次世代Web構築ワークフロー概要
「5.データ投入」という新しいタスク
CMSツールを利用して、全て新規に立ち上げる場合は、問題無いのですが、現状コンテンツを移行する部分がある場合は、データ移行の問題を事前に検討しておく必要があります。
そもそもほとんどのCMSツールが、開発完了後に、コンテンツを投入する必要があります。単に管理ページに、データを入力するだけでなく、関連性等のひも付けを行う必要があります。CMSツールを導入するくらいのWebサイトの規模であれば、投入時間もばかになりません。1日1人で20ページ程度の投入量を想定しておいてください。
1000ページあれば、500人/日にあたります。現実的にこれだけの工数を取ることは不可能です。ですから商品情報など、きれいにフォーマット化されている部分は、何らかのツールを用意して、自動で投入できるように事前に考えておく必要があります。
CMSツールの中には、現状のコンテンツを、そのまま取り込めることをうたい文句にしているツールもあります。これは、CMSの機能を利用しないページの取り込みには威力を発揮しますが、CMSの機能を利用できる投入が行われるわけではないことを、確認しておくべきです。単にヘッダーとフッターが差し変わると考えていただければ、大きく間違ってはいないと思います。
「4.開発・テスト」は、ほかのシステム開発と何ら違いはありません。CMSツールによる開発の難易度に差はあるにしても、機能が盛り込めるCMSツールは、開発時間やコストが掛かりますし、機能があまりない、もしくは追加開発できないCMSツールは、できることには不自由があるかもしれませんが、開発期間とコストは、劇的に短縮できます。
「3.CMS設計」が終了した時点で、コストとやること、開発期間等を検討してCMSツールの選択を行ってください。機能も確定していないタイミングで、できることが多いツールを選ぶような、ばかげたことは止めるべきです。
できることはコストに比例しますが、同時に開発工数や納期にも連動してきます。自分たちがやりたいことを成しえるツールを明確にして、ツール選択を行えば、コストパフォーマンスの高い開発が可能になるはずです。
「5.データ投入」の作業を行うときには、必要な全ディレクトリーが、明示された資料を作成されることをお勧めします。これがないと、全ページが投入されたかどうかの確認が取れません。
「6.運用」に関しては、これまでと同様ですが、これまで以上にマニュアルの充実が必修になります。運用者が、数年で変わる可能性(ほとんど全ての企業)が考えられるので、きちんとしたドキュメントによる引き継ぎが必要になります。
この引き継ぎが正しく行われなければ、CMSツールの運用は、ストップしてしまいます。そのためには、CMSツールのマニュアルだけでなく、画像加工や、コンテンツに至るまで、これを渡せば、全ての引き継ぎが可能になるようなドキュメントの作成が必修になります。
特に表記ガイドラインは、有効に機能する環境があるだけに、明確に定義して運用することをお勧めします。
短期間、しかも限られた行数の中で、伝えることの難しさをあらためて認識する連載になりました。「次世代Web構築ワークフロー」に関しては、今回の概要を深掘りした内容で書籍化したいと考えています。ご期待いただければ幸いです。
5回の連載にお付き合いをいただいた全ての方に感謝します。
有り難うございました。
図3:承認ワークフローの一番シンプルな例(クリックで拡大) コンテンツ企画から公開までのコンテンツ制作の流れをここでは運用フローと定義します。CMSツールで管理する領域をワークフローと呼びます。 |