開発前におさえておくべきmixiアプリ企画のポイント

2010年9月8日(水)
森 和之

ポイント3「暇つぶし」―ユーザーの利用状況を想定しよう

前回に引き続き、mixiアプリ設計のポイントを例を示しながら解説していきます。ポイント1「ソーシャルグラフ」、ポイント2「コミュニケーション」に続くポイント3はユーザーの利用状況を想定した重要なポイントです。

単純にゲームを作るとどうしても1回のプレイ時間が長くなってしまいがちです。mixiにアクセスしてきているユーザーには「暇つぶし」が目的の人がたくさんいます。電車での移動中、待ち合わせ、お昼休憩など、何かと何かの隙間の時間にアクセスしてきているのです。そのため、1回のプレイ時間が短いゲームが好まれる傾向があります。また、ユーザーは常にmixiにアクセスし続けているわけではないため、mixiアプリ同士でも時間の奪い合いが発生します。1つのゲームにかける時間を無駄にしたくないので、1ヶ月や3ヶ月などの単位で長期的に遊べるゲームが好まれます。つまり、1回のプレイ時間は短く、かつ数ヶ月の単位で長期的遊べる設計にするのが効果的です。

一時期流行ったMMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game:不特定多数のプレーヤーが1つのゲーム世界に参加するオンラインゲーム)は、非常にソーシャルゲームに近いと言えます。フレンドリストがあり、コミュニケーションとレベルとコレクションとアバターを組み合わせてクリックして戦闘するだけでレベルが上がっていきます。

私はゲームが大好きです。Diablo、Lineage、ラグナロクオンライン、FF11、マビノギなど色々なMMORPGにはまってきました。MMORPGはすごく面白いのですが、リアルタイム性が強すぎたのと、1回のプレイの拘束時間が長かったため、だんだんと離れてしまいました。

もちろんMMORPGが悪いというわけではありません。ゲームに時間をかけられるユーザーにフォーカスして熱量の高いコミュニティを構築するのも方針の1つです。しかし、mixiではリアルの友達中心のソーシャルグラフのせいか、ゲームの進行のためにマイミクを増やす行為はあまり行われないため、あまり遊んでいる人がいないゲームになってしまう恐れがあります。つまり、自分が好きなときに好きなだけ遊べるゲームにすることで、熱量の高い部分と長く続けられるという両方の要素を兼ね備えることができるのです。

定期的に遊べる:

  • 行動制限
  • 1日1回だけログインプレゼント
  • 毎週月曜日に新アイテム公開

長く遊べる:

  • あなただけのペットを育成しよう!
  • ゲームの結果を実績で表示
  • コレクション要素やガチャガチャ
  • あなただけのアバターをデコレーションしよう!

サン牧の例では、定期的にアクセスしてもらえるように1日1回だけランダムでアイテムが貰えるログインプレゼントがあったり、作物が育つのに何時間もかかったり、虫つけは1日150匹までという制限と制約をあえて加えることで、長く遊べるような設計になっています。

ポイント4「クチコミ」―アプリを広めるための仕組みづくり

最後に、アプリを爆発的に広める起爆剤になる、クチコミを最大限に利用する方法を紹介しましょう。mixiアプリでは招待やアクティビティやメッセージ送信といった、自分がアプリで起こした行動をマイミクに通知できます。非公開APIではありますが、占いアプリの結果などを日記のテンプレートにすることもできます。招待機能は強力な機能です。「●●人招待したユーザーには△△をプレゼント!」というように、招待にインセンティブを持たせる事で、ソーシャルゲームの最初の問題である「ユーザーがいないと面白くない」という壁を突破しやすくなります。

mixiはリアルの友人関係を反映したソーシャルグラフを持っており、mixi自体がクチコミが爆発的に広まる特性を持っています。だからサン牧もあっという間に広まったのです。

株式会社ミクシィ

パートナーサービス部 第1プラットフォーム開発チーム
1985年生まれ。2007年に株式会社ミクシィの最初の新卒として入社。Find Job !の開発を半年間経験したのち、mixi開発グループに移動。mixiアプリのプロジェクトの立ち上げから開発を担当し、以降現在までmixiアプリ及び mixi Platformの開発をしている。

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