MySQL Connect 2013でも発表されたMySQLの最新リリースと、関連ツールの基礎知識

2013年10月9日(水)
山﨑 由章

MySQL 5.6:今までで最高のリリース

2013年2月にリリースされたMySQL 5.6は、数多くの機能が追加され、パフォーマンスや使い勝手も大幅に向上し、「今までで最高のリリース」と言われています。

※MySQLとMySQL Clusterは、小数点第1位の単位でメジャーバージョンアップとなります(MySQLの前バージョンは、MySQL 5.5です)。

特に、以下の点について機能強化されています。

  • InnoDB
  • オプティマイザ
  • パフォーマンススキーマ
  • レプリケーション
  • NoSQLオプション(Memcached API)

具体的にどのように機能強化されたかについては、今後の連載でご紹介していきます。

MySQL Cluster 7.3:自動シャーディングを実現できるクラスタデータベース

MySQL Clusterは、共有ディスクを使わずにアクティブ-アクティブのクラスタ構成が組めるデータベースで、MySQLとは開発ツリーの異なる別製品です。また、元々はSQLを使わないデータベースだったのですが、MySQLと統合されSQLも使えるようになったため、現在はNoSQL(KVS)とSQLの両方が使えるデータベースになっています。

単一障害点が無い構成を組むことができ、可用性が高いため、米国海軍の航空母艦における航空機管制システムなど、ミッションクリティカルな分野でも多く利用されています。図2のような企業がMySQL Clusterを使用しています。

図2:MySQL Clusterの利用企業(クリックで拡大)

このMySQL Clusterは、2013年6月に、新バージョンの7.3がリリースされました。MySQL Cluster7.3では、性能を大幅に向上している他、インストール&設定を自動的に行うAuto-Installerや、新しいNoSQL APIとしてNode.js APIなどが追加されています。

MySQL Cluster 7.3についても、今後の連載で詳細をご紹介していきます。

MySQL Enterprise Monitor 3.0:MySQLの運用監視ツール

MySQL Enterprise Monitorは、商用版のMySQL Enterprise Editionに同梱されているMySQLの運用監視ツールです。2013年9月に新バージョンの3.0がリリースされました。MySQL Enterprise Monitorでは、サーバーの稼働状況を可視化し、問題が発生する前に警告を通知することができます。また、SQLを分析するためのクエリアナライザによって、問題のあるSQLを簡単に発見することもできます。更に、新バージョンの3.0ではインターフェースが刷新されたり、エージェントレス構成が取れるようになったりと、多くの点が機能強化されています。

図3:MySQL Enterprise Monitorの画面(クリックで拡大)

MySQL Enterprise Monitor 3.0についても、今後の連載で詳細をご紹介していきます。

MySQL Workbench 6.0:MySQLの管理・開発統合環境

MySQL Workbench は、MySQLの管理・開発統合環境です。以前は、以下のように機能毎にツールが用意されていたのですが、それらが一つに統合され、更にデータモデリング機能なども追加され、MySQL Workbenchとしてリリースされています。

  • MySQL Query Browser:GUIでSQL文を実行できるツール
  • MySQL Administrator:GUIでのMySQLサーバーの管理ツール
  • MySQL Migration Toolkit:他データベースからMySQLへの移行を支援するツール
図4:MySQL Workbench(サーバー管理画面)(クリックで拡大)

MySQL Workbenchは、一部の機能は商用版のみの機能となっていますが、大半の機能はオープンソースのGPL版でも利用することができます。

MySQL Workbenchについては、別途連載している「モデリングツールから管理・開発統合環境に進化したMySQL Workbench 6.0」にて、詳細をご紹介していきます。

MySQL 5.7 DMR、Lab版:新しい機能を先行リリース

MySQLは、開発途上版をDMR(Development Milestone Release)としてリリースし、ユーザーからのフィードバックを受けて機能改善やバグ修正を継続的に行ってから、製品版をGA(Generally Availability)としてリリースする、というリリースモデルを採用しています。また、より先進的/実験的な機能をLab版(Laboratory:実験室)として公開しています。そして今回MySQL Connectでは、DMRとしてMySQL 5.7.2を、またLab版としてマルチソースレプリケーションやMySQL Fabricなどを発表しています。

これらについても、今後の連載で詳細をご紹介していきます。

オラクルによるイノベーションは続く

ご紹介してきたように、オラクルは今年だけでもMySQL 5.6、MySQL Cluster 7.3、MySQL Enterprise Monitor 3.0、MySQL Workbench 6.0、MySQL 5.7 DMRにLab版と、多くの製品をリリースしています。また、今後もオラクルはMySQLに対する積極的な投資を続けていきます。

今後の連載では、それぞれの製品についてより詳細にご紹介していきたいと思います。

※本稿において示されている見解は、私自身の見解であって、私の所属するオラクルの見解を必ずしも反映したものではありません。

<編集部より> 2ページ目に一部誤りがあったため修正しました。(2013.11.07)

日本オラクル株式会社

MySQLのセールスコンサルタント。元々はOracleデータベースのコンサルティング、サポート等に従事していたが、オープンソースとフリーソフトウェア(自由なソフトウェア)の世界に興味を持ち、MySQLの仕事を始める。趣味は旅行と美味しいものを食べること。

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