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情報セキュリティガバナンスのあり方
情報セキュリティガバナンスのあり方

第1回:社会の「神経系」を担う情報技術
著者:経済産業省  成田 裕幸   2005/11/22
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はじめに

   情報技術(Information Technology:IT)は急速に普及し、今や我々の社会を支えるインフラとして必要不可欠な役割を担っている。特に企業活動においては、事業活動におけるITへの依存度が急速に高まっていると同時に利活用の形態も著しく高度化・複雑化しつつある。

   このような状況の下、情報セキュリティにかかわる問題は単に事件・事故を起こした一企業の問題のみにとどまらず、社会の様々な分野に大きな影響を与える可能性が高くなっている。そのため経済産業省としては、情報セキュリティガバナンスの考え方を普及させ、企業が自主的に情報セキュリティ対策に取組み、またその取り組みが正当に評価される社会の形成を目指している。

   本連載では3回にわたり、経済産業省が情報セキュリティガバナンスの普及をはかる背景・目的・その具体的内容などについて説明していく。


電子商取引市場の拡大

   IT革命を契機として本格化した企業活動におけるITの利活用や、ネットワークユーザの急速な増加・多様化を背景として、電子商取引(EC)の市場は急成長を遂げている。企業間取引(BtoB)の市場規模は、2003年には77兆円に達している。2001年の時は市場規模は約34兆円であり、わずか2年で市場規模は2倍に拡大したことになる。

BtoB ECの市場規模の推移
図1:BtoB ECの市場規模の推移
出所:経済産業省「電子商取引に関する実態・市場規模調査」(2003年6月)

注: 1999年はBtoB EC調査を行っていないため、1998年調査による予測値を使用。

   また企業・消費者間取引(BtoC)においても、市場規模自体は数兆円規模であるが、規模そのものは急速に拡大しつつある(2001年 → 2003年:1.48兆円 → 4.4兆円)。さらに、ネットオークションのようなCtoCの取引量も着実に拡大しており、こうしたEC市場拡大の流れは、経済分野におけるIT依存の高まりの一端を示しているといえる。

BtoC ECの市場規模の推移
図2:BtoC ECの市場規模の推移
出所:経済産業省「電子商取引に関する実態・市場規模調査」(2003年6月)

注: 1999年はBtoB EC調査を行っていないため、1998年調査による予測値を使用。

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企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会報告書

経済産業省では、企業における情報セキュリティ対策を抜本的に強化するための新しい概念である「情報セキュリティガバナンス」について、昨年9月から「企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会」(座長:中央大学理工学部土居範久教授)を開催し、そのあり方について検討を進めその内容を取りまとめた報告書を作成しました。

本記事は、その報告書の概要です。さらに詳しい内容に関しましては、以下のURLをご参照ください。

企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会報告書
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g50331d00j.pdf

白書・報告書(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/report/data/g50331dj.html

METI/経済産業省
http://www.meti.go.jp/
経済産業省 成田 裕幸
著者プロフィール
経済産業省  成田 裕幸
経済産業省 商務情報政策局 情報セキュリティ政策室 企画係長
平成13年に経済産業省に入省。貿易経済協力局通商金融・経済協力課に配属。その後資源エネルギー庁資源・燃料部 石油・天然ガス課勤務を経て、平成17年6月より現職。商務情報政策局情報セキュリティ政策室では、主に情報セキュリティガバナンスの普及などを担当。


INDEX
第1回:社会の「神経系」を担う情報技術
はじめに
  企業や組織の情報セキュリティ対策の現状
  情報セキュリティ対策の現状