開発前におさえておくべきmixiアプリ企画のポイント

2010年9月8日(水)
森 和之

段階的なクチコミ

mixiアプリでは招待・アクティビティ・メッセージなど、複数のクチコミの方法を持っています。強い巻き込み性を持つ招待と、緩い巻き込み性を持つアクティビティのように、強弱をつけるためです。認知→アクションまでの道筋を違和感なく進んでもらうにはマイミクを通じていろんな場所で巻き込んでもらうのが一番だからです。

アクティビティ < ボイス・日記 < 招待

左に行くほど表示される場所が多くなり沢山の人に認知されますが、アクションを生む力は弱くなります。右に行くほどby nameで表示される場所が狭まる分、より確実にアプリを使ってもらえるアクションを生むことが出来ます。ユーザーは招待を送るのに躊躇するものです。招待にインセンティブをつけることで、ゲームの上での遊びとして招待を使えるのでより心理的障壁がすくなるなる効果があるようです。

招待によるクチコミは非常に強力です。mixiの平均マイミク数は24人です。ありえないケースではありますが、1人が招待をマイミク全員に招待を送ったら24人にアプリが広まります。24人が招待を送ったら576人にアプリが広まります。SNSでの招待には同じようなことが起きるのです。

図1:クチコミが広がっていく様子

アクティビティは、自分がアプリで遊んだ行動履歴をマイミクに通知する仕組みです。アクティビティには2種類あります。アクティビティフィードとコミュニケーションフィードです。コミュニケーションフィードは、投稿する際にユーザーにポップアップが表示され、ユーザーが許可しない限りは投稿されません。アクティビティフィードは、コミュニケーションフィードとは異なり、ユーザーの許可は必要なく、暗黙的に投稿出来ます。その代わりhomeに表示されないなどの違いがあります。コミュニケーションフィードはmixiで最も見られるページであるhomeに表示でき、自分の使っているアプリをマイミクにさり気なく通知出来るためアプリを認知してもらうのに有効な手段です。

mixiはSNSです。そのコンテンツは人と、人の日記などの文章、つまりユーザーによる投稿によってなりたってます。それはmixiアプリも一緒です。アクティビティはユーザーが起こしたアクションの中でも"投稿"にフォーカスしたものである必要があります。つまり、誰が、何をしたか。です。

mixi上のボイス・日記という強力な口コミ手段を使うことも出来ます。占いアプリの結果をボイスや日記に書き込むことで、その人の感想も付いた口コミとなります。感想は感情を呼び、より血の通ったコミュニケーションになることでよりアクションを起こしやすくなります。ボイス・日記は多くのユーザーの目にふれ、ユーザーの投稿を介する為、非常の強い口コミ性を持ちます。一度にユーザーを集めるタイプの占いアプリや期間限定アプリを広めるのに向いていると言えます。

招待で送れるユーザー数は制限されているため、口コミ性はボイス・日記にはかないませんが、そのかわりさらに強いアクションを起こせる巻き込み性を持ちます。招待はhomeに赤文字で表示され、クリックされる確率が非常に高いため、また、招待を介してアプリを追加したユーザーはライフサイクルイベントで取得できるため、招待にインセンティブを持たせることが出来ます。

招待の質を下げてしまうインセンティブには賛否両論あるかもしれません。しかし、招待する側にも招待される側にもインセンティブ付与するような招待方法を取ることで、ユーザーが友達に対してアプリを一緒にやろうと誘うときの言い訳になり、招待をスルーすることも出来るため、インセンティブを付けるのもひとつの手だと思います。

アプリ名もそうですが、一目でそのアプリを想像でき、クリックしたくなるようなコンテンツを付けることも重要です。アクティビティであればコミュニケーションが生まれるようなタイトルが効果的です。例えば、ハイスコア更新で数字を出して競争心を煽ったり、アバターを更新したら画像付きのアクティビティで自慢したり、思わずクリックしたくなる個性的なタイトルをつけることがいいでしょう。

ただし、ユーザーはアクティビティや招待をしに来ているのではなく、アプリで遊ぶためにアクセスしに来ています。マイミクを招待することに過度のインセンティブを与えたり、アプリのためにマイミクを増やさせることは、mixiアプリガイドラインで禁止されています。

このような過剰な口コミや、アプリのためにマイミクを増やさせることは、ソーシャルグラフの健全さを損なうことになります。また、このような方法をとるとユーザーには非常に嫌われます。ユーザー体験を損なうような過剰な口コミは避ける方がいいでしょう。口コミには様々な方法があり、アプリ側で制御出来る部分が多い分アプリのセンスが試されていると言えるでしょう。

株式会社ミクシィ

パートナーサービス部 第1プラットフォーム開発チーム
1985年生まれ。2007年に株式会社ミクシィの最初の新卒として入社。Find Job !の開発を半年間経験したのち、mixi開発グループに移動。mixiアプリのプロジェクトの立ち上げから開発を担当し、以降現在までmixiアプリ及び mixi Platformの開発をしている。

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