人と喋りたくなくてIT業界を志望した僕へ

2022年9月21日(水)
植松 和也

はじめに

本連載は、文系出身の僕が新卒でSIerに入社し、インフラエンジニアとして4年間働いてきた経験を、就活を控えたあの日の僕に伝えるものです。冒頭では過去の僕への手紙を、続いてIT業界やインフラエンジニアについて解説をしていきます。

大学3年当時の僕はやりたいことも頑張ってきたこともなく、ただ日々のお金を稼ぐためにアルバイトに励む貧乏学生でした。そこからインフラエンジニアになって救われた部分が大きいので、ぜひあの日の僕にはそのままインフラエンジニアになってほしいと願い、この記事を書きました。もちろん当時の僕だけではなく、当時の僕と同じような状況に置かれている「エンジニアを目指そうか」と考えている方にも役立つ内容かと思います。

本連載を通して、インフラエンジニアについて知り、インフラエンジニアを目指す人の不安を少しでも取り除くことができたなら幸いです。

君は大学3年生で、就職活動を開始した頃だと思う。君はバイト先での人間関係に悩み、「もういっそのこと人と喋らずに済む仕事がしたい」と願うようになる。そしてエンジニアであれば人と喋らなくて済むだろうと考えITの道を志した。

その後の就職活動で君は「人と喋りたくないからエンジニアになりたいです」という志望動機を堂々と披露して回ることになる。この記事を読んでエンジニアに対する認識を改め、合格が遠のく志望動機を披露するのを控えてくれたらそれほど嬉しいことはない。

エンジニアは人と喋らなくても良い!?

エンジニアを目指す方の中には「エンジニアって人と話さないでも仕事できそう!」というイメージをお持ちの方がいるかもしれません。当時の僕もそうでした。真っ暗な部屋で画面に向かう天才ハッカーみたいなイメージがありました。

しかし、実際はそうではありませんでした。もちろんPCに向き合って1人で作業する時間は多いですが、想像していたよりも人と話す機会は多かったです。

ここで、参考までにある日の僕のスケジュールを見てみましょう。

ある日の僕のスケジュール

図:ある日の僕のスケジュール

朝夕の会議では、チームリーダーにその日の作業予定や作業の進捗を報告します。また、顧客との打ち合わせや成果物の出来をチェックしてもらうレビューを行います。その他にも不明点があったら先輩や顧客に確認しなくてはなりません。

こうして見ると、業務時間の半分ほどは「人と話している時間」とも言えます。

人との関わりで
ストレスを感じたことはほとんどない

「人と喋りたくない」という理由でエンジニアになり、入社後認識の違いを思い知らされた僕ですが、それでも不思議と人間関係でストレスを感じたことはあまりなかったです。

これは、エンジニアの方々の性格的なところに助けられたと思っています。僕の周りのエンジニアの方々は比較的穏やかな方が多く、上司と会話していても理不尽に感じたことは一度もありません。もちろん、スケジュールがキツイときや障害発生時などにはピリつくこともありましたが、それでも理性を見失って怒るような人はいませんでした。

エンジニアが理性を見失わない理由は、日々コンピュータを相手に仕事をしているからではないかと考えています。コンピュータには感情が伝わりませんが、構築したシステムやプログラムが上手く動いてくれないときは「あのさあ、コンピュータくん、これ〇〇できないってどういうこと??」など、パワハラじみた発言もしたくなるものです。

しかし、コンピュータはいかなるパワハラにも負けず、常に同じ結果を出力し続けます。エンジニアである私たちはどんなときでも論理的にコンピュータと会話をしなければなりません。その結果、人間と会話しているときにもストレスをグッと堪えて会話ができると思うのです(ちなみにこの話を上司にしたら「私は怖いエンジニアにもたくさん出会ってきましたけどね」と言っていたので、怖いエンジニアも存在するようです)。

本当に困ったら逃げちゃいましょう!

とは言っても、4年も仕事をやっていると性格の合わない人とも遭遇しました。これはやはり人間同士なので仕方のないことだと思います。基本的には苦手な人とも何とか努力して一緒に仕事をするのですが、本当に無理なら逃げることも選択肢の1つだと僕は思います。

僕の仕事はSES(System Engineering Service)業務であることが多く、プロジェクトごとの現場に赴いて仕事をします。そのため、(あまり大きな声では言えませんが)最終手段として合わない人がいたら現場を変えてもらうことでその人から離れることもできます。

僕の知り合いに薬局で働いている人がいますが、職場の苦手な人と薬局という店内でいつも一緒にいなければならずストレスだと語っていました。店舗や特定のオフィスなど1つの場所で働かず、SESとして現場に派遣されるエンジニアだからこそ苦手な人から離れられるというわけです。これはSESとして働くことの隠れたメリットだと思っています。

おわりに

今回は、連載の第1回目として、インフラエンジニア歴4年の筆者の経験を基にエンジニアの人間関係について紹介しました。業務で人と話す機会は意外と多いですが、エンジニアには穏やかな人が多く、また苦手な人から離れることも比較的容易であることが分かっていただけたかと思います。

次回も、インフラエンジニアを目指す方に役立つ内容を紹介していきます。

株式会社BFT
2018年に株式会社BFTに新卒で入社。複数の公共系システムの設計・構築に携わる。2022年からインフラエンジニアをもっと世に広めたいという野望を胸に教育サービス「BFT道場」の講師を務めている。趣味はギターを弾くこと。将来の夢は大きなプードルと暮らすことだが、家族からは反対されている。
BFT道場:https://bftdojo.com/

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