ブレードサーバの導入が加速する理由
最近エンタープライズサーバとして、飛躍的に増えているのがブレードサーバです。ブレードサーバがエンタープライズシステムにおいて急速に導入されている主な理由としては、以下のようなものがあげられます。
ラックあたりのサーバの集積密度を高めることが可能
- 結線作業の煩雑化を大幅に低減
- 障害発生時のハードウェア交換作業を簡素化
- OSやアプリケーションのインストールや配布などを管理ソフトウェアによって一元管理
- 管理ソフトウェアによりハードウェアコンポーネント(温度、ファン、電源)の物理管理が容易
- エンクロージャの空スロットにブレードを挿すことで、システム拡張性が大幅に改善
ブレードサーバが採用されている分野としては、その多くがWebサーバやWebアプリケーションサーバ、メールサーバなどのエッジサーバに使われています。またHPC(High Performance Computing)の分野で使われる超並列計算機としても利用されています。
最近ではSANストレージにデータベースを持ち、ブレードサーバを接続したHAクラスタなどの高い耐障害性を要求されるシステムにもブレードサーバが導入されることもあります。
ブレードサーバとLinux
ブレードサーバとLinuxとの関係を見ると、Apacheを使ったWebサーバやJBoss、BEAによるアプリケーションサーバなどに適用されています。
小中規模のシステムとしては、Apache Webサーバとアプリケーションサーバ、データベースサーバすべてをRed Hat Enterprise Linux(RHEL)で構成することもあります。
例えば、カートを使ったショッピングサイトなど、顧客へのWebインターフェースとなる部分はApacheとJavaベースのWebアプリケーショ ンが担当して、商品の購入情報や顧客データなどはデータベースに保管します。これらWebサーバ(第1層:プレゼンテーション層)、Webアプリケーショ ンサーバ(第2層:ビジネスロジック層)、データベースサーバ(第3層:データ層)を組み合わせたシステムを3層クライアントサーバシステム(以下、3層 システム)と呼びます。
3層システムは、その規模によってサーバの規模やOSの種類を検討しなければなりません。3層すべてのシステムをLinuxで構成する場合はデータベースがLinuxで動作することが許されるシステムであるという点を強く認識しておく必要があります。
図1に3層システムで、LinuxとUNIX(HP-UX)が混在するものを示します
第1層のWebサーバと第2層のWebアプリケーションサーバにはLinuxを搭載していますが、データベースサーバは商用のUNIXを採用すると いう構成です。システムの用途と規模に強く依存しますが、データベースに強い負荷がかかるシステムでは、商用のUNIXと信頼性の高いデータベースを採用 することが一般的です。
しかしシステム規模や負荷テストなどを考慮した結果、データベースもLinuxでよいという規模のシステムであれば、3層システムをブレードサーバ で構成することが可能です。この場合、ブレードサーバにはすべてLinuxを搭載し、SANストレージを除けばブレードを格納するエンクロージャ内で3層 システムが構築できます。
図2は、3層システムをすべてLinuxのブレードサーバで実現したシステム構成例です。
システムにより高い負荷が要求されるようになれば、Webサーバやアプリケーションサーバ、データベースサーバそれぞれをエンクロージャに追加して くことにより、負荷を分散させることが可能です。さらに空きエンクロージャを購入しておけば、システム拡張にあわせてサーバを追加していくという簡単な手 順に管理が集約できます。
導入の際には図1、2のように、システムの用途・規模・サイジング結果・予算などを十分検討する必要があります。
ブレードサーバで動作するLinuxとして注意しなければならないのは、そのブレード本体がLinuxをサポートしているかはもちろんですが、ブレードサーバへのインストール環境が整っているかどうかという点です。
RHEL4はProLiantのブレードシリーズをすべてサポートしており、インストールも容易に行うことが可能となっています。またインストール 環境としては、「Rapid Deployment Pack」や「Control Tower」と呼ばれるブレードに特化した管理ソフトウェアが用意されており、たとえブレードサーバが何百台になってもインストール作業が煩雑化すること がなく簡単に導入することが可能です。

