SMB市場におけるERPパッケージの導入実態
はじめに
今回は、中堅・中小企業(以下、SMB)におけるERPパッケージの市場実態についてノーク・リサーチの調査結果を基に紹介していく。前回指摘した ように、SCMやCRMといった他の戦略系ITに比べて、ERPに関してはSMBにおいて関心度合いが高い。SMBにおけるERPパッケージライセンス売 上高の市場規模が年々拡大していく中で、市場参加者の数も増加して競争が激化しているのも確かである。
調査概要
ノーク・リサーチは、2005年9月〜12月にかけて中堅・中小企業向けERPの実態調査を実施し、調査の対象は、直接面接調査35社、メールアンケート2社の国内ERPベンダー計37社となる。
今後ERP市場の伸びはSMBが牽引役になっていく
ノーク・リサーチが2005年に行ったSMB向けERP市場実態調査によると、2004年度のERPパッケージライセンス売上高市場規模(大企業向 けとSMB向け合計)は対前年比113.8%の985億円で、2005年度には1,000億円の大台を超えて1,078億円(対前年比109.5%)に達 する見込みだ。2007年度以降は年率7%の伸びで2010年度には1,487億円に達すると予測される。
年々拡大するERPパッケージライセンス売上高市場だが、その中でも特に伸びが著しいのがSMB向けのERPパッケージライセンス売上高となる。数 値を見てみると、2003年度は499億円、2004年度は対前年比120.2%で601億円、2005年度は対前年比112.5%で676億円に達する 見込みであり、2桁成長となる。
SMB向けERP市場が全体に占める割合が2003年度は57.8%、2004年度は61.0%、2005年度には62.7%となっており、ERPパッケージのライセンス売上高市場においてSMBが牽引役となっていることに疑いの余地はないだろう。
こうしたSMB向けERPパッケージライセンス売上高市場規模の拡大に伴う背景は以下の3点に集約できる。
1. オフコンと西暦2000年問題の際に導入したパッケージのリプレース
データは割愛するが、現状としてSMBにはオフコン利用者が少なくない。オフコンユーザがERPユーザへと転換していく流れは今後も続く見込みとなる。
また、かつて西暦2000年問題の際には自社のシステムを新たなパッケージに転換する動きが活発だった。そこで、一般的なシステムの転換期である5年後の2004年前後になってそのリプレースが山を迎えたわけである。
こうした2種類のリプレース動向に起因し、2003年度から2004年度にかけてはSMB向けERPパッケージライセンス売上高が20%代の大幅な伸びを見せた。
2. SMB向けERP市場に新規ベンダーが参入、ユーザのERP認知度に影響か
2004年度はSAPやオラクルなどの外資系大手ベンダーのみならず、インフォベックなどの国産ベンダーもSMB向けERP市場に参入した。ERP の性格から低価格化が進むものの機能面の勝負となり、競争の激化によりそれが単なる価格競争におちいることはなく、様々な業種/規模/習慣に適合するよう なERPパッケージが世に出回るようになった。
そのためセミナーやイベントの増加なども相まって、全体的な傾向として"ERP"という言葉にユーザが触れる機会が増えた。ERPパッケージ普及については、ユーザがこうしたベンダーの動きに刺激されるところも大きい。