世界的に普及している高機能CMS、Drupal - 国内コミュニティメンバーが次バージョンや最新情報を紹介 -
オープンソースカンファレンス2013 Tokyo/Fall(OSC東京)の前日に開催された「Drupal Cafe 2013 vol.9 in TOKYO」。OSC東京への参加のため、京都から訪れていたDrupal Groupsの紀野氏と太田垣氏の呼びかけで開催された本イベントは24名の参加者を迎え、市ヶ谷にあるインプレスのセミナールームで2時間にわたって行われました。
"Cafe"という名の通り、当日は用意した飲み物と軽食をつまみながら、ゆるい雰囲気の中で進められました。セッションの途中でも気軽に質問が寄せられるなど、参加者のDrupalへの関心の高さが感じられました。
開発スタッフによるThink ITの裏側を紹介
当日は2つのセッションが行われ、最初に、Think ITなどインプレスビジネスメディア(以降、インプレス)内でメディア開発を担当する四方(しかた)部長より、同社での現在に至るまでの導入事例が紹介されました。
社内で最初にDrupalを導入したのは、「Web担当者フォーラム」で、国内でのDrupal導入事例としてはかなり早い2004年頃の話になります。2008年~2013年に開催されたイベント「INSTALL MANIAX」にもDrupalが採用されました。ネット上で行われた予選ではチーム編成やチーム内のコミュニケーションにSNS機能を使用したり、OSC会場で実施された決勝大会ではリアルタイムでのスコア集計、グラフ表示などを行ったりと、様々なシーンでDrupalが使用されています。その他、「IT Leaders」や「Find-IT」などのサイトでも、全面的にDrupalが採用されています。
Think ITはというと、2010年より自社開発のCMSからDrupalに移行しました。当初はOpenPublishというディストリビューションを使っていましたが、2013年夏のリニューアルでこれをやめ、同時にバージョン6から7にアップグレードしています。
外観のデザインにはTwitter Bootstrapを使用、検索にはApache Solr、会員管理には情報出力用のAPIをDrupal側で作って認証を行っています。Preferred Infrastructure社のリコメンデーションエンジンを使用していることなどもあわせて紹介されました。システム構成やインフラの説明では、同社グループから参加していた技術部のスタッフからも説明がありました。インプレスではアクセスの多いサイトで月間260万PV程度があり、2台のサーバーで処理を行っています。
Drupalの得意なこと、苦手なこと
Drupalの良い点として、上記のようなメディアサイトからキャンペーンサイト、ドキュメント管理、グループウェアなど、様々な使用方法があること挙げられました。これらはインプレス社内の事例でも数多く導入されています。しかし「ビミョーな点」として、メジャーバージョンアップの際に変更がとても大きいことが挙げられました。乗り換えに失敗して使用をやめてしまうケースもあるようです。
また、サイトの表示スピードについても課題があります。対策としては、定番のAPC(Alternative PHP Cache)や、Drupal 4の頃から存在するBoost、また最近使用しているプロキシサーバーのVarnishが紹介されました。これらを駆使して、サイトのスピードアップを図っているとのことです。検索エンジンとして使用しているSolrで日本語が使えるのかという質問もありました。これは設定を工夫することで日本語も使用が可能ということです。
四方氏はThink ITの開発スタイルについても言及し、通常2~3名で行っていることや、バージョンアップに伴う開発スタイルの変化、さらに最近ではモジュールが揃ってきたことによる、開発体制の省リソース化などが紹介されました。具体的な使用しているモジュールも紹介され、前述したVarnishやAPC、自社開発のモジュールなどが一覧になったスライドは参加者が興味津々で撮影している様子が伺えました。
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