Web制作にテンプレートが必要な理由

2011年3月10日(木)
生田 昌弘

週刊誌はなぜ刊行できるのか

そもそもWebサイトというメディアを制作するということは、何をすることなのでしょうか?

htmlを制作したり、グラフィックを作ったり等々、確かにそれも制作の一部ではあります。しかし、Webサイトがメディアであるならば、コンテンツそのものを制作することが、Webサイトの制作であるはずです。

書籍であれば、著者と呼ばれる人は、コンテンツそのものの原稿を書いた人となるはずです。ポスターであれば、何をどのように伝えるかを考えて、それを具現化した人がデザイナーと呼ばれるはずです。テレビ番組であれば、その番組を企画した人が制作者と呼ばれるはずです。

書籍のレイアウトをした人や印刷をした人は、書籍の制作協力者であって、書籍の著者にはなれないはずなのです。ところが、Webサイトを振り返ると、カタログや素材をもらって、編集やレイアウトをする人のことを著者と呼んでいることが多いように思えます。他の業界と比べて、私がWeb業界は未成熟だと感じるのは、このようなことからなのです。

コンテンツそのものを企画し、コンテンツを作成した人こそが制作者であるはずです。

印刷やレイアウト作業を、あたかもコンテンツ制作と同次元で議論しているのを横目で見るたびに、少し寂しい気持ちがこみ上げてきます。これではよいWebサイトやおもしろいWebサイトは作れません。だから個人のブログの方が、おもしろかったりします。

Webサイトの枠組みは仕組みに任せて、コンテンツ制作そのものに注力している個人ブログは、読むに耐えるコンテンツが結構あるものです。それに比べて、企業Webサイトは、あり合わせの原稿を何とか調達して、コンテンツらしく模様替えしているだけです。これでは、おもしろいコンテンツが出てくるはずもありません。

Webサイトを作ると言うことは、コンテンツそのものを企画して制作することにほかなりません。そしてそれを日刊紙のように、更新運用していくことを求められます。コンテンツ作成に注力するためには、必然的にテンプレートや、それを運用する仕組みが必要になるのです。

「Webサイトにはテンプレートが必要である。」これを議論することほど、私自身が消耗する議論はありません。

図1:テンプレートを適用して構築されているWebサイト例(クリックで拡大)
運用や更新を視野に入れて、テンプレート化されたWebサイトが増えてきた。
株式会社キノトロープ

1993年12月にキノトロープを設立。一貫した方針で数々のWebソリューションを築き上げる。現在もネットエバンジェリストとして布教活動を行い、積極的に講演も努める。
著書に「Webブランディング成功の法則55」(翔泳社)、「CMS構築成功の法則」(技術評論者)、「Webサイト運用成功の法則」(ソフトバンククリエイティブ)等。
 

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