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はじめに
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はじめまして、IDSシェアー・ジャパンの渡邉です。今回より「ビジネス・プロセス・マネージメントの現状 〜 『経営と情報の架け橋』の実現にむけて」と題しまして、この連載を担当します。よろしくお願いします。
最近では、システム開発の現場で「業務が理解できる上級SEに!」や「システム開発の前に上流工程の整理が必要だ!」、「業務フローの整理をやらなければ!」という声が聞かれます。また、ビジネス・プロセス・マネージメント(以下、BPM)というキーワードを聞かれた方も多いと思います。
筆者は以前、ハードディスク・ドライブの磁気ヘッドの設計・開発エンジニアとして工場の業務に身を置き、システム導入を行う業者との交渉を行った際に、うまく業務を伝えることができなかったという苦い経験をしました。
また、SEとしてシステム導入を行う立場に身を置いていた時期もあり、今度は逆にお客様の要件をうまく捉えることができず、システムを導入したけれども、お客さんにうまく活用して頂けなかったという、非常に申し訳なく辛い体験もありました。
そのような経験から辿り着いたひとつの答えが、ビジネス・プロセスそしてBPMです。
この連載では、「経営と情報の架け橋」という理念の実現を目指しているIDSシェアー社での経験と過去のハードエンジニア・SE業務経験をもとに、BPMの現状について考察し、BPMを具現化するための方法論やツール、事例などを紹介していきます。
そしてこの連載が、企業が抱える課題に対し「システムありき」ではなく「ビジネス・プロセスありき」でのアプローチの重要性を知る一助となればと思います。それでは、第一回目の今回は「BPMとは?」というタイトルで、ビジネス・プロセス及びBPM全般について紹介します。
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BPRとBPE
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BPMを考えるに至っては、よく聞かれる「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)」や「業務改革」というテーマについて少し紹介する必要があるかと思います。
BPRは、1990年代初頭に米国においてM・ハマー&J・チャンピーによって提唱された企業マネージメントに関するコンセプトであり、コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、ビジネス・プロセスを根本的に考え直し、抜本的にそれをデザインし直すことを指しています。
以上の定義には、根本的・抜本的・劇的・プロセスという4つのキーワードが含まれていますが、継続的改善という要素については、明確に含まれているとは言えません。
※注:
「Reengineering the Corporation: A Manifesto for Business Revolution」/M・ハマー&J・チャンピー/1993年より
時を同じくして欧州では、IDSシェアー社の創立者であるA.- W. シェアー博士によってBPE(ビジネス・プロセス・エンジニアリング)という概念が提唱されています。BPEは、直接業務プロセスを変更するのではなく、ツール上に作ったビジネス・プロセス・モデルを変更し、変更に伴う現場への影響をシミュレーションするものであり、継続的なビジネス・プロセスの改善を目指しています。
以上の定義には、ビジネス・プロセスのモデル化、定量分析(時間・コスト・リソースなど)、継続的改善というキーワードが含まれています。
※注:
「Business Process Engineering: Reference Models for Industrial Enterprises」/A.- W. シェアー/1994年より
そして、今日のビジネス・プロセス・マネージメント(BPM)というコンセプトは、このBPEという概念が昇華されたものであると考えられています。
しかし、現在よく耳にするBPMというキーワードは、企業の業務を支えているシステムをつなぎ合わせる手段や、EAI(Enterprise Application Integration)と同等のツールという意味で多く使われていると感じます。これは、狭義のBPMのコンセプトのひとつであることは確かですが、BPM全体を捉えているとは言えません。
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著者プロフィール
IDSシェアー・ジャパン株式会社 渡邉 一弘
工場でのHDD製品設計を経験後、SEとしてシステム構築を担当。日々、現場の業務とシステム機能の「ギャップ解消」に悩み、業績に直結するシステムやROIを求める経営者に対し、解決策として見出したのが「プロセス管理」というキーワード。現在は、IDSシェアー・ジャパンにてプロセス管理ツール「ARIS」のプロセスコンサルタントとして従事。
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