ビジネスUXの投資効果とは? 〜採用で向上する生産性を数値で評価する

2013年5月14日(火)
崔 彰桓(チェ チャンファン)吉政 忠志

BUX事例(3):ウンジンホールディングス「受発注管理システム」
〜ビジネスUXガイドを活用した、ユーザー中心のMROシステムを実現〜

最後にご紹介するのはウンジンホールディングス「受発注管理システム」のBUX事例です。同システムはウンジンホールディングスが運営しているMRO(Maintenance, Repair and Operation)システムのことで、消耗品・補修用品など、企業内で日常的に使用されるサプライ用品の受発注及び管理を行います。

MRO分野において競争他社に比べて後れをとっていた同社は、競争他社より優位に立つために現状のMROシステム改善する必要がありました。そこで、同社はUXを正確に実現するためにデザイン性が高い「XPLATFORM」を採用しました。

新システムでは効率的な商品管理体系の構築と配送サービスの強化を実現し、以下の通り業務負荷を軽減させることに成功しました。他には、業務の明確さ、顧客満足、リスク管理強化という定性的効果を得られたと評価を頂いています。

  • MDの商品管理業務:13%ダウン
  • CS担当者のコール対応業務:20%ダウン
  • 精算業務:6%ダウン
  • 分析業務:20%ダウン

今回のシステム改修の最大の狙いは、競争他社との差別化をアピールできるユーザー中心のMROシステムの構築でした。同社はシステムを利用するユーザーがビジネスUXを豊富に具現したシステムのメリットを実感できることこそ、業務生産性と顧客満足度の向上につながると考えています。そこで、ユーザー分析によるビジネスUX設計とデザインを用いて、弊社のビジネスUXコンサルティングチームが製作したビジネスUXガイドを採用しています。実際、このビジネスUXガイドは、顧客の満足度が高く、今後、当社の標準ガイドとして全社活用する計画だそうです。

ここで登場したビジネスUXガイドは、UXプロジェクトに参加したことがないエンジニアの皆さまには耳慣れない言葉だと思います。UXプロジェクトを進めるうえでバイブルとなるのがビジネスUXガイドです。これはシステムを利用するユーザーの操作や業務を分析した結果に基づき正確なシステムを構築するためのガイドラインです。ビジネスは常に変動し、それに合わせてシステムに求められる要求も変化していきます。つまり、ビジネスUXガイドも常に変化、成長していきます。ユーザーがビジネスUXガイドを健全に運営していくためには、システムのサービスイン後も定期的な調査とフィードバックが必要なのは言うまでもありません。これが実現できると、ユーザー企業は効率的にシステムを成長させることができるため、結果として投資対効果を高めることができます。またソリューションプロバイダーはビジネスの接点が深くなりやすいため、取引を継続しやすくなります。

以上、今回は3つの事例を紹介しました。

これらの事例を通して、ビジネスUXの採用メリットと、プロジェクトの運営が従来の開発プロジェクトとは違うこと、ビジネスUXガイドがユーザー企業の投資対効果を高めることをご理解いただければ幸いです。なお、今回紹介した事例以外にも多くの事例が以下のWebページに収録されています。プロジェクトに参加された現場担当者の声も多く掲載されています。興味がある方は以下をご覧ください。
→ ビジネスUX事例集及びドキュメント

いかがでしたでしょうか?第3回はビジネスUX導入方法論についてご紹介します。是非ご期待ください。

著者
崔 彰桓(チェ チャンファン)
株式会社トゥービーソフトジャパン 取締役COO

03年、韓国外国語大学を卒業し、韓国貿易ITアカデミーのエンベデット課程を卒業。大学時代からプログラミングが好きで、大学に通いながらシステム開発のアルバイトをしていた。卒業後の04年、教保情報システムズの日本法人に入社。06年にトゥービーソフト(韓国)に入社し、08年からトゥービーソフト東京支社長を経て、現在はトゥービーソフトジャパンのCOO(最高執行責任者)として同社の日本市場における営業全般を総括している。

吉政創成株式会社 代表取締役

IT業界のマーケティング分野で20年近い経験を持つマーケッター。株式会社トゥービーソフトジャパンをはじめとするベンチャー企業から大手企業まで幅広くマーケティング支援を行う。現在はマーケティングアウトソーシング会社である吉政創成株式会社の代表取締役を務めつつ、PHP技術者認定機構 理事長、Rails技術者認定試験運営委員会 委員長、ビジネスOSSコンソーシアム・ジャパン 理事長も兼任。

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