新搭載のGRUB 2とCentOS 7でのレスキューモード

2014年11月28日(金)
古賀 政純

レスキューモードを使った復旧手順

CentOS 7では、レスキューモードが用意されています。このレスキューモードは、ローカルマシンにインストールされたCentOS 7が起動不能に陥った際に、それを復旧する役目を担います。また、レスキューモードを使えば、起動不能に陥ったCentOS 7からユーザーデータを取り出すことも可能です。以下では、CentOS 7のレスキューモードを使った復旧手順やユーザーデータの取得、さらに、ディスクイメージ全体の取得について解説します。

パッケージの上書きインストールによる復旧手順

OSが起動しなくなる原因は、施設の停電による突然の電源断や、管理者のオペレーションミス、ディスク障害など様々なものがあります。通常、ディスク障害や停電による電源断によってハードウェアやOSの設定状況に深刻なダメージがある場合は、ハードウェアの交換を行い、OSの再インストールを行うことが一般的です。しかし、ハードウェアの障害ではなく、管理者のオペレーションミスによってOSの起動に関わるプログラムを誤って削除する、あるいは、起動スクリプトの動作テストが不十分なことに起因したOSの起動障害に陥るといった場合は、CentOS 7のインストーラーが持つレスキューモードによって復旧することが可能です。

図5:レスキューモードに移行するには、CentOS 7のインストールメディアで起動後、「Troubleshooting」を選択する(クリックで拡大)

図6:Troubleshootingを選択後、「Rescue a CentOS system」を選択するとレスキューモードに移行する(クリックで拡大)

レスキューモードでは、通常、ローカルディスクにインストールされている既存のCentOS 7を認識します。レスキューモードにおける/mnt/sysimageディレクトリ配下に対して、ローカルディスクにインストールされている既存のCentOS 7を読み書き可能な状態でマウントさせる事が可能です。これにより、ローカルディスクにインストールされている既存のCentOS 7に対して様々な操作を施すことが可能になります。

図7:レスキューモードにおいて「Continue」を選択すると、ローカルディスクにインストールされた既存のCentOS 7を/mnt/sysimageディレクトリに読み書き可能でマウントする。書き込み不可の状態でマウントする場合は、「Read-Only」を選択する(クリックで拡大)

レスキューモードで、どのようにローカルディスクが見えているかをdfコマンドで確認します。すると、/mnt/sysimageディレクトリに、ローカルディスクにインストールされた既存のCentOS 7が見えていることが確認できます。また、CentOS 7のインストールメディアは、/run/install/repoディレクトリにマウントされます。

図8:レスキューモードにおいて、/mnt/sysimageディレクトリ配下にローカルディスクにインストールされた既存のCentOS 7のパーティションが見える(クリックで拡大)

レスキューモードでは、/mnt/sysimageディレクトリ配下にマウントされた既存のCentOS 7に対して、CentOS 7のメディアを使って、RPMパッケージ等を上書きインストールすることが可能です。例えば、なんらかの理由でmountコマンド自体が機能しなくなったと仮定します。mountコマンドが機能しない場合、システムはパーティションのマウントに失敗するため、OSの起動に失敗します。そこで、mountコマンドが含まれるutil-linux RPMパッケージをレスキューモードで再インストールします。インストールを行うには、rpmコマンドのオプションとして、-vhi --force --root /mnt/sysimageを指定します。これにより、/mnt/sysimage配下をルートパーティションとみなして既存のCentOS 7にパッケージを強制的にインストールすることができます。これにより、mountコマンドが含まれるutil-linux RPMパッケージがインストールされ、mountコマンドの復旧が実現できます。

図9:レスキューモードで、util-linux RPMパッケージを/mnt/sysimageディレクトリにマウントされた既存のローカルディスクのCentOS 7に強制的にインストールしている様子(クリックで拡大)

レスキューモードを終了するには、rebootコマンドでレスキューモードを離脱し、システムを再起動してください。

日本ヒューレット・パッカード株式会社 プリセールス統括本部 ソリューションセンター OSS・Linux担当 シニアITスペシャリスト

兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師を担当。科学技術計算サーバーのSI経験も持つ。2005年、大手製造業向けLinuxサーバー提案で日本HP社長賞受賞。2006年、米国HPからLinux技術の伝道師に与えられる「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。日本HPプリセールスMVPを4度受賞。現在は、Linux、FreeBSD、Hadoop等のOSSを駆使したスケールアウト型サーバー基盤のプリセールスSE、技術検証、技術文書執筆を担当。日本HPのオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストとして講演活動も行っている。Red Hat Certified Engineer、Red Hat Certified Virtualization Administrator、Novell Certified Linux Professional、EXIN Cloud Computing Foundation Certificate、HP Accredited Systems Engineer Cloud Architect、Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack、Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoop認定技術者。HP公式ブログ執筆者。趣味はレーシングカートとビリヤード

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