現在Linuxは戦争中

LinuxWorld Expo/Tokyo 2006
LinuxWorld Expo/Tokyo 2006
LinuxWorld EXPO/Tokyo 2006レポート

現在Linuxは戦争中
会場:東京ビッグサイト(東京国際展示場)
記者:ThinkIT編集局  2006/6/1
オープンスタンダードの重要性

   LinuxWorld EXPO/Tokyo 2006、2日目の基調講演はFree Standards Group CEOのJim Zemlin氏による「オープンソースと自由:Linux導入・推進の有効性を高めるためにオープンスタンダードが重要である理由」であった。

   はじめにZemlin氏は「Linuxは現在、戦争中である」と強調した。これは現在主要なOSとしてWindowsやUNIX、Linux、MacOSなどいろいろあるが、これまでの様々な歴史から見れば5〜10年後には2つに絞られるということを示している。

Free Standards Group CEOのJim Zemlin氏
Free Standards Group CEOのJim Zemlin氏

   そしてLinuxが勝ち残るためには「オープンスタンダード」、つまり「標準化」が必要だと語る。


なぜオープンスタンダードなのか

   Zemlin氏は標準化の例として南北戦争をあげた。南北戦争の際には、兵士の輸送に鉄道が使われていたのだが、これが勝敗の決め手になったのだという。南軍ではレールの幅の基準が3つもあり、兵士の移動の際に何度も乗り換えを行わなければならなかった。これに対して北軍ではレールの幅の基準が1つであり、標準化がされていたため輸送がスムーズに行えた。その結果戦争に勝利できたという。

   これと同じことがLinuxの世界でも繰り返されるかもしれない。つまり現在のLinuxのディストリビューションやコミュニティの乱立がまったく同じ結果を招くのではないかと警鐘を鳴らす。だからこそLinuxの標準化が必要なのだと語る。


進化が分化を呼ぶ

   次にZemlin氏は、Linuxの今後に向けた取り組みとして標準化の必要性を訴えた。

   現在一般的にLinuxの分野には、デスクトップ/サーバ/組み込みの3つがある。今後、それぞれの分野で独自の進化を遂げていくと、元のLinuxとはまったく違うものへと変わってしまい、互換性がなくなってしまう可能性があるという。

   またLinuxにはディストリビューションやバージョンによる違いによって、動作するソフトウェアやハードウェアの制限が細分化されている。このようなLinuxの現状に対してWindowsは非常にシンプルだ。つまりWindowsの認証マークがついていれば、その動作を保障しているからだ。

   「Linuxはこの点について学ぶ必要がある」とZemlin氏は述べ、Linuxの標準仕様として定められているLSB(注)の認証マークをあげた。

※注:
LSB(Linux Standard Base)とは、Free Standard Groupが策定したLinuxの標準仕様のこと。現在多くのディストリビューションやベンダーなどが加盟している。

   Linuxに関わる人々がLSBに準拠して開発を行うことで、各ディストリビューションの互換性が高まることになる。こういった取り組みを進めていくことによってLinuxの標準化ができれば、Linuxはこの戦争に勝つことができるはずだと語った。

(ThinkIT編集局:曽我一弘)

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Linux World/EXPO 2006レポート
1日目 基調講演:日本経済の活性化に向けて 〜ITイノベーションへの挑戦〜
2日目 現在Linuxは戦争中
3日目 オープンソースソフトウェアの信頼性評価

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