なぜmixiの牧場アプリはヒットしたのか
はじめに―mixiアプリ開発のノウハウ
株式会社ミクシィのプラットフォームチームに所属している、mainyaこと森和之と申します。mixiアプリの立ち上げからこれまでずっと開発に携わってきました。
この連載ではmixiアプリの基本的な作り方から、mixiアプリで押さえておくべき点と、どうしたらmixiアプリで面白いアプリケーションを作れるか、負荷対策はどうしたらいいかまで一連の流れを追って取り上げたいと思います。mixiやプラットフォームの考え方から、mixiアプリの企画-開発-運用と幅広いテーマを扱うため、どうしても駆け足になってしまうかもしれませんがご容赦ください。
mixiアプリ開発者は熱心なmixiアプリユーザーであることも多いと思います。この記事をご覧になっている皆さんの中には、もっと重要な情報があることを知っているかもしれません。良かったらはてなブックマークやtwitterのハッシュタグ(#mixiapps)などでフィードバックをいただけると大変ありがたいです。ユーザーと近いSNSは、ユーザーからのフィードバックがダイレクトに返ってきます。もしかしたら、皆さんが作成したアプリに対しても容赦のない言葉が返ってくるかもしれません。しかし、この連載を参考にして改良していけばきっと良いフィードバックが得られることでしょう。mixiアプリは新しいプラットフォームです。初めてプログラミングを経験した時のあのワクワク感を味わっていただければ幸いです。
そもそもmixiアプリってなに?
mixiアプリとは、mixi内のさまざまな情報を活用したアプリケーションを開発できるmixi Platformという取り組みの1つです。mixi Platformは、以下の3つで構成される一連のプラットフォームです。
- mixiアプリ……mixi内でmixiのソーシャルグラフを使ったウェブサービスを構築出来る仕組み(OpenSocia)
- mixi Connect……外部のウェブサービス、ケータイ等に mixiのソーシャルグラフを公開して外部とmixi連携できる仕組み(OAuth)
- mixi OpenID……mixi上の自分のアイデンティティ情報を外部サイトでの認証に使用するためのサービス(OpenID)
mixi Platformでは、今まで閉じていると言われていたmixi内の情報をオープンな仕様に準拠したAPIとして提供しています。PC向けmixiアプリであれば、個人の方でも簡単にソーシャルアプリケーションを作れる環境が揃っています。誰でも簡単にmixiと連携出来るアプリを作れる環境を整えることで、mixiをオープンにしてエコシステムの構築を目指すプロジェクトなのです。
昨年の8月24日に始まったmixiアプリのPC版に引き続き、10月27日にはmixiアプリモバイルも公開されました(モバイル版はパートナー企業限定公開です)。mixiアプリはmixiのサイト上で動作します。そのため、日本の法律やmixiの利用規約に沿ったアプリである必要がありますし、プライバシーやセキュリティの遵守に取り組む必要がありますが、ガイドラインの範囲内でどんなアプリを作るかは自由です。なぜならmixiアプリはオープンプラットフォームだからです。
mixiアプリを始めたと聞いて、mixiがゲームサイトになるんじゃないか、と思った人も居るかも知れません。しかしそれは間違いです。mixiはあくまでSNSであり、人と人をつないでコミュニケーションを活性化することにフォーカスしています。人と人のコミュニケーションの方法は様々です。文字だったり絵だったり会話だったりゲームだったりダンスだったり色々な方法があります。ミクシィ単独では、すべてのコミュニケーションの方法をサポートするための時間もコストも足りません。そのため、mixiアプリという形で外部のデベロッパーに新しいコミュニケーション方法を探ってもらうことにしたのです。
サンシャイン牧場はmixiアプリで非常に流行ったアプリです。2009年8月に公開されてから、わずか3カ月弱で300万人ものユーザーを集めました。非常にアクティブなmixiアプリです。
それでも私はmixiアプリにはまだまだ潜在能力があると考えています。この連載でサンシャイン牧場を超えるアプリが生まれてくれれば幸いです。