ハイパーコンバージドインフラのNutanix、CEOがプライベートクラウドの未来を語る
Nutanix(ニュータニックス)はオープンソースソフトウェアと安価なホワイトボックスサーバーでスケールアウトするクラスターを提供するベンチャーで、昨年(2016年)IPO(株式公開)を行ったばかりだ。CEOのディラージ・パンディ氏は元OracleでExadataのエンジニアリンググループの統括を行っていたと略歴にあるように、ストレージやサーバーに関しては経験豊富なプロフェッショナルだ。また日本法人の社長である町田氏は、インテルやデルを経て2016年11月にNutanixに参加したという。デルではエンタープライズ向けのビジネスを統括していた経験から、日本のSIベンダーなどには名前が知られている業界人だ。
プラットフォームを志向するNutanix
CEOであるバンディ氏のプレゼンテーションは主に起業家として自身を既存勢力に抵抗する反乱軍に見立てて、エンタープライズ向けのクラウドプラットフォームを提供する挑戦者としての思いを語るものだった。その中で興味深かったのは、電話、カメラ、音楽プレイヤーを融合した結果としてiPhoneが登場したことを例に「カメラなどのコンポーネントが組み合わさっただけでは『プロダクト』にしかならない。それとiCloudやAppStoreなどのサービスが組み合わされて初めて『プラットフォーム』になる」という部分だ。次に挙げた例は、電気自動車のテスラ。こちらも自動車とモーターとバッテリー、それにタッチパネル式のコンピュータを融合させたものがプロダクトとしてのテスラだが、それにネットワークやサービスを加えて初めてプラットフォームになると強調。自社の製品に置き換えてみると「ストレージ、CPU、仮想マシンを融合させたものが『ハイパーコンバージドインフラストラクチャー』。しかし我々はその先にコンテナやファイルサービス、さらにAPIによる連携を加えることによって『エンタープライズクラウドプラットフォーム』を提供する」と解説した。Nutanixが作り上げたハイパーコンバージドインフラストラクチャーというコンセプトにとどまることなく、さらにその先にあるパブリッククラウドと同等のユーザーエクスペリエンスを提供するのが、Nutanixの使命であると強調した。
次に登壇した町田氏が最初に強調したポイントは「Nutanixは100%ソフトウェアカンパニー」であると言う部分だ。これはクライアント・サーバーのシステムがソフトウェアによって革新されている状況に対して、Nutanixはアプライアンスを売るだけのベンダーではないということを強調した格好になった。
Nutanixが狙っているエンタープライズのデータセンターに設置されているサーバーのリプレースには、「シンプルな管理機能とストレージノードとコンピュートノードが融合された、スケールアウトできるアプライアンスであるNutanixが最適である」というスライドが配付資料として配られた。またプレゼンテーションでのみ使用されたスライドの中には、管理ツールであるPrismの下に「App Mobility Fabric」と「Distributed Storage Fabric」が配置され、最下層に位置するハードウェアはもはやベンダーを選ばないということだ。その上で動作するハイパーバイザーであるAcropolis(AHV)と仮想マシン、さらにDockerコンテナがあれば「いかなる仮想ワークロードであっても、NutanixとAHVで実行できない理由は皆無」だという。ちなみにこのコメントは新OSとして発表された「Nutanix AOS 5.0」の報道関係者向けの資料から引用した。
最後の質疑応答では「エンタープライズが求めるセキュリティとマルチテナンシーなどのネットワーク機能の今後の実装について」を質問してみた。セキュリティについてはサーバー間のマイクロセグメンテーションを例に挙げてセキュリティの必要性について解説し、その場合でもシンプルな管理機能が必要であり、そのためにPrismがあると解説。またネットワークのマルチテナンシーについては、現状では実現できてはいないが、その必要性は認識しているという回答であった。最新のソフトウェアについてはNutanixのプライベートカンファレンスである「.NEXT CONFERENCE」が、2017年6月28~30日にワシントンDCで開催されるということで、そこでより詳しい解説がなされるということだろう。
日本法人のリーダーである町田氏も就任後まだ数ヶ月ということで、これから具体的なパートナー向けの施策が動いていくことを考えると6月のワシントンDCのカンファレンスでどのくらい日本の顧客を連れて行けるか? がNutanixの日本市場での最初のマイルストーンになることだろう。引き続き注目していきたい。
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