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ワイズノットのオープンソースへの取り組み 〜 オープンソース活用セミナー

2005/11/11
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OSのレイヤーからDB・ミドルウェア領域でのOSSの利用が進む

   第2部の講師は株式会社矢野経済研究所 研究員 入谷 光浩氏で、10月3日にインプレスより発刊された「Linuxオープンソース白書2006」から、企業におけるオープンソースの利用実態について調査結果を基に講演を行った。

   まず、Linuxサーバの導入状況について「官公庁が83.8%と多いのが特徴的だ」と入谷氏は語り、「自動車関係や部品、電化製品などの製造業でも確実に導入が進んでいる」という。しかし食品や化学などのプロセス製造業や金融ではあまり進んでいない現状を述べた。

株式会社矢野経済研究所 研究員 入谷 光浩氏
株式会社矢野経済研究所 研究員 入谷 光浩氏

   導入のきっかけとしては「SIerなどからの提案による導入が予想以上に多い」と入谷氏は語り、SIerなどの協力姿勢が実になっていると思われる。

   入谷氏は以前からいわれているLinuxの問題点として以下の3つをあげ「今回の調査データでは以前に比べると、これらの問題点はユーザの中で解消されつつあるが、管理者の不足はいまだに残る」という。

  • 管理者の不足
  • サポートの問題
  • 対応するアプリケーションが少ない

表1:Linuxに対する問題点

   ユーザ企業がOSSを導入を進める理由として、コスト削減が一番であることに対して入谷氏は「運用コストなどに関しては、今後の事例が多くなることで、より明らかになるのではないか」と語った。

   入谷氏によれば近年のOSSの利用動向として「ユーザとしてはLinuxやApacheは当たり前になってきており、データベースやアプリケーションサーバなどの導入を考えているユーザが増えてきた」という。また先ほどの講演が行われたSambaの利用も多い。

   「商用ソフトウェアは機能やサポートにすぐれておりミッションクリティカルな用途に、スタンダードではOSSデータベースを使うようになるのではないか」と語り、OSSと商用は競合ではなく、共存していくのではないかとの予想を立てた。

   実際の例として最近多いネットベンチャー系が、立ち上げ時にはOSSを積極的に用いて会社が大きくなったら商用ソフトウェアを使うというようなモデルをあげ、「このような事例が今後も増えていくのではないか」と入谷氏は語る。


オープンソースへの取り組み「Group-OfficeとCuteFlow」

   第3部の講師は株式会社ワイズノット 秋元 悟郎氏で、オープンソースのグループウェア「Group-Office」と、オープンソースのメールによるドキュメント回覧アプリケーション「CuteFlow」を紹介した。

株式会社ワイズノット 秋元 悟郎氏
株式会社ワイズノット 秋元 悟郎氏

   Group-Officeは「機能は豊富で、使いやすいインターフェースを持っており、他のグループウェアとは遜色はない」と秋元氏は述べた。また27ヶ国語に対応している点にも注目したい。

   なお、Group-Officeの主な機能は表1の通りだ。

  • サマリー機能
  • アドレス帳機能
  • タスク管理機能
  • メール機能
  • カレンダー機能
  • メモ帳機能
  • ファイル管理機能
  • ブックマーク機能
  • 携帯電話アクセス
  • ユーザ情報インポート機能

表1:Group-Officeの機能

   秋元氏は「携帯電話アクセスは携帯電話からスケジュールを閲覧できる機能であり、モジュールを作成しました」という。また特徴的な機能としてユーザ情報のインポート機能をあげた。この機能はxlsファイルやcsvファイルをインポートできるため、現在の一覧表をそのまま使用できる。

   「現在10万点以上のOSSが存在している」と秋元氏は語り、「OSSを使用するメリットとしては、初期費用が抑えられる」ことをあげ、「その資金を事業拡大に投資できるのではないか」という。

   「安定性の高いソフトウェアが存在する一方で、今回紹介したGroup-OfficeやCuteFlowは若干のバグが存在する」と秋元氏は述べ、今後も様々なOSSの検証を行って、OSSの振興に貢献していく姿勢を示した。

   質疑応答では「Group-Officeに対応するWebブラウザはどうか」という質問に対して、「MacのIEではレイアウトが崩れてしまう」と述べた後、「3ヶ月以内には対応します」と言葉を返し、会場も沸いた。オープンソースへの取り組みの意欲の高さが伺える。

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