メンター・グラフィックス・コーポレーションは11月5日、Flowmaster熱流体システムシミュレーションソフトウェアに対するFMI(機能モックアップインタフェース)などの新機能追加、および二次空気解析機能の強化について発表した。高精度を特長とするFlowmasterは、概念設計から設計の最適化と検証にいたる開発段階すべてにおいて、複雑なシステムを手間なく正確にシミュレーションする。最新リリースには、自動車、航空宇宙、プロセス/エネルギー、ガスタービンのといった業界のニーズに対応する新機能が搭載されている。
今回のリリースの特長は、オープンソース環境でもFlowmasterモデルを利用できるようにするFMIの追加。これにより、異なるシミュレーションツールで作成したモデルをシステムエンジニアが処理できる本格的なコラボレーション環境が実現される。
最新リリースのFlowmasterでは、二次空気ソルバと自然循環機能が強化された。二次空気ソルバには、パーツの回転による流れをより安定的かつ高精度にモデル化するアルゴリズムが含まれている。これは、ガスタービンに用いられる二次空気システムの温度上昇と遠心式圧力上昇を予測するのに不可欠。一方、自然循環機能はポンプを使わず、重力と熱エネルギー変化の組み合わせにより完結するシステムの流体循環のシミュレーションも可能にする。従来方式の発電所では自然循環が発生するため、発電分野においてこの機能は必須と言える。
使い勝手に関わる部分も大きく強化されており、生産性の高い直観的なオプションを利用して設計成果から得た情報を柔軟に取り込むパラメトリックスタディ機能や、新しい設計領域を簡単に設定できるスマートモデリング機能が用意されている。その他にも、パラメータのインスタンスそれぞれに対して個別の値を無作為に生成するモンテカルロシミュレーション機能や、平均値、シグマ、最小値、最大値を個別に計算する機能などがある。わずかな温度変化が入力値に与える影響をモンテカルロシミュレーションによって調べることで、シックスシグマ設計(DFSS)のようなリスク分析/品質管理環境としても活用できる。
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