【号外:本気の地方創生の作り方】全国の実践者が集結!「IKIGAI lab 全国研究発表会」レポート

- 1 はじめに
- 2 「IKIGAI lab 全国生成AI研究発表会 in TIB」とは
- 3 セッション内容について
- 3.1 14:30〜15:00 開会式
- 3.2 15:10〜15:40「自治体における生成AIの成功導入事例:愛知県犬山市の試み」
- 3.3 15:40〜16:10「生成AIを活用した教育分野の実践と未来展望」
- 3.4 16:10〜16:40「都市と地域の協働:生成AIで生み出す新たな価値」
- 3.5 16:40〜17:10成功事例紹介:「生成AI EXPOと全国自治体との協働実績」
- 3.6 17:10〜17:40「人員不足を解決!スタートアップ達の生成AI活用術」
- 3.7 17:40〜19:00「交流会・ネットワーキング」
- 4 「IKIGAI lab 全国生成AI研究発表会 in TIB」を終えて(企画者:田中より)
はじめに
本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」で活動している8名で運営しています。この記事を通して、ぜひ皆さまも各々の半歩先の未来を想像しながら、色々な価値観を楽しんでいただけると嬉しいです。
これまで、私たちは最新技術の紹介を中心に発信してきました。今回は、2月24日(月祝)に開催された「IKIGAI lab 全国生成AI研究発表会 in TIB」について報告します。
「IKIGAI lab 全国生成AI研究発表会 in TIB」とは
「IKIGAI lab 全国生成AI研究発表会 in TIB」は、生成AIのコミュニティであるIKIGAI labにより開催された「生成AIの全国の事例を集めた」イベントで、120名近くの参加者申し込みがありました。
【情報概要】
日時:2025年2月24日(祝月) 14:30~19:00
場所:TIB 2階 STAGEブース
【主催】
フォースタートアップス株式会社
Givin' Back株式会社
IKIGAI Lab.
【後援】
愛知県
【協賛】
日本チケット商協同組合(JTA)
【イベントページ】
「IKIGAI lab 全国生成AI研究発表会 in TIB」
https://peatix.com/event/4263462/view
※当日のイベントのダイジェスト動画は、以下のURLにアクセス
https://www.youtube.com/watch?v=HpACd2e9pbA&t=1s
TIB(Tokyo Innovation Base)は、有楽町駅徒歩1分に立地する「SusHi Tech Square」内に開設された、新たなスタートアップ支援拠点です。建物の2・3階がTIBのフロアとなっており、その広さは5千㎡以上。300席収容のステージをはじめ、多くの人が集まるイベントなどが開催できる大規模な施設です。
セッション内容について
14:30〜15:00 開会式
- Givin’ Back株式会社 取締役 田中悠介
- IKIGAI lab代表 髙橋和馬
このセッションでは、今回のイベント企画者であるGivin’ Backの田中悠介氏による企画の説明と、IKIGAI lab 代表の髙橋和馬氏による IKIGAI labの紹介が行われました。
今回のイベントは、IKIGAI labメンバーが「生成AI EXPO」を中心に地方イベントを全国規模で展開してきたこと、さらにドイツやAI Salonなどのグローバルな活動へと広がっていることを背景に、東京でも生成AIに関する学びの機会があるべきだという考えから開催されました。そのため、本イベントを通じて「IKIGAI labの事例を学んでほしい」という意図が込められています。
また、IKIGAI labの紹介動画が上映され、そのクオリティの高さが印象に残る開会式となりました。
・「生成AI EXPO in 名古屋」の紹介記事は、こちらから
【号外】【独占報告】「生成AI EXPO in 名古屋」で見つけたAIの未来と可能性
・「生成AI EXPO in 東海」の紹介
【号外:地域創生の1つのゴール】11月17日開催「生成AI EXPO in 東海」名古屋会場レポート
15:10〜15:40
「自治体における生成AIの成功導入事例:愛知県犬山市の試み」
- Givin’ Back株式会社 田中 悠介
- Studio veco 代表 伊藤雅康
- Think IT「Gen AI Times」編集長 池田大喜
このセッションでは、自治体の事例として愛知県犬山市に生成AIが導入された背景と現状が紹介され、さらに、生成AI EXPOの共同代表である伊藤雅康氏と、Think ITの生成AI記事「Gen AI Times」の編集長であり、静岡県三島市を拠点に活動する池田大喜氏によるクロストークが行われました。
