キーワードを軸とした要件定義

2010年9月13日(月)
安治 理之

2007年8月に「実践プロジェクト管理」(全3回)という連載を執筆しました。今回の連載「現場発のプロジェクト管理術」の第2回(本記事)では、筆者が有効と考える、プロジェクト管理手法の実践手法を解説します。

システム開発の流れは、要件定義、基本設計、詳細設計、製造/単体試験、結合試験、(ユーザー企業側の担当者による)受け入れテスト、納品、という工程を経ます。本記事では、このうちで最も重要視され、なおかつギャップが生じやすい工程である「要件定義」を対象に、キーワードを挙げてプロジェクト管理の手法を紹介します。

要件定義の概念

まずは、プロジェクト管理について解説するにあたり、なぜ要件定義を中心としたキーワードに着目するのかを、要件仕様の変更を例に解説します。

  • 要件定義時、すでに作成済みのホテル・フロント・システム(A社が担当)から予約データが出力されることを確認した。同データを基幹システムに取り込む改修は、B社が担当することに決定した。
  • 基本設計時、B社が期待している条件通りには予約データが出力されないことが分かった。これにより、A社が担当したホテル・フロント・システムにも改修が必要であることが判明した。
  • 受け入れテスト時、システム運用上、キャンセル情報を基幹システムからホテル・フロント・システムに反映させる必要があることが判明した。
  • ユーザー企業の競合会社が先行して発表したサービス内容を取り入れることが急きょ決定した。これにより、リリース・スケジュールを含めて再見積もりが必要となることが判明した。

多くのプロジェクトでは、後のフェーズになればなるほど、作業量が増加する傾向にあります。このため、上記の例のように、本来もっと早い段階で決めておくべき要件が後のフェーズで発生してしまう場合は、できるだけ効率的な手段を考案しなければなりません。別の作業が発生していて、時間、予算、要員もない場合などは、少なからずプロジェクトの成否に影響を与えてしまいます。

つまり、要件の仕様変更や増減が、そのまま、プロジェクト全体の規模を変化させてしまいます。プロジェクト管理のうえで重要な指標となる、スケジュール、要員、コストなどを一変させてしまう要因となります。いかに要件の調整を行えるかが、成否のカギを握ると言えます。

要件仕様の変更が発生する理由は、プロジェクトにより様々です。一例としては、ユーザー企業のビジネス環境の変化、技術的な課題、セキュリティ上の課題、ハードウエア/ネットワークの課題、などが挙げられます。システムを円滑に稼働させるためには、同時並行的にいくつもの要件に対処しなければなりません。

特に、要件定義時には、要件仕様の変更が頻ぱんに発生します。限られた時間の中で論点が整理されていくにつれ、ユーザー企業側にもシステムの全体像が見えてくるからです。要件定義フェーズが終わった後でも、整理された論点にヒモ付いて、仕様変更が発生することとなります。これは、ユーザー企業の要求をシステム的にかなえる立場から見れば、ある意味、避けがたい事象と言えます。

プロジェクト管理のうえでは、「要件定義は、システム開発のどのフェーズにおいても発生し得る」ことを念頭に置く必要があります。このことから、本記事では、「要件定義に対してどのように対処するか」が、プロジェクト管理の成否につながる大きな要点と考えています。

頻ぱんに発生する要件定義に効率的に対処するための有効手段として提案したい方法は、要件定義の際に押さえておくべき要点をキーワード形式で整理すること、です。経験上、キーワードは、プロジェクト管理に有用です。

次ページからは、各キーワードについて解説します。

図1: 要件定義が後フェーズで発生してしまう例
株式会社システムインテグレータ ECソリューション部

いつも支援してくださるお客様や、メンバーの皆様に感謝しつつ、日々の業務に勤しむSE。データベースを中心としたフルクラッチ開発を主軸にリーダー業務を数年経験後、ERPを経由し、近年はEC開発プロジェクトを主管。リーダー経験は10年前後。

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