中の人がそっと教えるWebリニューアル失敗の顛末
出来上がったサイト
そして出来上がったのが以下のサイトです。
図4:いったん出来上がったPCサイト。当初のデザインは完全にあきらめた(クリックで拡大) |
図5:いったん出来上がったモバイルサイト(クリックで拡大) |
jQuery Mobileのおかげで、ネイティブアプリに近い動作が行われるだけではなく、各ページが個別のURLを持つためSEO上の問題もありません。そして何よりレスポンシブです。ブラウザのウィンドウサイズを変化させるだけで、レイアウトが変化します。
そして結局、当初のPCデザインはあきらめることにしました。そのままでも十分なクオリティーに思えたことと、jQuery Mobileが有効になった状態で、全く異なるレイアウトのPCサイトを作成するのは、非常にコストが高くなりそうだという判断からでした。
完成目前、しかし・・・
できは悪くない。期日も守ることができそうだ。
完成に近づいたWebサイトを、役員の方々にも見て頂き、「悪くない」という評価をいただきました。
これであとは、仕上げだけ・・・とひと安心していたところ、コミュニケーション用に開設していたFacebookグループ上に、デザイナさんの熱いメッセージが飛び込んできました。
「デザインをもう一度見直したい!」
「当初の目標であった『ページを開いて0.5秒でかっこいい』と思えるサイトにはなっていない!」
「いろんな技術を盛り込むことに重点を置いてしまい、本来の目的を見失っていた」
すっかり安心していたところに、まさに青天のへきれきのようなメッセージでした。
デザイナさんとは、最初のコンセプト立案から、一緒にやってきました。当然、これまでの流れは全て知り尽くしています。その上で、自分が発する言葉が「作業の白紙撤回」を求めていることも、そしてそれまでにかけた時間的リソースが灰じんに帰すことも理解した上での、覚悟の言葉に違いありませんでした。
この、情熱がほとばしるようなメッセージを受けて・・・ぼくは自分が誤っていたことを知りました。深く反省しました。
クリエイティビティとコストは、常に緊張関係にあります。どちらかを優先すれば、どちらかにしわ寄せが必ず来るという関係です。そして、ディレクターだったぼくがコストを優先させてしまったせいで、当初のクリエイティブな目標が忘れ去られてしまったのです。そしてそこには、「自社サイトだから」という甘えが、品質を厳密に要求するクライアントの不在から来る甘えが、間違いなくありました。
そして結局、ホームページ作成はゼロからやり直すことになりました。ここまでの制作コストは、大半が無駄になってしまいました。完全にぼくの責任です。数少ない救いは、セマンティックなマークアップを行っていたおかげで、HTMLはほぼそのままで使えそうなことと、技術的にも、仕事のスタンス的にも様々なノウハウが蓄積されたことです。そうしたノウハウについては、次回の記事でお話したいと考えています。乞うご期待!