「すぐに転職してWebエンジニアになろう」と考えている僕へ

2023年1月26日(木)
植松 和也

はじめに

今回は、「一度SES企業に就職し、そこからWebエンジニアになろう」と考えていた僕が、実際に就職してから転職について思ったことを書いていきます。

君は就職先を決めるにあたって、ひとまず就職しやすいと言われるSES企業に就職し、そこで技術を学んだらすぐにWeb系のエンジニアに転職しようという戦略を立てた。結論から言うと、それから4年が経った今でも、君は最初に就職した企業に在籍しているね。転職はしなかった。でも、後悔はしていない。たしかに思い通りにいかなかったこともあったけれど、自分の意志で今の会社で働いている。

大学時代に思い描いていたプラン

就職前の僕は、IT業界でも就職がしやすいと言われているSES企業にひとまず就職し、そこで技術を身に着けてからWeb系の企業に転職しようという邪な(?)キャリアプランを立てていました。

大学の友人も似たようなキャリアプランを立てていると言っていたので、同じことを考えていた人も少しはいるのではないかと思います。そんな当時の僕と似たようなことを考えている人のためになればと思います。

僕が上記のようなキャリアプランを立てたのにはいくつかの理由がありました。1つは、自分に自信がなかったことです。僕は大学時代に何も頑張ったことがなく、さらに文系でプログラミングにもそれほど触れたことがなかったため、就職活動がうまくいくはずはないと思いこんでいました。また、大学4年生のときも授業がたくさん入っており、就職活動に割ける時間がそれほどなかったこともありました。そのため、このような二段階で希望の職種に就職するようなプランを立てていたのでした。

また、今までのアルバイトの経験から、1つの職場で働いていると次第に飽きてきてやる気を失う傾向にあったので、短期間で転職をしたほうが自分に合っているのではという思いもありました。

もう1つは、ネット上で調べた限り、色々なところに「IT業界は転職しやすい」と書いてあったからでした。これはIT業界を目指している方も見たことがあるのではないかと思います。

このような理由から、1、2年での転職を前提としたキャリアプランを立てて就職活動に臨みました。ですが、結果としては最初に就職した企業で4年たった今も働いています。そこにはいくつかの誤算があったのです。

1つ目の誤算は、自分にとって1つの職場で働くことが思っていたよりも苦ではなかったことです。アルバイトでは同じ職場にいる限り毎日同じ仕事をしなければならず退屈だったのですが、実際に働き始めてみるとエンジニアの仕事は1つの大きなシステムの完成を目指して日々新しいタスクを担当することになるので、仕事に飽きてしまうということがあまりなかったです。

2つ目の誤算は、日々の業務をこなしながら業務とは関係のない技術を学ぶことは想像以上の体力を要することでした。僕はインフラエンジニアとして就職したので、日々の業務でプログラミングを扱うことはほとんどありませんでした。ただでさえ業務についていくので精一杯だったため、+αで業務に直接使用しないプログラミングを学ぶ体力はありませんでした。

3つ目の誤算は、就職前に想像していたほど簡単に転職できなかったことでした。就職前の僕は「IT業界は転職がしやすい」という情報を見て、ぼんやりと冷蔵庫を買い替えるくらいの気持ちで転職できるのではと考えていましたが、転職するには相応の体力とモチベーションが必要になります。

もちろんしっかりと準備して転職活動に臨めば転職できたと思いますが、上記のような理由で転職する理由をすっかり失っていた僕には、転職するだけの体力とモチベーションがありませんでした。

新卒時代の転職活動

実は一度、入社して1年が経った頃に転職を試みたことがありました。その当時は仕事でうまくいかないことが連発して自己肯定感がぐんぐん下がり、度重なる残業や休日出勤で心身ともに疲弊していた時期でした。

今でも思い返すと胸がキリキリと痛む思いがするのですが、 案件の課題管理表には僕が原因の課題が立ち並び、それをどうにかしようと独断でサーバ設定をしたところ、また新たな問題が立ち上がってきたりしました。意図的に隠した、あるいは見ないふりをした問題はいずれ必ず大きくなって課題として顕在化してくるというのはこの頃に学んだ教訓です。

ちなみに、そのときの転職活動はまったく上手くいきませんでした。「今の仕事から逃げ出したい」というモチベーションしかなく、失敗続きだったため自分にも自信がなく、転職エージェントともゴニョゴニョ話すことしかできませんでした。担当してくれた転職エージェントの「大丈夫かこの人…?」という顔を今でも覚えています。

結局、自分が希望するような企業とは出会えず転職できませんでしたが、あのまま「仕事から逃げ出したい」というモチベーションのみで転職をしていたら、それほど幸せな結果は得られなかったのではという予感があります。

僕のこれまでの経験から何かしらの教訓を取り出すとするならば、以下のようになると思います。

  1. 自分が本当にやりたいこと、やりたくないことは何かをよく考える
    僕の場合、1つの職場で働くのが苦手だからという理由で転職を前提にキャリアを考えていましたが、実際は同じ仕事をずっと続けることが苦手なだけでした。実際に働いてみないと分からないことも多いですが、ここの分析はもっとしっかりやっておけば良かったと思います。
  2. 転職を前提としたキャリアを考える場合、なるべく1社目から希望の職種と近い職を選ぶ
    入社前はやる気に満ち溢れているため、どんなに無理そうな目標でも「やってやる!」という気分になりますが、実際に仕事が始まると業務に全く関係ない勉強をするのは中々難しいものいです。近しい職種で働けば、そこでの経験がそのまま2社目にも活かせます。
  3. (可能であれば)職場からの逃避と転職は分けて考える
    職場から逃げたい一心で転職活動をしたのですが、もしあのまま転職していたら自信がないため自分の希望を伝えられず我慢することになったり、途中で逃げてしまったという罪悪感のようなものを覚えてしまったかもしれないと思います。転職活動は落ち着いて時間を取って取り組んだほうが良かったです。もちろん「もう1日だって働けない!」という状況は大いに有り得ると思うので「可能であれば」としました。

    おわりに

    今回は、僕がインフラエンジニアとして4年間働いた時点で感じた、転職に関する思いを書きました。現在、就職して1、2年で転職を前提としたキャリアプランを立てている方がどのくらいいらっしゃるか分かりませんが、今回の内容が少しでもお役に立てれば幸いです。

株式会社BFT
2018年に株式会社BFTに新卒で入社。複数の公共系システムの設計・構築に携わる。2022年からインフラエンジニアをもっと世に広めたいという野望を胸に教育サービス「BFT道場」の講師を務めている。趣味はギターを弾くこと。将来の夢は大きなプードルと暮らすことだが、家族からは反対されている。
BFT道場:https://bftdojo.com/

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