「共感できるフィーリングが増えた」非エンジニアの上場企業役員が、プログラミングを学んで得たもの。|ユナイテッド株式会社 手嶋 浩己
TechAcademyの「はじめてのプログラミング」コースの受講を終えたユナイテッド株式会社取締役 兼 常務執行役員の手嶋さんに、TechAcademyの受講体験についてお話をお伺いしました。インターネット業界の企業取締役であり、自社サービスや投資事業をご担当されてきた手嶋さんが、プログラミングを学んだ背景や得たものについてお話いただいています。
手嶋 浩己:ユナイテッド株式会社 取締役 兼 常務執行役員。
一橋大学商学部卒業後、1999年株式会社博報堂入社。マーケティングプランナー及びブランドコンサルタントとして勤務後、2005年退社。2006年、株式会社インタースパイア取締役副社長に就任。2度の経営統合を経て、2012年にユナイテッド株式会社取締役兼執行役員就任、2016年より取締役兼常務執行役員に就任(現任)。
コードを書くのは初体験。
――手嶋さんの自己紹介をお願いします。
ユナイテッド株式会社という、主にインターネット広告事業、メディアコンテンツ事業、ベンチャーキャピタル事業をやっている会社で、取締役兼常務執行役員をしています。
――プログラミングを学ぼうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
今回学習するまで、コードを一行も書いたことがなかったんですね。2006年からインターネット企業にいるのですが、Webサービスの技術的な仕組みついては「こんな感じかな」と雰囲気で理解していた程度でした。それでも仕事上で支障ないレベルなのですが、ずっと、わかっている風ではなく、正しい知識として理解したいと思っていたんですね。スケジュール的に時間確保ができたので、2017年の11月からTechAcademyで「はじめてのプログラミング」コースを学びました。
学習を継続させるコツは、徹底したスケジュール管理とメンターとの約束。
――普段お仕事で多忙だと思うのですが、どのように時間を確保して学習に取り組まれましたか。
僕はスケジュールマニアなので、普段から分単位で予定をこまめに登録するんですね。「◯時に、メルカリで売れたものをコンビニに持っていく」というような予定もカレンダー登録して管理するタイプで、あらかじめ必要な時間をブロッキングしていました。実際に学び始めてから、毎日こまめにやるよりも1回で長時間集中する方が効率的だと気づき、時間のとり方を変更しましたね。学んだことは数日経過すると意外と忘れるものなので、新しいことをインプットしたら、そのまま課題に取り組む流れが大事でした。
――学習をサポートするメンターは、どのように活用していましたか。
メンターにチャットで質問すると、すぐに返信がくるのがよかったですね。エラーで詰まったら、画面のキャプチャを撮ってそのまま質問していたので、疑問はスピーディに解決できたのは有難かったです。また、週に1回のメンタリング(ビデオチャット)は、強制力がはたらくのもよかったです。最後までやり切れた理由の1つですね。毎回「次回は、この辺まで進めます」って担当のメンターと約束するんですよ。約束通りに進まなかったことも何回かありましたが、「仕事が忙しくて…」とか、妙に言い訳をしないといけなくなるので嫌でしたね。なので、毎回約束を達成しようと必死になって頑張りましたよ。出張先のニューヨークでもやっていましたね。あと、カリキュラムのなかの課題に合格すると、初歩的な内容でもメンターが褒めてくれるのですが、大人になって褒められることって少ないので、ちょっと恥ずかしい気持ちと嬉しい気持ちが混在している感じで新鮮ですね。一度、課題に落ちたこともあるのですが、その時は愕然としましたね。ゲーム的に、ひとつひとつの課題をクリアしていくことを楽しんでいました。
エンジニアの感覚に一歩近づけたことが一番大きな収穫。
――8週間HTMLやCSS、PHP、データベースについて学ばれましたが、やってみていかがでしたか。
とても難しかったというのが率直な感想ですね。ただ、僕がこれまで雰囲気で理解していたことは、意外とあっていたということが分かり安心しました。開発言語によって異なる点もあると思うのですが、フロントエンド、サーバ、データベースの役割や関係というようなストラクチャーを理解できたことで、仕事の話でも理解度が増しましたね。
一番大きい収穫だったのは、エンジニアの業務の大変さや、プログラミングが面白いという感覚に一歩近づけたことですね。学習中に、何回画面を見てもエラーの原因がわからない絶望感も味わうことができたので。共有できるフィーリングが少しでも多くもてることは、とてもいいことだと思います。
同じく雰囲気でなんとかしてきた経営者は多いはず。
――投資事業も担当されていますが、その際に技術力は重視していましたか。
あまりしていなかったです。技術力の話になると、僕では理解ができないことが多すぎて、全員凄く見えるんですよ。それ以外のいいところを見つけて投資の判断をしてきましたね。今回得た知識だけでは技術力を判断するには足りないと思っているのですが、今後はそういう技術力が強みの会社など投資先の幅を広げていきたい願望はあります。
――非エンジニアの経営者は、プログラミングの理解は必要だと思いますか。
僕のように、なんとなくの理解でインターネット企業を経営してきた方って、結構多いと思うんですよね。雰囲気で何とか乗り切っている方や、経営が仕事だから分からなくてもいいでしょ、と思っていたり。当然、経営の仕事はたくさんの要素を含むので、プログラミングは必須スキルではありませんが、技術への理解の重要性は確実に高まっているので、個人的には基本的なことだけでも理解することは大事だと思います。
ただ、僕にとって技術への理解は全体の仕事の一部です。これ以上深掘りするとバランスが崩れますし、とても難しくて奥が深いものだとわかったので、得意な人にやってもらうべきです。そういう点でも、今回学んだ内容のレベルは僕には最適でした。今回学んだ知識や得た感覚は、今後も忘れないようにしていきたいと思います。
――具体的には、どのようないいことがありますか。
経営判断の材料が増えますよね。あとは、エンジニアが言っていることに共感できたり、逆に鵜呑みにしないということもできます。今までは、完全にブラックボックスで任せるしか選択肢はなかったところが、対話の余地を生まれると思いますね。と言ってもですね、まぁ、僕の浅い知識でエンジニアの仕事に介入するよりも、やる気が出せる環境をつくって自律的に素晴らしい仕事をしてもらうことが一番大事なので、そこを頑張るんですけどね。
インタビュアー:新嘉喜りん(キラメックス株式会社)
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