CloudStackの最新アップデートやジョブ管理OSSによるDevOps紹介 - オープンソースカンファレンス2013 Tokyo/Fall -
2013年10月19日(土)と20日(日)の2日にわたって、日野市の明星大学にて、オープンソースカンファレンス2013 Tokyo/Fall(以降、OSC東京)が開催されました。
Apache CloudStackの最新アップデート情報や、ジョブ管理に使用するJobSchedulerのセッション内容とあわせて、出展ブースを紹介していきます。
今まさにApache CloudStackが熱い!
〜使ってみようCloudStack〜
日本CloudStackユーザー会の会長である輿水氏によるセッションでは、CloudStackの概要や新バージョンの4.2の新機能や、実際に4.2を使ったデモが紹介されました。
最低でもハイパーバイザーとマネジメントサーバーの2台構成でないと使用が難しいことから、少々ハードルが高く、興味を持って自分で使ってみようという人が少ない様子のCloudStackですが、セッションの後半では、そういった人に向けた、手軽に使う方法も紹介されました。
まずはCloudStackの紹介から。IaaSを構築するためのクラウド基盤ソフトウェアであるApache CloudStackは、もともとはCloud.com社の商用プロダクトでした。その後、Citrix社が買収・オープンソース化を経て、2012年にApache Software Foundation(ASF)に寄贈されました。そして2013年3月にASFの正式プロジェクトに昇格、というのがこれまでの歩みです。
Apacheにはインキュベーター期間があり、CloudStackも当初はインキュベータープロジェクトでしたが、1年を経ずに正式プロジェクトに昇格し、現在ASFによって開発が進められています。
正式プロジェクトになった際にバージョン4.0.0がリリース。2013年6月には4.1、10月に4.2が立て続けにリリースされました。以前よりもバージョンアップのペースは早くなり、数々の要素が含まれるようになりました。
輿水氏いわく、現在の4.2はKVM関連を含めバグが多いとのことで、近日中に4.2.1か、もしくは既にデザインドキュメントが出ている4.3のいずれかがリリースされるであろうことが紹介されました。
CloudStackの基本的な特徴
CloudStackはクラウドOSのため、マルチハイパーバイザーに対応しています。VMwareや、KVMの仮想マネージャなどで使用する際にも、ハイパーバイザーの違いを意識せずにCloudStackで仮想インスタンスをVMware上に作れる機能を持っており、メジャーなハイパーバイザーにも対応しているとのことでした。
また、一つのクラウドを複数のテナントに分けて使うマルチテナントの仕組みを持っています。ドメインとアカウント、ユーザーの概念を持ち、クラウドサービスに適した管理体系を持っています。
4.1や4.2からは、プロジェクトという形でアカウントをまたがってのVM制御ができたり、4.2からはハイバーバイザーを特定のアカウントで専有する機能も追加されました。
また、セルフポータルサービスでは、UIがとても分かりやすく、初期設定ができていれば簡単にVMが作れるようになっています。管理者、ドメイン管理者、ユーザーによって表示内容は異なるものの、基本的に同じGUIを利用して操作が可能です。
柔軟なネットワーク構成 〜CloudStackの2つのネットワークモード
CloudStackには2種類のネットワークモードがあります。
Basicネットワークモード(基本ネットワーク)はL3レベルでの隔離。マルチテナント対応にはSecrityGroupを使用して各テナントを制御するネットワークとなります。
Advancedネットワークモード(拡張ネットワーク)では、テナントごとに仮想ネットワークを提供。L2レベルでテナントを隔離します。ネットワークごとに仮想ファイアウォールと仮想ロードバランサ、NATなどの機能を使うことができます。
日本ではAdvancedネットワークを使用する場合が多いのではないかとのことでした。
CloudStackのアーキテクチャ
CloudStackのアーキテクチャは比較的シンプルな構成で、一つの管理サーバー上でマネジメントプロセスが動きます。
プライマリーストレージ、セカンダリーストレージ、ネットワーク機器との連携の他、セルフポータルも管理サーバーを動かすことで提供されます。
CloudStackの最小単位は、仮想マシンを実行するハイパーバイザー環境(CPU、メモリ)、仮想マシンのディスク領域であるプライマリーストレージ、これらをセットにしたもので、Clusterと呼ばれます。ClusterをまとめたものをPodと呼びます。そのPodをさらに束ねるのがZoneです。
Podはデータセンターにおけるラックのイメージ、Zoneはデータセンターそのものだと考えるとイメージしやすいでしょう。
セカンダリーストレージは仮想マシンを作るテンプレートや、スナップショットを格納するための領域で、Zoneごとに配置されます。
4.1からは、上記のZoneの上位にRegionという概念が導入されました。これまではZoneしかなかったため、一つのZoneにマネジメントサーバーを置いて管理するイメージでしたが、Regionが導入されたことによって、マネジメントサーバーとクラスターを別の拠点で作ることができるようになり、高可用性を実現しています。
4.1のRegionはGUIで使えませんでしたが、4.2では“領域”という名称で追加されています。
4.2の新機能
4.2では実に80項目以上の新機能が追加されています。これは4.1の時に予定していた新機能が実際のリリース時に減ってしまい、その分が4.2に繰り越されて取り込まれた形となっています。
4.2で追加されたこれだけの新機能を深堀りするのは大変!ということで、現在CloudStackユーザー会では深堀りメンバーを募集しているとのことでした。興味のある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。CloudStackの知識を深められること間違いなしです。
Dedicate Host、つまり専有ホストを使いたいというユーザーは多いらしく、4.2からは登録が可能になっています。ドメインやアカウントなどに、どのように専有させるかを指定することも可能です。
CloudStack 4.2を使ってみよう
開発やテストに使える仮想アプライアンスのDevCloud2環境で、実際にCloudStack 4.2を使用するデモが紹介されました。おおまかな手順は以下の通りです。
- DevCloud2のダウンロード
- VirtualBoxのインストール
- DevCloud2をVitualBoxにインポート
- VitualBoxの設定
- DevCloud2内でCloudStack構築
- CloudStack設定
実際のデモを含めたセッション内容はSlideshareからも見ることができます。
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