子どもたちと接していると「やりたいことがわからない、夢もない」という子もいますが、「必ずピカーン!ときらめき光るものをもっているはず。さまざまな出会いの機会や体験を提供し続けていきたい。」いつでも手を伸ばせば取れる、そんな環境づくりをするのが、大人や社会の役割だと思っています。

「クライミングも、最初は私が始めて、もっとクライミングをやりたいと思ったとき、お父さんが近くのジムを探してきてくれ、そこから一気に伸びました。お父さんは環境づくりの極みです。」

筆者はにこる氏とお父さまの空気感が大好き!

子どもが飽きずに夢中になる工夫や、年齢に応じた教え方の違いはありますか。

年齢や学年に拘らず、縦斜め、年齢、性別、学校等いろいろごちゃまぜにしています。いつもと違う環境がすごく重要で、それこそ、行動や経験に繋がってきます。

クラスも帰り道も同じだと、日常が変わり映えしなくなる。しかもそれが6年間、9年間となると、当たり前の生活がルーティン化してしまう。社会人になってもそうですよね。

自分の感情に素直になれば、「クラスの仲間と同じようにしている当たり前」が合わない、既存の学校システムにハマる人ばかりではない。

それぞれの良さをお互い認め合って受容し合う。それが、社会の本当のあり方かと思っています。お互いできないところがある。できるところで手を取り合っていきましょうというのが社会かなと思っています。

子どもからおじいちゃんまでいたら、同世代で同じタイミングに生まれ、同じ街の同じクラスにいるのは、相当奇跡中の奇跡。世界は広いです。

EdFusionのFusionは「融合」。イベント開催時、大切にしているのは参加者同士の融合です。価値観や世代が違う人同士も、一緒に協力したことで生み出される共感や達成感を感じてもらえるような環境作りを意識しています。「自分はこんなものができたよ」と伝え合うことで、人との違いの中から唯一無二の「じぶん」を活かしてほしいと思っています。

【出典】「大阪・関西万博2025 登壇」(EdFusion 2025/05/30)

10年後、どんな自分でいたいですか? EdFusionや教育事業をどのように発展させていきたいですか?

1つの目標は、2030年のサウジアラビアのリアド万博で、大きいステージのイベントを開催側で開きたいです。

今後の目標は、「世界一、子どもたちの成功体験を作り続ける」です。2月3日で15歳になりました。株式会社EdFusionとして新しい挑戦する時、絶対隣にいるパートナーのような存在になっていきたいです。

例えば、新しい挑戦をする時にそれを支えるのは、私たちが作っているアプリ等で挑戦を可視化したり、応援するAIを作ったり、いつでも学びが手に入るようなところも作って、挑戦を後押ししていきたいです。側でその子たち一人一人と一緒に挑戦していく。これを、10年後20年後には当たり前になるよう、取り組んでいきたいです。

今、引きこもりになってしまった子も、メタバースの中では参加できます。メタバースでもリアルでも活動していきたいです。どんな子ども(人)にも届けるには、メタバーズも絶対必要になってくると思っています。いろんな人がいろんな手立てでアクセスできる状態にしておきたいです。

仲間をいっぱい作りたいです。一緒にイベント企画をしてくれるコミュニティには中学生中心に60人ほどいます。東京、埼玉、名古屋、奈良、大阪や、全国からオンラインで繋がっていて、リアルで会うこともあります。仲間を作りながら、チームで1個のものを作ったりしています。私自身が全国に拠点をつくりに行くよりも、それぞれの地域のリーダーが拠点をつくっていってほしいと願っています。

地域や国代表の子どもたちを集め、子どもたちが挑戦する様子をシェアし、その輪が広がっていくような関係を構築していきたい。その中心人物を世界中に作り、これを、最後一つにするものも創っていきたい。「まずは愛知県でその拠点の基盤を作りたい」です。

編集後記

「スポーツクライミングは本当に正解がなく、リーチ、手の長さ、身長、体重が違うだけで、動きかたも全く違う。自分のなかで突破法を見つけていくしかない。」

(小学校一年生から始めたスポーツクライミングを通して、常にトライアンドエラーをしてきた経験、その耐性が身体に染み込んでいたのか!)身体に刻み込まれたトライアンドエラーと、頭の中のトライアンドエラーが筆者の頭の中で繋がった瞬間だった。

トライアンドエラーの経験の耐性があるから、起業やさまざまなものことを始める一歩が軽快なんですね。」という一言に、「私の中で、今、めっちゃ言語化できました」と応えたにこる氏に、筆者の喜びはこの瞬間だ!と、私自身の「好き」も再確認させて頂いたインタビューでした。

宿題は「自分の学び方をカスタマイズする原体験」。民間の児童クラブで小学校低学年の宿題(計算カードや掛け算カードの時間を毎日記載。やっつけ感を感じていた)を見守る中、筆者自身が疑問に思っていた宿題について、新たな見解を指南してくれたように思った。これからもにこる氏を応援していきたい。ありがとうございました。

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本文写真:株式会社EdFusion提供

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