2006年企業アプリケーション導入実態調査
はじめに
本連載の最終回は、2006年3月にERP研究推進フォーラムが行った企業アプリケーション導入実態調査の結果から、現状の分析と今後のERP市場の動向について解説する。最新の調査結果から導き出された2006年のキーワードは、表1の5つにまとめられる。
- 大企業・中堅企業(大・中・小)全体で、ERPの導入率が30%を超えた
- 国産ERPパッケージの躍進
- ERPマーケットの主戦場は、中堅企業にシフト
- 日本版SOX法対応では、約26%のユーザがERPをベースと回答
- 今後の重点投資先はセキュリティがやや鈍化、ERPが再浮上
大企業・中堅企業(大・中・小)全体で、ERPの導入率が30%を超えた
はじめにERPの導入状況をみてみよう。図1はERPの導入状況を全体、企業規模別に示したものである。
2006年のERP導入企業を全体でみると、「導入済みで現在利用している」の27.1%と「(導入済みで)利用範囲を拡大しようとしている」の4.8%とをあわせて31.9%である。2005年の調査に比べて5.3ポイントの伸びを示した。
また調査を開始してからはじめてERPを導入している企業が3割を超えた。調査対象全体で導入率が31.9%というのは、感触として若干低いように 思われるかもしれない。しかし過去の10年の調査では最高の数字であり、ERPの普及が本格化していることを物語っているといえよう。
また「関心なし」とした回答は18.5%で、前年に比べて8.8ポイント下がっており、ERPに対する認知度が大幅に向上していることがうかがえる。
企業規模別で導入率を見ると、大企業(売上3,000億以上)では、導入中の企業を入れると50.1%である。また中堅企業を見てみると、売上 1,000億円〜3,000億未満は約48%、売上300億〜1,000億未満では42.3%の導入率である。2005年と比較して大企業、中堅企業のそ れぞれでERPの導入が着実に伸びていることがわかる。
一時、ERPはブームを去ったかの風評がたったことがあるが、企業の基幹システムとしての重要性は着実に認識をされていることが、この結果からも裏 付けられているといえよう。後ほど詳しく述べるが、日本版SOX法の対応としてERPをベースに考えているユーザが多いことからもいえる。
今後導入の方向で検討・準備中の数を見ると、大企業では鈍化傾向が見られるが、企業規模が小さくなるにつれて、検討・準備中の数は増加している。これについても後ほど詳しく述べる。