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IaaSからPaaS連携に目を移したHPのOpenStack戦略

2015年2月20日(金)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita

OpenStackのディストリビューションとして各ITベンダーがパッケージングしたOpenStackが揃い始めた。Red HatのRed Hat Enterprise Linux OpenStack PlatformやSUSEのSUSE Cloud、VMwareが提供するVMware Integrated OpenStack、さらにPiston OpenStackやMirantis OpenStack、Ubuntu OpenStackなどがメジャーな製品といっていいだろう。そんな状況の中、HPのOpenStackは『HP Helion OpenStack』という名称が付けられている。これはHPがPaaSとして提供しているHelionと同じ名称を掲げて、いわゆる単なるIaaSとは違うのだと主張しているようでもある。

今回はHPのエバンジェリスト、米国本社のクラウドチーフテクノロジスト真壁氏によるOpenStack Days Tokyo 2015での講演を紹介しよう。

冒頭から真壁氏は現時点がクラウドの転換期であると宣言し、「単にパブリッククラウドを使っただけ、仮想化をしただけのなんちゃってクラウドはもう終わった。これからはクラウドに向くアプリとそうではないアプリを使い分ける時代が来た」と説明を始めた。

自社で構築したクラウドとパブリッククラウドを使い分けることが情報システム部門に求められるようになる、そして従来のシステム、アプリケーションをも視野に入れてハイブリッドなITを構築することが必要となると説明した。それぞれの必要な機能を「ことばの感じが悪いので使いたくはないがブローカー的に使い分けることが必要になる」と解説し、その時に中心になるのは開発者である、開発者がビジネスを変えていくのだと強調した。そのためにHPは基盤としてOpenStackとPaaSであるCloud Foundryを選んだということであろう。

HPの提供するシステムの全体図を紹介する真壁氏。

HPはコアなOpenStackには手を入れず周辺の機能、監視やインストーラー、ストレージのインテグレーションなどを強化していくのが戦略であり、その一環としてOpenStackによるクラウド基盤とアプリケーションのライフサイクルを管理するCloud Foundryを統合しているのが特徴的だ。ここで真壁氏はサンプルのアプリケーションをパブリックなクラウドと社内のクラウドにそれぞれ簡単に実装するデモを行い、シームレスにOpenStackとPaaSが連携しているところを実演した。

ハイブリッドクラウドというキーワードから「それは仮想マシンのマイグレーション、イメージベースのマイグレーションのことでしょ?と思われる方が居ますが、それではアプリケーションの近代化のチャンスが失われてしまう」と問題提起をしつつ、HPはAnsibleなどのオーケストレーションツールを使ってインフラのコード化、API化を進めることで従来型のアプリケーションに対してもクラウドの時代に持って行こうとしているのだ。

単なる事例やモジュールの解説ではなくHP全体の戦略としてIaaSとPaaSの連携こそが重要であり、ビジネスを変革するのはインフラではなくアプリケーション、それを支えることがクラウドのインフラであるOpenStackの役割であると語った。

そして最後に真壁氏は、オープンソースの講演ではあまり見ない値段の話とHPのOpenStackチームを紹介して講演を終えた。

HPとしてはIaaSであるOpenStackとPaaSであるCloud Foundryの連携がハイブリッドクラウドとその上で稼働するモダンなアプリケーションには必須であることを伝えたかったのだと思えるが、主にインフラ系のエンジニアが多かったと思われる今回のイベントの参加者には十分に理解されたのだろうか。どちらかといえばアプリケーションエンジニアに対してよりインパクトのある講演だったのかもしれない。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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