まず、田中氏より愛知県犬山市における生成AIの導入が2023年6月と非常に早い段階で行われたことが説明されました。また、現在の使用状況として「AIアシスタント」の活用が2024年4月〜10月で約70万文字、月平均約10万文字に達していることが紹介されました。さらに、犬山市は観光都市でありながらソフトバンク現社長の宮川潤一氏や、Apple Japan元代表・Apple元バイスプレジデントの前刀禎明氏の出身地であることが生成AI導入の後押しとなり、ひいては生成AI EXPOの実施につながった可能性があるというお話がありました。
また、池田氏からは三島市の魅力について紹介があり、伊藤氏からは犬山市のおすすめ観光地として桃太郎神社が挙げられるなど、意外な発見があったセッションとなりました。
・犬山市の原市長に対するインタビュー記事は、こちらから
【犬山市長 原欣伸氏×Givin' Back 田中悠介氏 対談】全国の自治体に先駆けて生成AIの活用に着手、本年4月からは文書業務への正式導入がスタート
【犬山市長 原欣伸氏×Givin' Back 田中悠介氏 対談】行政業務に生成AIを活用してから1年、目標は「行かなくてもよい市役所」
15:40〜16:10
「生成AIを活用した教育分野の実践と未来展望」
- Studio veco 代表 伊藤雅康
- 公立小学校教諭 minaco
- 公立中学校教諭 大川龍司
このセッションでは、教育における生成AI活用の事例として、公立小学校教諭のminaco氏と、公立中学校教諭である大川氏から事例と現場での生成AIの環境と使い方について紹介されました。
まず、minaco氏が担当している生徒へ生成AIについてヒアリングした内容を紹介。生徒33名中「知っている」と回答したのは10人未満であり、さらに「実際に使用しているか」をヒアリングすると「両親含めて使用していない」ことが分かったと説明していました。また、子供たちは生成AIに対して「絵が出てくる」「検索できる」というイメージを持っていることも分かりました。
大川氏からは、1つの実例として「ChatGPTに勉強のスケジュールを任せて生活してみた」という発表をする生徒がいたり、休み時間に「Copilotを使って相談してみた」という話もあり、生成AIは間違いなく学校や学生生活に浸透してきていることが今回の発表で分かってきました。
2名の発表から、生徒だけでなく教員の「できない、知見がないという諦めからの脱却」をさせてくれる可能性の示唆として、生成AIはとても良い活用ツールになっていることが共通として意見があり、新たな教育の可能性を示唆するセッションでした。
16:10〜16:40
「都市と地域の協働:生成AIで生み出す新たな価値」
- (自称)工場のおじさん代表 村岡大地
- Edfusion 代表 近藤 にこる
このセッションでは、地方での生成AI活用事例の1つとして、村岡大地氏と近藤にこる氏による各地での生成AIイベントの活動について、トークセッション形式で発表が行われました。
まず「せとうちサマーキャンプ」における生成AIを活用した地方イベントの取り組みや生成AI EXPO in 名古屋、愛知県名古屋市「星ヶ丘テラス内 TOMO CAFE」で実施している生成AI教育活動、「にこるのAIアフタースクール」、さらに「Region Link Rivals Expo」への参加など、地方を中心に展開されてきた輝かしい実績が紹介されました。登壇者たちは、こうした活動が今後日本全体に与える影響について、ユーモアを交えながら語りました。
最後に、近藤にこる氏による「AI時代の新しい教育を創る」という志の発表があり、会場は大きな盛り上がりを見せました。
16:40〜17:10
成功事例紹介:「生成AI EXPOと全国自治体との協働実績」
- Givin’ Back株式会社 取締役 田中悠介
- Givin’ Back株式会社 代表取締役 木下直美
- 愛知県スタートアップ推進課 主事 松山ふくみ
このセッションでは、Givin’ Back株式会社 代表取締役の木下直美氏と、愛知県庁スタートアップ支援課の松山ふくみ氏が登壇し、愛知県における民間と行政の協働実績について、生成AI EXPOや「Tech GALA」「STATION Ai」の活動内容・協働事例をテーマに意見交換が行われました。
まず、木下氏からはGivin’ Backによる人的資本経営の取り組みと、HRテックを活用した企業向けの事業紹介がありました。続いて、松山氏からはSTATION Ai事業、Tech GALAの概要、そしてスタートアップ支援事業の詳細が紹介されました。特に、STATION Aiを通じたスタートアップ支援の具体的な内容や、生成AI EXPOなどの活動を通じて自治体の取り組みがより有意義なものになっていくことが説明されました。
さらに、STATION Aiへの誘致活動についても議論が交わされ、愛知県のスタートアップ支援の充実度とその将来性を改めて認識できるセッションとなりました。
