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ミドクラ、OSSとなったMidoNetでOpenStackのSDNをリード

2015年2月17日(火)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita

OpenStack Days Tokyo 2015の初日の見どころは2014年11月にオープンソースソフトウェアとして公開されたMidoNetの講演だった。ミドクラの共同創始者兼会長の加藤隆哉氏が登壇し、これまでの経緯や他社のネットワークスタックとの機能面での違い、導入事例などについて熱く語った。

まず冒頭からMidoNetがオープンソースソフトウェアになった経緯から説明を始めた加藤氏は、「これまで実は3回、MidoNetをオープンソースにしようとしたことがあった」と語り、今回が3度目の正直だったと打ち明けた。特にSDN(Software defined Network)のオープンソースプロジェクトであるOpenDaylightの中でオープンソース化を検討していたが「スピードを活かすため」に単独でのオープンソース化に踏み切ったと説明した。この時、「別にOpenDayLightとはケンカ別れしたわけじゃないんですが」と苦笑する場面もあり、様々なベンダーとの調整の苦労が偲ばれる場面であった。更に「MidoNetはこれまでに25億円をかけて開発したソフトウェアですが、出し惜しみせずに全部をオープンソースにしました。これで商用サービスをやっていただいても結構です」とコアだけをオープンソースにして付加価値の機能をクローズにしてライセンス売りを狙うやり方とは違うことを強調した。

次にオープンソースにした目的を説明。「もともと我々はLinuxの上でソフトウェア開発を行っていたのでオープンソースとは親和性があった」と言う前置きに次いで、現在のOpenStackのネットワークモジュールが様々なベンダーのプラグインが乱立していると語り、これが決定版というものがないことをOpenStackのストレージのモジュールであるCephを例に挙げて説明した。つまりOpenStackのネットワークモジュールと言えばMidoNet、ストレージのCephと同じように標準になりたいというのがMidoNetをオープンソースにした最大の理由だと説明した。更に「実はAT&Tから『ミドクラはベンチャーだから潰れたらどうする?オープンソースにしてくれないと取引が出来ない。オープンソースであれば潰れても何とかなる』と言われた」とベンチャーとして大企業との付き合い方の処世術としての苦労を語った。

現時点でオープンソースにしてから約3か月、毎月2000件程度のダウンロードが行われており、順調にソフトウェアが使われていることを説明した。商用の『クラウドサービスの導入事例として富士通などで標準のネットワークモジュールとして採用がきまったことを説明し、着実にオープンソース化の効果が表れているとのこと。

機能面での違いについては、MidoNetとOpen vSwitch+HAproxy、Open vSwitch+Distributed Virtual Routerとの比較表を使い、Neutronで実装された仮想ルーターに対する優位点を強調した。単純に論理トポロジーをソフトウェアで実装する方法よりもエッジで分散されVM間を1ホップで到達することが出来るMidoNetのほうが効率が良く、高可用性も実現できると解説した。

MidoNetと他のソリューションとの比較

MidoNetはこれまでのネットワークベンダーのソリューションとは全く異なる発想から生まれた仮想化ネットワークであり、企業での利用だけではなく商用データセンターなどにおけるキャリアレベルでの利用にも耐えうる高可用性を持っていると解説した。

加藤氏は更にOpenStackだけではなく今非常に注目されているコンテナー技術のDockerのサポートを重要視しており、今後、仮想化からクラウド化に向かうなかでコンテナーによるポータビリティが進むと「OpenStackよりもコンテナーからのネットワーク機能のほうが重要になってくるかもしれない」と説明し、MidoNetがDockerのネットワーク機能を担うことを目指していると語った。

ミドクラのビジネスにとってはオープンソース化は役に立っていないと苦笑しながらも、無償版のダウンロードから評価に至る中である程度、有償版に移行していく顧客もいることを語り、少なくともビジネスの拡大には貢献していると説明した。なお、MidoNetの有償版はMidokura Enterprise MidoNet、略称MEMだが、今回のプレゼンテーションではほぼ無視されている辺りにミドクラのオープンソース版のMidoNetにかける熱意が表れているようだ。

プレゼンテーションの後の筆者との会話では、アメリカでのOpenStack関連のビジネス案件では、主にVMwareのvSphere+NSXとの競合になることが非常に多く、ほぼ負けたことがないという。VMwareが買収したNiciraのSDNと互角以上の戦いをしており、逆にネットワークベンダーのSDNとはあまり比較されたことが無いという。「1回だけ某ネットワークベンダーのソリューションとの競合になった時に負けたことがありますが、あれは向こうがハードもソフトも全部を無償で提供します、だから採用してくださいという採算度外視のやり方だったからなぁ」と教えてくれた。アメリカでも順調にビジネスが拡大しているとのこと。

日本発のベンチャーであるミドクラがオープンソース化をきっかけにOpenStackのネットワークのデファクトを取れるか?引き続き、注目していきたい。

<編集部より>公開当初から一部の写真を変更しました。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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