データ接続オフでのボタン制御サンプルと、試用版を検証するサンプル
試用版の機能をシミュレーションするサンプル
2つ目のサンプルは、Marketplaceに登録された試用版の機能をシミュレーションするサンプルです。
このサンプルの動作内容は下記のとおりです。
- プログラムを起動すると、「デバッグによる試用版のテスト確認」というタイトルとともに「試用版ダウンロードのテストです。」と表示されますので、[ok]をタップします。
- するとアプリのロゴの下に、試用版の機能制限事項と、[正規版を購入する]のボタンが表示されます。
- [正規版を購入する]をタップするとMarketplaceの正規版購入のページに遷移します。
- ロゴをタップします。「カメラの使用可否」の画面が表示され、カメラのボタンが使用不可となっています(図3)。
次に「これは試用版ダウンロードのテストです。」のメッセージから[キャンセル]をタップしてみてください。先ほどの試用版の制限と[正規版を購入する]のボタンは表示されません。これは正規版のアプリが起動したことを示します。ロゴをタップすると[カメラ起動]ボタンの使用が可能になっています。カメラを起動して写真を撮影すると、撮影した画像がきちんと表示されました(図4)。
このシミュレーションサンプルは、プログラムによって、アプリケーションで、IsTrial のプロパティを設定し、アプリケーションをDebugモードで実行する時に行われます。Releaseモードではありませんので注意してください。アプリケーションを発行した後、App.xaml.vbの中で設定した IsTrial プロパティのLicenseInformation.IsTrial プロパティを調べることによってシミュレーションされます。
この処理は、試用版をダウンロードさせる有料アプリ全部に使用しています。
図3:試用版モードで起動している(クリックで拡大) |
図4:正規版モードで起動している(クリックで拡大) |
サンプル一式は、会員限定特典としてダウンロードできます。記事末尾をご確認ください。
実機(IS12T)で動かした動画はこちらです。
プロジェクトの作成
VS 2010のメニューから[ファイル(F)/新規作成(N)/プロジェクト(P)]と選択します。次に、「Windows Phone アプリケーション」を選択して、「名前(N)」に任意のプロジェクト名を指定します。ここでは「WP71_TrialVersion」という名前を付けています。Windows Phoneのバージョンは7.1を選択します。ソリューションエクスプローラー内にImageというフォルダを作成し、画像を1枚追加しておきます。ダウンロードされたサンプルファイルには画像は追加済みです。
MainPage.xamlの編集とコントロールの追加
TitlePanelという
ツールボックスから、Image、TextBlock、Buttonコントロールを1個ずつ配置します。ImageコントロールのSourceプロパティにImageフォルダ内の画像を指定しておきます。TextBlockのTextプロパティには「試用版ではカメラの機能はお使いになれません。」と指定します。ButtonコントロールのContentプロパティに「正規版を購入する」と指定します。
Expression BlendでImageをButtonコントロールに変換する
次にExpression Blendに入って、ImageコントロールをButtonコントロールに変換します。Expression Blendに入る前には、一度ビルドを実行してから入ってください。ソリューションエクスプローラー内のMainPage.xamlを選択し、マウスの右クリックで表示されるメニューから、「Expression Blendを開く(X)」を選択します。
Image1を選択しマウスの右クリックで表示されるメニューから、「コントロールの作成」を選択します(図5)。
図5:「コントロールの作成」を選択する(クリックで拡大) |
「コントロールの種類」からButtonを選択します。「定義先」ではアプリケーションにチェックを付け、[OK]をクリックします(図6)。
図6:「コントロールの種類」からButtonを選択し、「定義先」ではアプリケーションにチェックを付ける(クリックで拡大) |
画像の上にButtonと表示されていますので、これを選択してPCのDeleteキーで削除します(図7)。
図7:「Button」の文字を削除する(クリックで拡大) |
アートボードの左隅上にある[Button]パネルをクリックします。ImageがButtonに変わっています。名前にlogoButtonと指定します(図8)。
図8:ImageがButtonに変わっている(クリックで拡大) |
Expression Blendを終了してVS2010に戻ります。書き出されるXAMLコードはリスト2のようになります。
リスト2 書き出されたXAMLコードの一部(MainPage.xaml)
(1)ImageコントロールがButtonコントロールに変わり、Style属性からStaticResourceでButtonStyle1を参照しています。ButtonStyle1はApp.xaml内で定義されています。