・スタートアップ支援施設STATION Aiの紹介記事は、こちらから
愛知県から世界へ! 日本最大のオープンイノベーション拠点「STATION Ai」がグランドオープン
17:10〜17:40
「人員不足を解決!スタートアップ達の生成AI活用術」
- IKIGAI lab.トピックスモデレーター 名古屋彩美
- DouDouDoujin株式会社 代表取締役 水谷 翔一郎
- Studio veco 代表 伊藤雅康
このセッションでは、少数精鋭でありながら、ビジネスを素早く展開しなければならないスタートアップが活用している生成AIの実践活用術について、スタートアップのマーケティング担当である名古屋彩美氏が司会、漫画の翻訳兼同人誌をオンラインで掲載するプラットフォームスタートアップDouDouDoujin株式会社代表の水谷翔一郎氏、生成AIを活用してクリエイティブをデザインしているStudio vecoの伊藤雅康氏が登壇し紹介されました。
水谷氏からは、同氏の企業では現在7名が働いていますが、日本にいるのは水谷氏のみで他のメンバーは海外に住んでいること、英語のやり取りなどをChatGPTに任せていること、シンガポールのインターン生はコーディング技術は低かったものの生成AIと壁打ちしてプロダクトを実際に作り上げていった事例を紹介しました。
伊藤氏からは、Webデザインの開発に関して「Vercel v0」というツールの事例が紹介されました。これは、本来であれば200万円ほどかかるような世界最高峰のエンジニアの技術を、月額3,000円という低コストで利用できるもので、大変ありがたいと感じているそうです。また、これまで自分にしかできなかった表現が、生成AIの力によって大きく拡張されたことが非常に助かっている、というお話もありました。
名古屋氏からは、商談内容に特化した生成AIの使い方でのコールの事例も紹介され、ホワイトカラーにおいてもAIを雇うか、人を雇うかという議論が起きているという問題提起が投げられていき、人間とAIとの共存や業務効率化での線引きを考えさせられるセッションでした。
17:40〜19:00「交流会・ネットワーキング」
この時間はIKIGAI labのメンバーが8つのブースに分かれ、各自の生成AIに関する事例や活動を紹介しました。
<発表ブース>
- Think IT特別ブース
- NewsPicks特別ブース
- こどもとIT特別ブース
- クリエイティブブース
- 創る・遊ぶ・拡張する ー すべてはワンフレーズから ー
- ぶっ飛んだアイデアをあなたに「ショートショート発想法」
- ご当地キャラ誕生祭! ー 生成AI体験ブース ー
- THE QRブース
ここでは、連載記事「Gen AI Times」を掲載している「1. Think IT 特別ブース」について紹介します。
このブースでは、IKIGAI Lab のメンバーが連載しているGen AI Timesの歴史をA0サイズの1枚のボードにまとめ、参加者が自由に歴史を書き込める形で展示しました。
Gen AI Timesは2024年4月4日から始まり、約30回にわたり連載されてきた生成AIに関する記事であり、その歴史を振り返ることで、この約1年での生成AIの驚異的な進化を体感できるブースとなりました。
「IKIGAI lab 全国生成AI研究発表会 in TIB」を終えて
(企画者:田中より)
今回開催した「全国生成AI研究発表会」は、「地方創生とは何か?」という問いに対し一石を投じることを目的として企画されたイベントでした。
実際、東京だけでなく各地域において、生成AIを活用した「地域創生」をテーマにしたイベントや活動が見受けられます。しかし、こうした活動の多くは地方の課題や背景に即して行われているわけではなく、自らの技術をアピールするため、あるいは新しいものを発見するために実施されているケースも多く見られます。その結果、ファッション感覚で地方創生を掲げ、自己満足に終わってしまっているように感じる場面も少なくありません。
こうした状況の中で生成AI EXPOや犬山市をはじめとする愛知県での活動、「AI Salon Nagoya」など、地域に根差しながらも全国規模・グローバル規模へと展開していく取り組みこそが地方創生のモデルケースとなり得るのではないかという問題提起を込めて、本イベントを企画しました。
また、本イベントはIKIGAI lab単独で開催しているものではなく、複数の地域・業界にまたがる活動の積み重ねにより実現したものであり、特に フォースタートアップス株式会社様の協力なしには開催できなかったものです。
本イベントをきっかけに、東京においても、まだ十分に広がっていない生成AIの活動がより一層発展することを期待しています。
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