ビジネスでオープンソースのさらなる活用を! - オープンソースカンファレンス2013.Enterprise -

2013年12月17日(火)
Think IT編集部

全国各地で開催されているオープンソースコミュニティイベント「オープンソースカンファレンス(以下OSC)」、2013年12月13日、企業におけるオープンソース・ソフトウェア(OSS)の活用にフォーカスしたOSC2013.Enterpriseが東京都渋谷 TKP渋谷カンファレンスセンターで開催された。
今回は、その会場の様子を紹介しよう。

企業向けにフォーカスした、普段とは少し違った雰囲気のOSC

本イベントは、いつもはオープンソースコミュニティの交流の場として毎年開催されている。昨今、企業システムにおける急速なOSS利用の拡がりを受けて、今回は企業向けにフォーカスし、「.Enterprise」としたのが新しい試みだ。今回の主な来場者は、いわゆる「Tシャツ」じゃなく「スーツ」な人々だ。
そして、講演内容もスポンサー企業の講演がほとんどで、主に企業で利用されているOSSユーザー会などのコミュニティによる講演だった。
ジャンルとしては、クラウド管理ツールのソフトウェアや、データベース、分散ストレージ、システム監視などが大きな割合を占めている。これも企業向けというのを反映しているのだろう。

オープンソースのクラウド管理ツールという点では、OpenStackに関するセッションの多さが際立っていた日本OpenStackユーザー会の講演をはじめ、その他、企業講演を含めて5つがOpenStack関連のセッションだ。各セッションとも参加者が多く、OpenStackに関する関心の強さが見受けられる。
日本OpenStackユーザー会の講演では、先月開催されたOpenStack Summit Hong Kong 2013の報告が行われた。Baiduの子会社で、月間36億PVを誇るオンライン動画サイト「iQIYI」、中国のオンライン旅行予約で1日3100万PVを捌く最大手の「Ctrip」、eBayの子会社で電子メールアカウントと介した電子決済の「PayPal」などの世界的な導入事例も増えており、強い勢いが感じられた。
また、日本IBMの講演では、IBM社内におけるOpenStackベースのクラウドインフラの活用状況や、Linuxが持つ仮想化技術のKVMに対するIBM Powerプロセッサーに向けの実装「PowerKVM」について紹介された。x86アーキテクチャがほとんどのIaaSのインフラに対して、Powerプロセッサーを投入してきたIBMの今後に注目だ。展示会場のブースでもPowerKVMのデモが披露されていた(写真)。

データベースにおいては、従来、一般的なオープンソースDBとして使われているPostgreSQLやMySQLに加え、KVSのBasho Riakや、MySQLから派生したMariaDBの講演などがあった。
当イベント1番手のアシスト社のセッションでは、MariaDBの開発の経緯や、現在の最新状況を紹介された。MariaDBはMySQLの生みの親である Michael "Monthy" Widenius 氏の"Save the People, Save the Product"のメッセージから始まったプロジェクトであり、誰もが利用でき、誰もが開発に参加できるコミュニティ主導のMySQLを作るのが目的だ。MariaDBでは、Active-Active型のMariaDB Galera Clusterや、大規模ウェブサイトのアクセスに強い"スレッドプール"など先進的な機能が利用可能だ。

また、最近ではハードウェアベンダーやシステムインテグレーターに加え、クラウドプロバイダーの企業スポンサーおよびブース出展が多くなって印象を受ける。

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2004年の開設当初からOSS(オープンソースソフトウェア)に着目、近年は特にクラウドを取り巻く技術動向に注力し、ビジネスシーンでOSSを有効活用するための情報発信を続けています。クラウドネイティブ技術に特化したビジネスセミナー「CloudNative Days」や、Think ITと読者、著者の3者をつなぐコミュニティづくりのための勉強会「Think IT+α勉強会」、Web連載記事の書籍化など、Webサイトにとどまらない統合的なメディア展開に挑戦しています。

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