~コード略~ <Grid x:Name="ContentPanel"> <TextBlock Height="80" HorizontalAlignment="Left" Margin="64,520,0,0" Name="trialTextBlock" Text="試用版ではカメラの機能はお使いになれません。" VerticalAlignment="Top" Width="352" Foreground="Crimson" TextWrapping="Wrap" FontSize="23" FontWeight="Bold" /> <Button Content="正規版を購入する" Height="85" HorizontalAlignment="Left" Margin="54,594,0,0" Name="buyButton" VerticalAlignment="Top" Width="362" BorderBrush="#FF312B61" Foreground="Crimson" Background="#FFF0EFE7" /> <Button x:Name="logoButton" Content="Button" HorizontalAlignment="Left" Height="200" Margin="140,117,0,0" Style="{StaticResource ButtonStyle1}" VerticalAlignment="Top" Width="200"/> ■(1) </Grid> ~コード略~
レイアウト図は図9のようになります。
図9:各種コントロールを配置した(クリックで拡大) |
次に、App.xamlを展開して表示されるApp.xaml.vbをダブルクリックして、リスト3のコードを記述します。
ロジックコードを記述する
リスト3 (App.xaml.vb)
※ここに書いているコードはあくまでも、Debugモードで試用版のテストをエミュレートするコードですので、実際にAPP HUBにアプリケーションを申請する場合には必要ありません。
Option Strict On
Windows Phone の試用版アプリケーションの機能にアクセスできるようにする、Microsoft.Phone.Marketplace名前空間をインポートします。
Imports Microsoft.Phone.Marketplace Partial Public Class App Inherits Application ~コード略~
試用ライセンスで実行されているかどうかを判断する、LicenseInformationクラスの新しいインスタンスを作成します。
Shared myLicenceInfo As New LicenseInformation
ブール型の_isTrialメンバ変数を宣言しTrueで初期化しておきます。
Dim _isTrial As Boolean = True
ブール型の読み取り専用プロパティIsTrialを定義します。
Public ReadOnly Property IsTrial() As Boolean Get Return _isTrial End Get End Property Public Sub New() ~コード略~ End Sub
デバッグモードによる試用版のテスト
Debugモードで実行されている時は、このアプリは試用版テストである旨のメッセージを表示し、[ok]の場合は_isTrialメンバ変数をTrueで、[キャンセル]の場合はFalseで初期化します。
Private Sub Trial_Check() #If DEBUG Then Dim message As String = "これは試用版ダウンロードのテストです。" Dim kakunin = MessageBox.Show(message, "デバッグによる試用版のテスト確認", MessageBoxButton.OKCancel) Select Case kakunin Case MessageBoxResult.OK _isTrial = True Case Else _isTrial = False End Select #Else _isTrial = myLicenceInfo.IsTrial() #End If End Sub
(例えば、[スタート] メニューから) アプリケーションが起動する時に実行されるコード。このコードは、アプリケーションが再アクティブ化済みの場合には実行されません
Trial_Checkプロシージャを実行します。
Private Sub Application_Launching(ByVal sender As Object, ByVal e As LaunchingEventArgs) Trial_Check() End Sub
アプリケーションがアクティブになった (前面に表示された) 時に実行されるコード。このコードは、アプリケーションの初回起動時には実行されません
Trial_Checkプロシージャを実行します。
Private Sub Application_Activated(ByVal sender As Object, ByVal e As ActivatedEventArgs) Trial_Check() End Sub ~コード略~ End Class
次に、MainPage.xamlを展開して表示されるMainPage.xaml.vbをダブルクリックして、リスト4のコードを記述します。
データ接続をオフにした際に関連するボタンを使用不可にするサンプル
試用版の機能をシミュレーションするサンプル