IT災害復旧計画策定に必要な各種指標

2011年6月23日(木)
小野寺 章

目標復旧レベル(RLO)と最大許容停止時間(MTPD)

これまで説明したRPO、RTOに加えて、重要な指標としてRLO(Recovery Level Objective)がある。RTOの解説で、「RTOはシステム停止から再開までの目標時間を示す指標で、システム停止からシステム復旧作業に着手するまでの経過時間と、システム復旧作業に着手してから定められたレベルにまで復旧するまでの経過時間の総和である」としたが、ここでの「定められたレベル」が目標復旧レベル(RLO)である。

RLOは“災害や事故などで業務が停止・中断することにより低下した操業度を目標とする時間内(RTO)にどの程度まで復旧させるか”という場合に使われる指標であり、RLOの値はRTOとペアで決定する必要がある。

図4は、RLOと RTOの関係を表したもので、通常業務の操業度を100%とした場合、災害発生から24時間以内(RTO)に操業度を40%にする(RLO=40%)、2ヶ月以内(RTO=2ヶ月)に完全復旧する(RLO=100%)ということを表している。操業度の許容限界とは、ある業務が完全に停止(操業度=0%)しないまでも、この操業度以下となったら業務停止と同等の状態であると判断される操業度と考えることができる。

最大許容停止時間(MTPD:Maximum Tolerable Period of Disruption)は、許される最大のシステム停止時間のことである。許容時間を越えてしまうとビジネスへの影響度が大きく、事業継続の観点から限界と判断される停止時間を指し、ビジネス影響度分析において検討される指標である。

つまり最大許容停止時間=16時間とは、操業度が許容限界である20%を下回る時間、つまりシステム停止時間が16時間を越えると事業継続が困難になってしまうことを指している。したがって、このグラフで示される「ある業務」は16時間以内にDRPを発動し、最低限の操業レベルである20%まで操業度を回復する必要があることを示している。

図4:RLO(目標復旧レベル)とRTO(目標復旧時間)の関連

今回はIT-DRP策定に必要な指標である、RPO、RTO、RLO、MTPDについて大まかな内容と関連について解説をしてきた。

次回はこれまでに解説したIT-DRP策定のプロセスを具体的な例に当てはめて解説する。

サイオステクノロジー株式会社 顧問

国産汎用機メーカーに入社、SEとしてミッションクリティカル業務のHAシステムを多数構築。2001年ノーザンライツコンピュータ(現サイオステクノロジー)に入社、HAクラスター製品LifeKeeperの技術担当責任者として国内での開発ならびにサポート業務に従事。2011年4月技術顧問に就任。

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