1700名もの参加者が明星大学に集うOSSの祭典!OSC東京レポート

2013年3月8日(金)
Think IT編集部

2013年の2月22日(金)と23日(土)の2日間にわたって、オープンソースカンファレンス2013 Tokyo/Spring(以下、OSC東京)が日野市にある明星大学で開催された。今回で87回目の開催となる。

出展数は企業、個人あわせて109で、同学内にある28号館の合計3フロアを使って行われた。セッションも2日間で100近くと最大規模で行われ、あらかじめどれに参加するかを決められなくらい、興味深いものが多かった。

当日は天気もよく、自然に包まれた明星大学は両日とも多くの人出に恵まれた。

はじめての参加者も歓迎!OSC主催者が案内するガイドツアー

OSC東京では開催期間中、展示エリアを中心に見学するガイドツアーが組まれた。OSCの事務局を務めるびぎねっと代表の宮原氏が案内するもので、OSC開催の経緯や内容についてツアー前に紹介された後、2階の企業ブース、3階の個人ブースを順番に見学した。

各ブースでは担当のスタッフに説明してもらったり、貴重なノベルティグッズをもらえたりと、見学者も満足な様子で、当初予定していた45分では時間が足りなくなる場面もあった。

セミナー紹介

OSSライセンスの初歩/OSSライセンスの理解を確認してみよう

日本Linux協会の姉崎氏による1日目最初のセッション「OSSライセンスの初歩」では、同氏の所属するNECで行われている「OSSコンプライアンス入門」セミナーからの抜粋として、OSS利用に必須の知識となる、ライセンスの考え方が紹介された。

セッションでは、OSSとパブリックドメインソフトウェア(PDS)との違い、ソフトの再頒布にあたっての注意事項など、非常に分かりやすく説明された。さらに、最近のGPL違反による米国での訴訟の具体例も挙げられ、出席者は興味深く聞いていた。

続いて行われた2つ目のセッション「OSSライセンスの理解を確認してみよう」でも、続けて姉崎氏が登壇、参加者は配布されたプリントにある10の問題を解きながら、OSSライセンスの理解を深めていった。

一般社団法人 日本Linux協会では、こうしたOSSライセンスへの理解を多くの人に伝えるため、会員向けの無料訪問セミナーも行っている。会社でのOSS導入に不安があるようなら、こうしたセミナーを活用することもおすすめしたい。

超小型・超安価 ARM コンピュータ Raspberry Pi でできること

ArduinoやRaspberry Piなど、最近は超小型のシングルボードPCが密かな流行りだ。CPUやWiFiユニット、USBポート、映像出力のためのHDMI端子など、ひと通りの機器を搭載しているため、自分で組んだプログラムを使って様々な制御が手軽に行えることが大きな魅力だろう。

2日目に行われた「超小型・超安価 ARM コンピュータ Raspberry Pi でできること」というセッションでは、日本Raspberry PIユーザグループのつかもと まさたか氏、あおしま ひでき氏の両名が登壇。基本編、応用編と銘打って、2種類あるRaspberry Piの仕様や入手方法などの基本情報から、汎用入出力デバイスGPIOの重要性、実際にRaspberryを使って温度計を作るひと通りの流れが紹介された。

以下ではつかもと氏のスライドを紹介する。

同時開催のオープン"ハード"カンファレンス

前述したシングルボードPCの盛り上がりもあり、オープンソースハードウェアでも祭典を行いたいという趣旨から、2日目にはOSC東京内で、オープンフォースの河野氏主催による「オープンハードカンファレンス」が開催された。

期間終了間際にようやく行くことが出来たのだが、他の展示エリアとは異なった、ゆったりした雰囲気で、安価なArduino開発環境を紹介したり、PCと車型ロボットを連携して動かしたりと、どのブースも出展者と参加者が一緒に楽しい様子だった。託児スペースも設けていて、展示ブースの横で子どもたちがロボットと触れ合っているのが印象的だった。あくまで出展者用のスペースだが、こうした試みは家族がいる人には心強い。

また、MITで開発された教育用プログラミング環境のScrach(スクラッチ)も紹介されていた。Scrachは命令文、条件分岐などが書かれたブロック状のアイコンを組み合わせることで簡単にプログラムを作ることが出来る。また間違ったブロック同士を組み合わせることが出来ないなどの工夫も施されており、筆者もキャラクターを動かすプログラムをその場で作ることが出来た。日本語のローカライズもきちんとされていてありがたい。

自分で作ったプログラムをアップロードして共有することも出来るので、プログラムのモチベーションも上がり、上達への近道になるだろう。ScrachはWindows、Mac OS X、Linuxに対応しており、誰でも気軽に使うことができるので、これからプログラムにチャレンジしたい、子どもに教えたいと考えている方には、是非試してみてほしい。また、子ども向けのプログラミングサークル「OtOMO(オトモ)」では、月に1回程度、定期サークルを開催している。

OSSに関わる人たちが交流する懇親会

OSC恒例の懇親会は、1日目は明星大学の食堂にて、2日目は立川にあるイタリア料理店で行われた。両日とも、会場に入りきれないほどの参加者で賑わった。

企業参加のスタッフ、OSSコミュニティのメンバーともにブース運営やセッションから開放され、楽しく飲みながら挨拶や情報交換を行い、思い思いの時間を過ごした。一部の参加者はそのままの熱気を保ったまま、夜の立川の町に消えていった。

次回は徳島で開催

次回のOSCは3月9日(土)に徳島県で開催される。首都圏在住の人には少々遠いが、Ruby開発者、まつもと ゆきひろ氏による基調講演も行われるので、興味のある方はぜひ参加してみてはいかがだろうか。

【参考リンク】

<リンク先最終アクセス:2013.03>

<編集部より> 内容に一部誤りがあったため、修正しました。(2013.3.7)

“オープンソース技術の実践活用メディア” をスローガンに、インプレスグループが運営するエンジニアのための技術解説サイト。開発の現場で役立つノウハウ記事を毎日公開しています。

2004年の開設当初からOSS(オープンソースソフトウェア)に着目、近年は特にクラウドを取り巻く技術動向に注力し、ビジネスシーンでOSSを有効活用するための情報発信を続けています。クラウドネイティブ技術に特化したビジネスセミナー「CloudNative Days」や、Think ITと読者、著者の3者をつなぐコミュニティづくりのための勉強会「Think IT+α勉強会」、Web連載記事の書籍化など、Webサイトにとどまらない統合的なメディア展開に挑戦しています。

また、エンジニアの独立・起業、移住など多様化する「働き方」「学び方」「生き方」や「ITで社会課題を解決する」等をテーマに、世の中のさまざまな取り組みにも注目し、解説記事や取材記事も積極的に公開しています。

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