選択肢が広がるBI製品

2010年3月8日(月)
IT Leaders編集部

統計解析からエクセル代替までルーツは多様

前回に見た日本IBM、日本オラクル、SAPジャパンのスイート製品以外で、国内市場で手に入る主要なBI関連製品をまとめたのが図1-1だ。その中から特徴的な製品をピックアップして見ていこう。

BSCベースに業務を見える化

企業システムの分野において地歩を強化したいマイクロソフトが2007年11月に市場投入したのが「Microsoft Office PerformancePoint Server 2007」である。

予算編成や予測などの業務を担う「プランニング」、活動の成果をリアルタイムに把握する「モニタリング」、原因分析する「分析/レポーティング」を主な機能とし、ExcelやWebブラウザを通じたワークフロー/情報共有で効率的なPDCAサイクルを支援することを狙った製品だ(図1-2)。財務的な指標だけでなく顧客や業務プロセスの視点も交えて戦略策定と業績評価を支援する手法「バランススコアカード(BSC)」をベースに、業務全体の「見える化」を図ることがフレームワークになっている。「実際にマイクロソフトが自社内で使いながら機能をブラッシュアップしてきた製品だ」と、インフォメーションワーカービジネス本部の米野宏明 IWソリューションマーケティンググループエグゼクティブプロダクトマネージャは説明する。必ずしもBSCに準拠する必要はないが、まずは管理指標を明確にしなければならない。

Webブラウザをベースとした分析画面では、対話形式のウィザード機能によって望むデータを抽出できるほか、その時の検索条件などを保存して他のメンバーと共有したり、ダッシュボードに表示するパーツに流用できる。

プランニングはエクセルをインタフェースとし、シートに書き込んだデータは直接サーバー上の多次元DBに格納される。例えば予算編成などの場合、各部門の担当者がデータを入力した時点でサーバー上で直ちに再集計されるほか、予算達成に必要な差分額を所定のルールで配賦処理するといった機能を備えている。

統計解析から業務密着型へ

高度な統計解析やデータマイニングの分野から発展してきたのがSAS InstituteやSPSSの製品だ。例えば携帯電話のキャリアが顧客ごとの通話時間や利用時間帯、データ通信/通話の種別といった膨大なデータから、数カ月以内に解約しそうな顧客を選び出す予測モデルを作ってシミュレーションするといった分野で、分析の専門家が駆使してきた領域である。

近年は2社ともに業務密着型を標榜しており、マーケティングにおけるキャンペーンの計画/評価や流通業における顧客行動分析、金融機関向けの予測分析システムなど、ターゲットを特定したソリューションの展開に注力している。「単にダッシュボードで現状を把握するのにとどまらず、将来を予測する分野で強みを出していく」(SAS Institute Japanの池本洋信ビジネス開発部長)という。

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